日本板硝子株式会社(本社:東京都港区、代表執行役社長兼CEO:細沼 宗浩、以下「NSG」)は、このほど当社のグラスコード製品において、環境や人体への有害性が懸念される化学物質である、レゾルシンとホルムアルデヒド*(RF)を含まないゴム補強材用接着剤を開発したことをお知らせします。当社製品を扱うサプライチェーン内で有害物質の使用制限が広がる中で、今般開発した接着剤はその独自技術をベースに様々な用途のゴム製品に使用可能な汎用性の高い、安心・安全な接着剤をコンセプトとして開発されたものです。本接着剤を使用したグラスコードのサンプリング提供はすでに開始しており、2023年度の上市を目指しています。
当社グラスコード製品
タイミングベルトやタイヤ、ホースなどのゴム製品には、強度や形態安定性を維持する目的で各種繊維(硝子繊維、アラミド、炭素繊維、合成繊維等)が補強材として使用されています。各種繊維とゴム組成物を接着させるプロセスにおいて、その高い接着性能から、これまでレゾルシン・ホルムアルデヒド・ラテックス(RFL)接着剤が広く使用されてきました。しかし、世界的に環境や人体に有害な物質を使用した部材などの使用制限が広がる中で、それらの懸念のあるRFを含まない新規接着剤の開発が求められてきました。
今回NSGグループが開発した接着剤は、当社が既に独自に開発している油中ベルト向けの接着技術を応用し、人体に有害なRFの代替として新規開発したカップリング剤を使用することで、有害化学物質が漏出するリスクを無くし、環境負荷低減に貢献します。また、従来のRFL接着剤と同等の接着性能を実現しています。さらに、ガラス繊維だけでなく、ポリエステル、炭素繊維、アラミド繊維などの繊維コードの接着剤として広く使用できることが特徴です。
NSGグループは、高強度ガラス繊維から最終製品であるグラスコードを一括で生産できる世界で唯一のメーカーです。高い強度や耐性が求められる自動車やオートバイなどのタイミングベルトの分野で貢献しております。今回の接着剤は、多種多様なゴム種に対応でき、RFL接着剤と同等の接着特性を実現できることから、各種ゴムベルトのみならず、シール材やタイヤ、窓枠のパッキンなど、環境配慮型製品を求める顧客に対し、新たな価値を提案してまいります。
NSGグループでは、NSGサステナビリティポリシーや環境ポリシーを策定し、持続可能な開発目標(SDGs)に則り、全てのステークホルダーのニーズのバランスを取りながら、環境などに配慮した製造プロセス改善と製品のイノベーションを追求しています。今後も高付加価値の『ガラス製品とサービス』を通じたサステナブルな社会の実現を目指します。
以 上
*レゾルシンおよびホルムアルデヒドについて
レゾルシンは食品の抗酸化剤や一部の医薬品の防腐剤として利用されていますが、長期にわたり暴露すると生体の複雑な機能調節のために重要な役割を果たしている、内分泌(系)の働きに影響を与え、生体に障害や有害な影響を引き起こすことが問題になっており、国によっては使用規制を検討するところもあります。
ホルムアルデヒドは家具や壁紙の接着剤や防腐剤の用途で利用されてきましたが、人体に取り込まれると皮膚炎や発がんの恐れがあることから、国内でも使用基準が設けられている化学物質です。
■マイクログラス®グラスコードについて
グラスコードは極細の高強度ガラス繊維や、炭素繊維、アラミド繊維などの高機能繊維を、特殊な処理剤で加工したゴム・樹脂製品補強用コードです。繊維に特殊処理をすることで屈曲性と寸法安定性に優れた補強材となります。NSGグループのマイクログラス®グラスコードは、各種繊維の機械特性を活かしたコード設計と補強対象のゴムや樹脂と高い親和性をもつ接着処理を組み合わせて、高強度、高弾性、高耐久性、耐環境性、低伸び・低クリープ伸びなど、ゴム・樹脂製品に新たな機能と価値を提供します。
■新製品の接着特性
NSGグループ(日本板硝子株式会社およびそのグループ会社)について
NSGグループは、建築および自動車用ガラスとクリエイティブ・テクノロジー分野で事業を展開する世界最大のガラスメーカーのひとつです。
建築用ガラス事業は、各種建築用ガラス、太陽電池パネル用ガラス等を製造・販売しています。
自動車用ガラス事業は、新車用(OE)ガラスや補修用(AGR)ガラスの分野で事業を展開しています。
クリエイティブ・テクノロジー事業の主要製品は、プリンターやスキャナーに用いられるレンズ、タイミングベルトの補強材であるグラスコードを中心とした特殊ガラス繊維やガラスフレーク、およびファインガラスです。