パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社(以下、くらしアプライアンス社)は、多様な人材が集うダイバーシティなチームによるチャレンジが、事業の持続的成長や顧客価値最大化の実現に重要であると考え、DEI推進に積極的に取り組んでいます。2024年4月から障がい者雇用の法定雇用率が2.5%に引き上げられ、合理的配慮が義務化となりますが、くらしアプライアンス社の関連会社であるパナソニック アソシエイツ滋賀株式会社(滋賀県彦根市 / 以下、アソシエイツ滋賀)では早くから障害を持った社員もそうでない社員も共に働きやすい環境づくりに取り組んできました。
アソシエイツ滋賀の先進的な取り組み事例を活かしながら、くらしアプライアンス社では“心のバリアフリー”をテーマに、引き続き誰もが働きやすい環境づくりを推進しています。
【News Letter Topics】
- 創業29年で培った工夫 一人ひとりに合わせて作る「働きやすさ」
- 当事者だからこその気付きが「働きやすさ」の源泉に
└さまざまな障がいのある人が入り混じって働く環境の“気付き”
└障がいのある人が職場技能で競う「アビリンピック」で全国3位
- 対話を通して進化し続ける、十人十色の「働きやすさ」
- くらしアプライアンス社が考えるダイバーシティ経営推進の意義
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- 創業29年で培った工夫:一人ひとりに合わせて作る「働きやすさ」
アソシエイツ滋賀は「重度障がい者多数雇用」を目的とし、滋賀県と彦根市およびパナソニック株式会社の第三セクター方式で設立されました。現在は従業員67名のうち、身体障がい者23名、知的障がい者12名、精神障がい者1名が働いています
(2024年3月現在)。
アソシエイツ滋賀で働くメンバーの障がいの状態や程度は様々です。細かい作業が苦手な人、車椅子を使用している人、聴覚に障がいがある人、発達障がいのある人など障がいの種類や程度は幅広く、一人ひとりが力を発揮して働ける環境・制度の工夫が充実しています。「もにす認定」(障がい者雇用の促進や雇用の安定のための取り組みを行っている中小事業主に対する認定制度)にも選ばれており、その取り組みは高く評価されています。
今回は、障がい当事者からも好評な事例を中心に紹介します。
<障がいのあるなしに関わらず投書できるご意見箱>
誰でも何でも言い合えるような風通しの良さを何より大切にしているアソシエイツ滋賀。リーダーが積極的な声掛けやきめ細かな目配りを意識するのはもちろん、それでも声を上げにくい人のために「ご意見箱」を設置しています。改善したいことを匿名で投書できる仕組みを作ることで、誰もが気軽に声を上げられるようにしました。一人ひとりの声から生まれた、働きやすい工夫が職場の至る所に反映されています。
<アナログなボード利用からアプリ導入まで対応は多彩>
体調を気軽に報告し合えるホワイトボードを設け、その日の体調をマグネットで簡単に表明できるようにしました。ちょっとした工夫ですが、"見える化"することで、互いにこまめに声をかけて休憩を挟んだり、業務量の調整をしたりすることができ、周囲の人がカバーしやすくなるなど、働きやすい環境づくりに役立っています。
身体障がい者への対応も、一人ひとりへの対応を大切にしています。例えば、指先の細かな作業が難しい従業員からの声で導入したのは「指先カッター」やフリック入力ができるアプリ。指先カッターは安全グッズとしてネットで買える商品で、指にはめて使う形状をしています。カッターを持って作業することが難しい人でも、安全に段ボールを開けられるようになりました。また、キーボードによる文字入力が難しいという声があれば、スマホのように画面上でフリック入力できるようなシステムとタブレット端末を新たに導入するなど、柔軟に新しいことを取り入れています。
コミュニケーションアプリの導入も一つ。障がいを持つ当事者だけでなく、その周囲で一緒に働く人がスマートフォンにアプリをダウンロードし、音声が文字変換されたものを画面上で見ながらコミュニケーションが取れるようにしています。画面上に音声が文字に変換され表示されるので、音の多い工場内でもきちんと音声認識が可能で、コミュニケーションの大切なツールになっています。
(左)指先カッター(右)PCでもフリック入力可能に
(左)音声入力でコミュニケーションを円滑にするアプリを導入
