【ニュースレター】「YZF-R3/25」の新色人気からひもとく現代の価値観
~「YZF-R25」の販売台数が前年比190%超。マットパールホワイトが好調を後押し~
二つの偏光色を大胆にまとった「YZF-R3/25」のマットパールホワイト。
ロゴグラフィックの細部にも、繊細なデザインが盛り込まれた
当初の想定は「Z世代」のビギナーライダー
「ブルーとホワイトの偏光色の組み合わせは、映り込む光の具合や時間によってまったく異なる表情を見せます。目指したのは、思わず一目ぼれしてしまう圧倒的な個性。そのインパクトの強い個性が、幅広い世代に受け入れられたことに驚きと喜びを感じています」
そう話すのは、当社プロダクトデザイン部の溝越万莉さんです。販売好調の「YZF-R3」、「YZF-R25」のカラーリング企画を担当し、自らのチャレンジに手ごたえを感じています。今年夏までの販売実績で、「YZF-R25」は前年比190%以上の大幅な伸長を見せ、そのうち半分超のお客さまが、溝越さんが“チャレンジ”と表現した車体色(1枚目の写真/マットパールホワイト)を選択しているのです。
「当初私たちが狙っていたのは、Z世代のバイクビギナーたちです。この世代の価値観をあらためて把握しようと、インタビューをはじめとするさまざまな調査を行いました」と溝越さん。「たとえばSNS映えといった言葉の中にもニュアンスの変化が起こっていて、デコラティブ、つまり“盛りすぎ”に対する拒否反応なども垣間見えてきました。半面、ありのままの姿への共感や、自己主張、反骨精神といった価値観を見いだして、“平均的なスターなんていない。圧倒的な個性で際立て。Neo Speedster”というCMFG※のコンセプトを立案しました」と振り返ります。
※CMFG= Color(色)、Material(素材)、Finish(仕上げ)、Graphic(グラフィック)」の略
経験やジェンダーにとらわれない「幅広い支持」
「YZF-R3/R25」のカラーバリエーションは全3色。そのうちヤマハレーシングスピリットを表現したブルーと、どんな服装でもマッチするマットダークグレーは、シリーズの定番とも言えるラインアップです。これらに加えて「サードカラー」と位置づけられる車体色の企画には、例年、新たな顧客層の開拓や新たな世界観の提案といったミッションが掲げられてきました。
「自分にとって驚きだったのは、想定ターゲットに置いていたZ世代だけでなく、40代、50代、さらには60代まで、バイクのキャリアやジェンダーなどにとらわれず、購入者の半分以上がマットパールホワイトを選んでくださっていることです」と溝越さん。これまでにないCMFGデザインが、「なにかの化学反応を起こしているのかもしれない」と、あらためてその分析にも取り組んでいきたいと話します。
一方で、このカラーリングを実現するためには、コスト抑制の工夫や、塗装工程を含めた課題の解消など、苦労も少なくなかった様子。それでもマーケットの大きな支持を受け、圧倒的な個性まとったインパクトカラーで「Rシリーズが提供する非日常の魅力を拡げられた」ことを実感し、CMFGプランナーとしての確かな自信を得た様子です。
■広報担当者より
安定した需要が見込めるブルーとダーク系の定番カラーに対し、サードカラーの企画には常にチャレンジが求められます。そうした意味で、「YZF-R3/R25」のマットパールホワイトは、近年にないヒットカラー。購入者の属性分布を見て、その幅広い支持に、溝越さんの言う“なにかしらの化学反応”を私自身も感じました。
