ニデック株式会社のグループ会社であるニデックマシンツール(以下、当社)は、自動車の駆動ユニットや変速機、ロボットの関節部分に用いられる
遊星歯車機構などの内歯車を高精度に仕上げる「量産用内歯車ポリッシュ(研磨)加工法」を世界で初めて開発しました。外歯車を高精度に仕上げる量産用ポリッシュ加工法は確立されていますが、内歯車では未だ確立されておらず、今般、この点に着目して研究を進め、従来工法の研削、ホーニング、スカイビングでは得られなかった精度と量産に適した良好な結果が得られました。
遊星歯車機構は、高効率・高負荷容量・コンパクトといった利点がある一方、構成部品である歯車のわずかな歪みは、耐久性や伝達効率に影響するほか、騒音や振動発生の要因となり、歯車には高い品質が求められます。電動化や自動化が進展する中、高精度歯車へのニーズが一層高まっており、本加工法を早期に実現、市場投入することで、歯車の耐久性、伝達効率、NVH(Noise, Vibration, Harshness)性能の向上に貢献します。
今回の研究開発では、当社が有する加工機、加工技術をもとに加工条件を特定・導出しました。なお、本件はドイツアーヘン工科大学との共同研究による成果の一部です。詳細については、添付の論文をご覧下さい。
【内歯車創成研削の加工原理】 【量産用内歯車研削盤「ZI20A」】
「加工機」: 内歯車を量産に求められる生産性にて高精度加工できる、当社が2009年に発売 した独自技術の量産用内歯車研削盤(ZI20A)を使用。
「研磨砥石の選定」:消耗品である砥石の入手のし易さ、経済性、自動運転への適合性を事前に評価 し、 砥石を選定。
「加工条件の特定」:ポリッシュ加工の一般的な指標である表面粗さ Ra0.1µm,Rz1.0µm以下をターゲ ットとし、研削後の歯車精度ISO3~5級を維持しつつ、研削焼けを生じさせない高能率加工条件の導出。
ニデックマシンツールは、世界トップレベルの歯車加工技術をもって機械と工具、加工ソリューションの提案を通して社会課題の解決に貢献します。