Autodesk AI により、設計と製造の生産性、効率性、インスピレーションが向上
米国 Autodesk 社(本社:米国カリフォルニア州/代表取締役社長兼 CEO:アンドリュー・アナグノスト)は設計・製造業向けインダストリークラウド Autodesk Fusion(R)(以下、Fusion)、インダストリアル デザイン用ソフトウェア Alias(R) において、Autodesk AI を活用した機能の強化を発表しました。
Autodesk AI は、Autodesk Fusion と Alias の機能を強化し、時間を大幅に節約するとともに、複雑化が進む今日の製品をつくる設計者やエンジニアのクリエイティブなプロセスを支えます。
製造企業は、何十年にもわたり、年々複雑化する顧客の要求に応えてきました。それに伴い、製品の設計や製造の複雑さは特に増してきています。
こうした課題は克服が困難に見えますが、高度な新ツールと情報を駆使することで、このような状況でも成長を続けることが可能です。これらのツールの基盤となるのはデータです。データを徹底活用すれば、非常に多くのことを成し遂げることができます。しかし、データから価値を引き出すことは、簡単なことではありません。
データ活用に必要となるのが AI です。
サプライチェーンの危機の予見や、シミュレーションを通じた、サステナブルかつ製造性を考慮した設計、手間のかかるタスクの自動化など、Autodesk ではお客様がより価値と対価のある作業に集中できるよう、AI を活用した機能を構築しています。
今や業界には、AI、データ、デジタル化がもたらす価値を捉える未曾有の好機が到来しています。
そのためには、データへのアクセスと相互接続を開始して、データがもたらす知見を明らかにする必要があります。Seagate Technology 社が世界の企業リーダーを対象に行ったデータ活用に関する調査「Rethink Data」によると、自動化や知見に使えるデータのうち 68% は、相互接続されていないことが原因で活用されていないことが判明しています。つまり、データがさまざまなツール、ファイル、サイロに分散し、作業工程や製造環境全体に情報を提供できないことを示しています。
そうした理由から、Autodesk は Fusion の構築に投資を続けています。Fusion は、製造業向けのデザインと創造のプラットフォームであり、Autodesk AI との緊密な連携を通じて、創造性を補完します。また、手間のかかるタスクのワークフローを自動化し、プロジェクトデータを分析し、ビジネスにメリットをもたらす予測的な知見をもたらす一元的な環境を提供します。
生産性と創造性を高める新しい Autodesk AI 機能
2024 年 10 月 15 日から 17 日(日本時間 10 月 16日から 18 日)まで米国サンディエゴで開催されたデザインと創造(Design & Make)のカンファレンス「Autodesk University(AU) 2024」にて、Fusion と Alias に導入された、Autodesk AI 搭載の新機能をご紹介しました。これらは、今日の複雑な製品を設計する際の生産性を大きく向上させるものとなります。
- 自動スケッチ内の「自動拘束」機能(Fusion):Autodesk AI がスケッチを分析して、対称性、相対的な寸法、パーツ間の関係など、設計の各側面で意図される空間的関係を検出し、その設計意図がプロジェクト全体で維持されるよう、寸法拘束を提案します。さらに、提案された寸法拘束は設計プロセス全体において、いつでも寸法を編集したり削除したりできるなどの調整が可能で、安定的かつ予測可能な結果を得るための新しいオプションも提供します。こうしたプロセスを自動化することで、設計者がこれらの関連性の定義を手動で行う場合の時間が大いに短縮され、意図された拘束が見過ごされた場合に生じる後工程の遅延を防止できます。
Autodesk AI を活用した Fusion の新しい自動スケッチ機能「自動拘束」は、設計の各側面の空間的関係を検出し、寸法拘束を提案することで、プロジェクト全体に設計者の意図を反映させることを可能にします。
- 図面の自動化機能(Fusion):図面の自動化機能は、ボタンをクリックするだけで 3D モデルを分析し、手作業では時間がかかる 2D 図面の生成や、部品の製造に必要な寸法の生成を自動で行います。Autodesk AI は、モデル内の各構成要素の図面シートをレイアウトしたり、スタイルを適用したり、図面内に含める必要がない締結部品を特定して削除したりなどの機能により、プロセスをさらに加速・合理化します。
Autodesk AI を活用した Fusion の新しい図面の自動化機能は、部品やアセンブリの 3D モデルから 2D図面を作成するという時間のかかるプロセスを自動化します。
- Form Explorer(Alias):Autodesk AI により、自動車のエクステリアデザイナーは、リアルで新しいデザインフォルムや形状を数秒でジェネレーティブに探求できます。Autodesk AI は、ブランドの伝統的なスタイリング言語を学習できるので、デザイナーが変更を試し、即座に新しいデザインを繰り返し探求するときにも、スタイリン様式を維持したデザインを生成できます。
- Autodesk Assistant(Fusion): Autodesk AI を活用した Fusion の Autodesk Assistant は、Fusion の機能のような Autodesk 固有の知識と一般的な業界知識の両方を学習した、オンデマンドの専門アシスタントです。「スロットミルを避けてツールパスをプログラムするには?」や「この部品で検討すべき製造方法は?」といった質問でアシスタントを呼び出すと、Autodesk Assistant は Fusion に関する答え、あるいは製造に関する答えを応答し、同時に情報源のハイパーリンクをシェアします。
Autodesk AI を活用した Fusion の「Autodesk Assistant」は、Fusion におけるタスク遂行についての質問に対する専門家レベルの回答や製造業界のベストプラクティスを、Fusion インターフェイス内で提供します。
設計・製造ワークフロー全体を Fusion で完結する EV 車のパイオニアである Vayve Mobility 社
