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弘前大学(青森県弘前市/学長:福田眞作)では2月14~20日にかけて、学生・役員・教職員をパラオ共和国に派遣しました。この取り組みは、同大の「教養教育海外派遣プロジェクト」の一環で、今回で3回目。太平洋戦争末期に激戦地となったパラオで戦争の悲惨さや平和の大切さを学ぶとともに、異文化に触れ多様な価値観を理解することを目的としています。今回は、同大の福田眞作学長、柏倉幾郎学長特別補佐、教職員らと学生8名が同国を訪問し、パラオコミュニティカレッジ(PCC)で現地の学生らと交流したほか、病院や福祉施設、ペリリュー島の戦跡などを見学しました。
パラオ共和国は多くの島々から構成される、ミクロネシア地域の共和制国家。日本の真南、フィリピンの東方にあり、赤道近くに位置しています。
第一次世界大戦後に日本の委任統治領となり、太平洋戦争では日本とアメリカの激戦地となりました。終戦後は国連の信託統治地域としてアメリカの施政下に置かれ、1994年に独立。同年に国連にも加盟しています。
弘前大学は、創立80周年記念先行事業の一環として、昨年2月および9月に学生・役員・教職員を同国に派遣しており、今回が第3回目となります。このプロジェクトでは、2027(令和9)年度までパラオ共和国への派遣を予定しています。
【パラオ派遣】
一行はまず、パラオ唯一の高等教育機関パラオコミュニティカレッジ(PCC)を訪問。はじめに学生ガイドによるキャンパスツアーが行われ、実習用の作業場や研究室、図書館、事務室など、キャンパス内の主要施設に関する詳しい案内がありました。
その後、学生同士の交流会として、現地学生とテーブルを囲み、英語でのコミュニケーションに挑戦。お互いの国の文化や趣味、弘前の魅力、今回の旅で訪れた場所などについて話し合い、時にはスマートフォンの画面を一緒に見ながら盛り上がる場面も見られました。同世代ならではの笑顔あふれる異文化交流の時間となりました。
続いて訪れた在パラオ日本国大使館では、笠原謙一大使から、大使館の役割や日本とパラオの関係について講話がありました。歴史的なつながりに加え、国際情勢の中で両国がどのように協力しているのか、またパラオがアメリカをはじめとする各国から経済支援を受けている現状など、幅広い視点から説明があり、現在のパラオについて理解を深める大変貴重な機会となりました。
ベラウ国立病院では、レイノルド・オイロー副大統領兼保健福祉大臣も同席し、同院の医療職のスタッフたちと意見交換を行いました。学生は一人ずつ英語で質問を行い、パラオの医療について理解を深めました。
懇談会の後には院内を案内され、新設された緩和ケア病棟や、CT、MRIをはじめとする充実した設備を見学しました。一方で、それらの設備を十分に活用するための医療従事者が不足している現状についても説明を受けました。
また、JICA海外協力隊として派遣されている日本人医療従事者に挨拶する機会にも恵まれ、特に医学部の学生にとっては、海外医療の実情に触れる貴重な学びの場となりました。
かつて激戦が繰り広げられたペリリュー島を訪れ、現地の日本人ガイドの案内のもと、千人洞窟や海軍司令部跡、平和記念公園、オレンジビーチなど、数多くの戦跡を見学。洞窟の内部には、ガラス瓶等の遺物もそのまま残されており、当時の様子を肌で感じることができました。
ペリリュー島訪問の最後に、戦没者を追悼するため「鎮魂の碑」を訪れ、参加者全員で黙とうを捧げました。サンゴ礁の美しい海と、その背後にある悲しみの歴史を同時に学ぶことで、平和について深く考える一日となりました。
福祉施設であるシニアシチズンセンターでは、学生が現地の高齢者と交流。中には、日本統治時代に子ども時代を過ごしたことから日本語を流暢に話せる方もおり、日本語でのインタビューにも快く応じてくれました。また、花札を楽しむ姿も見られるなど、パラオの高齢世代には日本の文化が今も深く根付いていることを学生らは実感していました。和やかな雰囲気の中、会話も自然に生まれ、学生にとってパラオの歴史と文化を身近に感じる機会となりました。
さらに、JICA(国際協力機構)パラオ事務所では、青木恒憲所長とスタッフの方から、JICAの取り組みについてレクチャーを受けました。学生らは、現地での具体的な活動内容や隊員として派遣される際の語学習得の課題など、多くのことを質問し、国際協力の現場で働く方々の生の声に触れることで、国際協力への関心を高める有意義な時間となりました。