(中央)車椅子ユーザー同士だと扉の向こうに人がいるかどうか分かりにくく、衝突のリスクが。車椅子の高さからお互いが見えるようガラスの下部に屈折レンズを設置し、視認性を高めている
(右)トイレなど建物にも工夫はたくさん。洗面台も車椅子のまま使いやすいよう足元がオープンに。
<さまざまな障がいのある人が入り混じって働く環境の“気付き”>
アソシエイツ滋賀では、「さまざまな障がいのある人が入り混じって働く」環境そのものに、大きな意味があると考えています。仕事を通じた関わりの中で互いを理解し、自らの強みにも気づきやすくなるなど、社員のモチベーションアップに繋がっています。月に一度発表される「ファインプレー賞」
※も工夫の一つです。
※不良流出を未然に防止したり、装置の異変に感度よく気づいたり、など業務に関することから、業務以外でも周囲への気遣いなどをしてくれた社員を月初めの総合朝会で褒める施策
<障がいのある人が職場技能で競う「アビリンピック」で全国3位>
障がい者の職業能力の向上、雇用促進と地位向上を目的として、毎年開催されているアビリンピック全国大会に参加し、好成績を収めています。2023年は、全国大会3位の受賞者を輩出しました。多様な人が、それぞれ得意な分野を活かして活躍しているアソシエイツ滋賀において、アビリンピックへの参加は、仲間とともに成長していく前向きな風土醸成に貢献しています。
- 対話を通して進化し続ける、十人十色の「働きやすさ」
<製造責任者のコメント>
重度障がい者の多数雇用を目的に設立された当社の施設には、ハード面の工夫も多くあります。例えば、「駐車場に屋根を付ける」「作業台の高さがカスタマイズできる」「休憩時に車いすを離れて座りっぱなしを回避できるよう、畳座を設ける」などです。トイレ、通路なども車いすでの利用を意識した造りになっています。
障がいと一言で言っても、車いす利用者なのか、得手不得手は何かなど、十人十色。障がいのあるなしではなく、苦手・できないことの“マイナス面”、得意なこと・好きなことの“プラス面”両方に注目することを大切にしています。「きっとできないだろうから、やらせない」ではなく、「得意分野を見つけよう!」と前向きにトライすることの積み重ねが大切だと考えています。
数々のトライのなかで、その人が輝ける仕事をひとつでも見つけられたらOKです。ひとつの“プラス面”を見つけたことで、その後も、ステップアップし続けてスキルが驚くほど伸びた人もいます。今後も従業員みんなで、この風土を深化させていきます。
風通しの良さは、普段の関係性から。ボーリング大会など、楽しいイベントを定期的に開催。
業務以外での何気ない会話が、互いの障がいへの理解を広げています。
- くらしアプライアンス社のダイバーシティ経営推進の意義
くらしアプライアンス社では、「くらしアプライアンス社単体の法定雇用率の達成」「障がい者だからこその価値発揮による組織の成長」という2つの切り口から障がいを持った社員の活躍推進を目指し、「採用促進」「ハード・ソフト両面での活躍環境の整備」「KPIモニタリング」の3つの取り組みを強化しています。
多様な経験・高いスキル・価値観などを持つ人材が集まるダイバーシティなチームによるチャレンジこそが、事業の持続的成長や顧客価値最大化を実現する上で重要な要素です。
当社は、経済産業省の掲げる「ダイバーシティ経営診断手引き」を次の図のように捉え、重要な経営アジェンダの1つとしてDEI推進に取り組んでいます。2024年度は “心のバリアフリー”をテーマに、社外とも連携しながら様々な施策を実施していきます。
今後も研修内容の充実や支援制度の拡充、支援ツールの開発などを通じて、さらなる男性育休の取得促進や多様な働き方の実現をしていきます。
【パナソニック くらしアプライアンス社とは】
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社は、家電の開発・製造・リサイクルを中心に事業を展開しています。100年育んできたくらしに寄りそう力で、人と地球の未来に続く、感動の商品とサービスを創造することを目指しています。
そして、職場環境の整備と”誰もが輝く”新しい働き方の創造の両輪で、社員一人ひとりのウェルビーイングを実現する「人が生きる経営」を加速させていきます。
【概要】パナソニックアソシエイツ滋賀株式会社
【所在地】滋賀県彦根市野瀬町マ子キ269番地
公式サイト:
https://www.panasonic.com/jp/about/company/pash.html