基本シナリオ
【米国】
底堅い経済指標を受け、2023年の米国経済見通しを2.5%、2024年については1.3%に小幅に引き上げました。ただし、金融状況の引き締まりは、徐々に経済活動の重しとなることから、ソフトランディングをベースシナリオと考える一方で、2024年の経済は停滞が見込まれます。インフレ率については、顕著な景気後退が見込まれないことから、インフレ目標の水準に低下するまでには時間を要すると考えられます。2025年末までに、米国の政策金利は3.5%に引き下げられると見込んでいますが、利下げの開始は2024年後半となると考えています。
【ユーロ圏】
ユーロ圏の経済活動は急速に減速したことから、2023年の後半は景気後退の可能性が示唆されます。需要圧力の緩和やエネルギー価格の回復を受け、インフレ率は2024年前半に欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%に低下する可能性が高いと考えます。ECBは2025年末までに1.5%の利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%、リファイナンス金利を3.0%まで引き下げると見込んでいます。これにより、ユーロ圏経済成長率見通しは、2024年に.0.7%、2025年は1.7%に回復することが見込まれます。
【英国】
英国では、高いインフレ率と利上げが、徐々に消費者の圧力となることから、2024年前半に景気後退局面に入ると考えており、2024年の英国経済成長率は-0.1%に減速すると見通しています。弱い経済活動と、食品およびエネルギー価格のインフレ圧力の緩和により、2024年末にはインフレ率はイングランド銀行(BoE)のインフレ目標の水準に低下することが見込まれます。BoEは、2025年末までに政策金利を1.25%引き下げ、4%まで利下げを行うと考えます。
【エマージング諸国】
中国では短期的に製造業の回復が見込まれますが、中国不動産セクターの低迷により、中国経済の減速トレンドは今後も継続することが見込まれます。2024年の中国経済成長率見通しは4.5%、2025年は4.3%としています。そのほかのエマージング諸国ではインフレ率と金利の低下が見込まれます。2024年に経済活動が小幅に減速した後、さらなる利下げによって、2025年の経済成長は下支えされることが見込まれます。
今後想定される他のシナリオ
リスクシナリオは総括してスタグフレーションに傾斜しています。基本シナリオ以外で今後想定される景気シナリオについて、最も可能性の高いリスクシナリオとしては、スタグフレーションシナリオの「供給サイドによるインフレ」を想定しています。次いで、リフレーションシナリオの「消費者の弾力性」を想定していますが、「地政学的危機」や「ハードランディング」などのネガティブなリスクも想定されます。
世界の実質GDP成長率見通し
シュローダー・エコノミクス・チームによる見通し(基本シナリオ)
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