そのほかにも派遣団は、日本・パラオ友好の橋やベラウ国立博物館、日本統治時代のパイナップル工場跡などを見学。また、2025年11月に青森県の民間調査チームによってジャングルの奥深くから新たに確認された、太平洋戦争中の集団埋葬地とみられる場所を離れた所から静かに見学し、全員で手を合わせて慰霊の気持ちを捧げました。
【パラオ共和国第3回派遣に係る学生報告会】
帰国後、2026年3月18日には「パラオ共和国第3回派遣に係る学生報告会」を弘前大学文京町キャンパスおよびオンラインで開催。学生・役員・教職員に加え、一般の方も含め約50名が参加しました。
報告会では、参加学生がパラオ共和国の紹介や激戦地であったペリリュー島を訪問して感じたこと、同世代の学生が通うパラオコミュニティカレッジ(PCC)やベラウ国立病院をはじめとした現地施設での交流を通して学んだことについて発表しました。学生たちは「日本とパラオ共和国とのつながり、戦争や平和について学び、現地の文化を経験したことについて、自分の記憶に留めるだけではなく、伝えていくことの大切さを実感しました。貴重な体験の機会をいただけたことに感謝を申し上げます」と報告と感謝の言葉を述べました。
また、このプロジェクトに参加した柏倉学長特別補佐からは「若い世代が戦争について学んだことを、未来に繋ぎ伝えていくことを期待したいです」と話があり、福田学長からは「日本と異国の違いを感じとり世界に目を向けられるようになってほしいです。将来は多くの若者に平和の意思を示していっていただきたいです」と言葉が寄せられました。
パラオ共和国において参加者が感じた戦争の悲惨さと平和の尊さは、一人ひとりが語り継いでいくことが大切です。そして、その平和をどのように築いていくのかをこれからも考え続けていかなければなりません。
このプロジェクトを通じて、異なる国の言語や文化、価値観に触れ、歴史や医療、産業など多様な分野への理解を深めることができました。その経験が参加者にとって、国際感覚を養い、平和について考え行動するきっかけになることが期待されます。
弘前大学ではこのような機会を大切にし、国際交流と平和教育に努めると共に、教育・研究のさらなる発展に寄与していきます。
■弘前大学 教養教育海外派遣プロジェクト〔第3回本隊派遣〕概要
・派遣国:パラオ共和国
・派遣時期:2026年2月14日(土)~2月20日(金)
・派遣者:学生8名(人文社会科学部1名、教育学部1名、医学部医学科1名、医学部保健学科2名、医学部心理支援科学科1名、理工学部1名、農学生命科学部1名)、福田眞作学長、柏倉幾郎学長特別補佐、教職員等7名
(参考リンク)
●在パラオ日本国大使館ホームページ
https://www.palau.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
・弘前大学の学生訪問2026(在パラオ日本国大使館公式サイト内)
https://www.palau.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_02476.html
●弘前大学創立80周年記念事業特設ページ
https://www.hirosaki-u.ac.jp/80th/
・第1回派遣について
https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/101110/
・第2回派遣について
https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/107581/
・第3回派遣について
https://www.hirosaki-u.ac.jp/topics/112223/
●大学プレスセンター内関連記事
・弘前大学の学生・役員・教職員らがパラオ共和国を訪問 ― 創立80周年記念先行事業、太平洋戦争の激戦地となった同国で平和の大切さを学ぶ(2025.03.03)
https://www.u-presscenter.jp/article/11165
・弘前大学の学生・役員・教職員らがパラオ共和国を訪問、太平洋戦争の激戦地となった同国で平和の大切さを学ぶ ― 創立80周年記念先行事業・第2回派遣(2025.10.31)
https://www.u-presscenter.jp/article/4564
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https://www.u-presscenter.jp/