【センコー】ウエルシア薬局が、PALTAC・センコー・日立・メーカーと共同でサプライチェーン全体の配送効率向上とエネルギー消費削減に向けて情報連携基盤と入荷自動化設備を導入
今回の取り組みは、経済産業省・国土交通省の「令和6年度 新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業」*6に採択されています。今後、ウエルシア薬局は、この枠組みを確立し、より多くのメーカーからの入荷に対応していくほか、ウエルシア薬局全社の拠点に対しても適用していく予定です。さらには、他のドラッグストアや卸売事業者にも参画を呼びかけ、ドラッグストア業界全体への普及・拡大をめざします。
*1 参画メーカーおよび委託先企業:エステー株式会社、大塚製薬株式会社、牛乳石鹼共進社株式会社、ユニリーバ・ジャパン・カスターマーマーケティング株式会社、愛宕倉庫株式会社、大塚倉庫株式会社
*2 物流・商流データ基盤:内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) スマート物流サービス」の「物流情報標準ガイドライン」に準拠して構築されているデータ基盤。なお、今回の取り組みでは公益財団法人流通経済研究所、株式会社プラネットより技術協力を得ています。
*3 「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送情報シェアリングプラットフォーム」に関する日立のWebサイト:
https://www.hitachi.co.jp/products/it/industry/solution/delivery_sharing/index.html?utm_source=new-2502_shar&utm_medium=web_bc&utm_campaign=nr
*4 バース:倉庫などでトラックなどの車両が荷物を積み降ろしするために使う専用のスペース
*5 デパレタイズ・パレタイズ:パレットの積み下ろしや積み込み
*6 新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業:経済産業省、国土交通省による事業。新技術を活用してサプライチェーン全体の輸送効率を向上させ、同時に非化石エネルギーの導入を促進することを目的としています。特に輸送部門のエネルギー使用効率を改善し、温室効果ガス排出を削減するために、革新的な技術と非化石エネルギー源の活用を推進します。
■各社の役割
ウエルシア薬局:事業全体を統括し、本プラットフォームや移動式協働ロボットなどの自動化設備を参画企業に提供します。
PALTAC:ウエルシア薬局からの発注を受け、各メーカーに対して出荷指示を行います。また、メーカーからの出荷予定(物流センターの入庫予定)を本プラットフォームに登録します。
センコー:輸送・3PL事業者として物流センターの運営と店舗への納品を担い、入荷業務では自動化設備などを使用した省人化、店舗配送ではドライバーに携帯端末を配備し、伝票の電子化に対応します。
日立:本プラットフォームの構築および自動化設備導入など、全体の技術提供を担います。日立はサプライチェーンをデータでつなぎ、現場のシステム・プロダクトと連携することで全体最適化を図り、「物流の2024年問題」の解決、フロントラインワーカーの負担軽減をめざしています。本プラットフォームにはLumada*7ソリューション「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送情報シェアリングプラットフォーム」を活用しています。また、自動化設備導入には日立および株式会社日立オートメーション(以下、日立オートメーション)のロボティクスSI技術を提供しています。
*7 Lumada:お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/index.html
■本取り組みの特長
1. サプライチェーン全体をつなぐ配送情報連携プラットフォーム
従来、メーカーからの確定入荷数や荷姿、納品車両などの情報(事前納品通知情報)は物流センターと連携されておらず、入荷車両のバースでの滞留時間の増加など、車両の非効率な運用につながっています。また、物流センターでは手作業で入庫時の検品作業が行われています。
本プラットフォームにより、メーカー出荷記録に基づく正確な事前納品通知情報を物流センターに連携可能となりました。これにより、入荷車両のバース滞留時間が短縮でき、車両の運行効率が向上するほか、待機分の人件費などのコストやエネルギー消費の削減につながります。
また、メーカーからの事前納品通知情報を物流センターのWMS*8や移動式協働ロボットなどの自動化設備に連携することにより、検品作業工数の削減、紙伝票の廃止、欠品や分納などの確認作業の排除による業務効率化を支援します。これらにより、物流センター全体の処理能力向上が期待できます。
また、「物流・商流データ基盤」の活用により荷物情報が標準化され、複数荷主による共同運行や物流会社間の再委託を可能にします。