競争と変化が激しいモビリティ・自動車業界において、新規参入企業は、電装部品からサスペンション部品まで、自動車を構成する多種多様な部品の概念化、設計、改良と反復だけでなく、それらのエンジニアリング、生産、組み立てを電光石火のスピードで行う必要があります。また、複雑かつ分断されたサプライチェーンを管理する必要もあります。
Vayve Mobility 社は、これらのすべてに対応する機能が備わっている Fusion を、設計の初めから終わりまでを網羅するプラットフォームとして採用し、2 つの電気自動車(3 人乗りの「Eva」と 5 人乗りの「CT5」)のコンセプトカーを完成させました。インド市場の固有のニーズや環境を重視してつくられた Vayve Mobility 社の自動車は、航続距離を伸ばすべくソーラーパネルを搭載しています。
増え続ける Fusion の機能と外部連携
コネクテッド ワークフローのためにつくられた Fusion は、CAD や CAM を超えて、CAE、ECAD、PLM、MES などにも対応するよう進化しています。今年 Autodesk は、何千もの部品で構成されたアセンブリを扱う複雑なプロジェクトでも Fusion を使用できるよう、パワーアップしました。同時に、あらゆる操作に対する応答スピードも劇的に向上し、多くのワークフローで所要時間が半分以下になりました。
このように Fusion 自体がパワーと機能の点で成長している一方、真の差別化要素は、その拡張性にあります。
新しい製造データモデル API
Autodesk の新しい製造データモデル API を含むプラットフォームアプローチと API により、パートナーやお客様は、強力なクラウド間およびデスクトップトゥクラウド接続を構築し、数多くのデザインツールを統合して、エコシステムを Fusion ワークフローに組み込むことができます。
Autodesk は、新しい製造データモデル API のリリースを発表しました。これは、あらゆるFusion プロジェクトの活力源であるクラウドホスト型の高粒度データモデルにより、お客様やパートナーが簡単にデータを交換することを可能にします。新しい API により、認定されたサードパーティ アプリはそのデータを Fusion モデルにフィードできるようになったため、Fusion と既存のワークフローとの統合や、業界全体で利用されているクラウドツールやデスクトップツールとの接続がしやすくなりました。
Open というツールは、部品表(BOM)ワークフローを自動化するウェブベースのプロセスを可能にするものですが、これにより設計者以外の方でも、手動に起因するミスを犯しやすいプロセスを介さずに、設計データからプロジェクトの BOM を確認できます。さらに、Fusion と SAP 間の双方向接続を可能にする Cideon により、SAP の企業資源計画(ERP)情報を Fusion 内で確認することができます。これにより、設計で指定されたコンポーネントをより明確に把握でき、最新の部品表が全員に提供されるので、原価計算や部品の発注など、フォローアップの ERP プロセスに共通の基盤ができます。
より迅速なコラボレーションを実現するコネクテッドツールのエコシステム
お客様は、設計や製造を行う際、多種多様なツールから成るエコシステムがシームレスに連携することを期待しています。Autodesk のパートナーには、現在 150 のハードウェア プロバイダーとソフトウェア プロバイダーが名を連ねますが、それらのうち 20 社以上は、革新的な製品で生産性、サステナビリティ、市場投入までのスピードの向上を図るため、今年新たに追加された企業です。
- Paperless Parts を Fusion へ統合:Paperless Parts プラットフォームを Fusion に統合したことで、企業の見積もり担当者は、顧客から受領した CAD モデルから素早く見積書を生成できます。モデルのファイル形式に関わらず、製造上の潜在的な問題点をすばやく特定し、Fusion を使用して部品の製造可能性を改善する修正を施すことができます。
- Avnet を Fusion へプラグイン:Avnet プラグインにより、電子設計者は、Fusion 内から直接設計ライブラリにアクセスし、コンポーネントの特定、リサーチ、原価計算、入手可能性の把握、および調達を行うことができます。リファレンス設計ライブラリは、エンジニアが設計に直接配置できる回路図とプロジェクト説明を提供するとともに、Avnet のサプライチェーンに関する専門知識とデータへのアクセスにより、製造可能性に関する設計上の保証を提供できます。この機能だけでも、製品の市場投入までの期間を大幅に短縮できます。
Fusion の Avnet プラグインにより、電子部品のソーシング、価格設定、入手可能性の把握、および調達を、Fusion ユーザーの指先ひとつで行うことができます。
- Makersite のInventor アドオン対応:新たに追加された Inventor Makersite アドオンは、Inventor においての製品設計段階にサステナビリティ関連の知見をもたらします。設計者は、設計が環境や原価にもたらす影響を計算したり、推奨される代替材料やサステナビリティ関連のトラブル個所のヒートマップを確認したり、サステナビリティの目標に向けた進捗の変化を追跡できます。
Autodesk Inventor で作業する設計者は、自ら選択した材料がサステナビリティにもたらす影響をヒートマップで表示し、Inventor アドオンの Makersite を使用して代替材料を検討できます。
- NAVASTO を Alias Automotive へプラグイン: NAVASTO プラグインは、Alias における初期のクリエイティブなデザインプロセスで風洞実験をシミュレーションとして実施することを可能にします。これにより、デザイナーは自動車のエクステリアやその空気力学に関する抗力係数を予測し、最適化することで、設計段階におけるデザイン修正の可能性を低減できます。
自動車のエクステリアデザイナーは、NAVASTO の AI ベースの風洞シミュレーションで、性能や空気力学分析の予測を Autodesk Alias で実施できるようになります。