*8 WMS(Warehouse Management System):物流倉庫における入荷、在庫、出荷などの一連の業務を一元的に管理・効率化するシステム
2. 移動式協働ロボットによるデパレタイズ・パレタイズの自動化
これまで、物流センターの入荷業務におけるデパレタイズ・パレタイズは主にドライバーが担っており、これは荷主や物流施設の都合によるドライバーの拘束時間となり、長時間労働の一因となっていました。そこで、日立オートメーションの移動式協働ロボットを導入することにより、入荷作業の自動化を実現しました。移動式協働ロボットは、メーカー各社の不定形のさまざまな品目の入荷業務に柔軟に対応するため、人間と同じように物体を3次元で認識し、AIを活用してマスターレスで制御できる日立オートメーションの高精度3Dビジョンを活用しています。また、アンカーレスかつキャスター付きで、作業者の手押しによる移動が容易なため、バースの割り当て変更に柔軟に対応できます。さらに、車両到着のピーク時には、人が加わってともに作業をするなど、フレキシブルな対応が可能です。
近年、物流業界ではトラックドライバーの残業時間を制限する働き方改革の影響で、ドライバーや庫内作業員の確保が困難となる「物流の2024年問題」により、業務の効率化と省力化が急務となっています。一方で、自社で完結しない、企業間の連携が必要な業務は、効率化が進みにくい傾向があります。また、欠品や分納などの増加で、入荷予定(メーカーからの出荷予定)の変動が大きくなり、入荷検品作業の効率が低下しています。脱炭素に向けても、国土交通省では、交通・物流(運輸部門)において、2030年度にCO2排出量を2013年度比で35%削減することを目標に掲げています。
こうした中、ウエルシア薬局は、これまでにも他のドラッグストアとの共同配送に取り組む*9など、物流の課題解決に向けて実績を積み重ねてきました。このたび、卸・メーカーとともに、サプライチェーン全体をデータでつなぎ、サプライチェーン全体の配送効率向上とエネルギー消費削減に貢献する取り組みを開始しました。
*9 2022年10月25日発表のウエルシアホールディングス株式会社ニュースリリース「ウエルシアグループは物流課題解決とCO2排出量削減のため、青森県下北エリアにおいてツルハグループとの共同配送を開始」
https://www.welcia.co.jp/ja/news/csr20221025/main/0/link/WHDNewsRelease20221025.pdf
■リテールテックJAPAN 2025での紹介について
2025年3月4日(火)~7日(金)に東京ビックサイトで開催される「リテールテックJAPAN 2025」の日立グループブースにおいて、本事例および関連ソリューションをご紹介します。
日立グループ リテールテックJAPAN 2025のWebサイト
https://www.hitachi.co.jp/products/it/industry/seminar/information/rtj/index.html?utm_source=new-2502wel_rtj&utm_medium=web_bc&utm_campaign=nr
■ウエルシア薬局について
ウエルシア薬局は、企業理念「お客様の豊かな社会生活と健康な暮らしを提供します」のもと、主に調剤併設型ドラッグストアチェーンの運営を行っています。「調剤併設」「カウンセリング営業」「深夜営業」「介護」の4つの柱をビジネスモデルとしたドラッグストアを39都道府県に約2200店舗展開しています。
ウエルシアグループでは、2030年のありたい姿として「地域No.1の健康ステーションの実現」を目指しており、地域社会の皆さまの健康増進にお役に立てるよう取り組んでまいります。
ウエルシア薬局Webサイト:https://www.welcia-yakkyoku.co.jp/
店舗一覧:https://store.welcia.co.jp/welcia/?category=01.02.06.12.18.20
■センコー株式会社について
センコーは、全国ネットの自動車輸送を核に、鉄道利用運送、海上運送、倉庫、工場内物流、国際物流等、幅広く展開しています。保管、配送、流通加工、情報流通等の複合機能を持った物流センターでの総合サービスや、物流合理化・効率化につながる最適システムの設計、オペレーション運営など、最新の情報技術を駆使したロジスティクスシステムでお客様の SCM 構築をサポートしています。
センコー株式会社Webサイト:https://www.senko.co.jp/
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」という3セクターの事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。3セクターの2023年度(2024年3月期)売上収益は8兆5,643億円、2024年3月末時点で連結子会社は573社、全世界で約27万人の従業員を擁しています。詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/ ) をご覧ください。