メルシャン株式会社(社長 横山清)は、キリン株式会社(社長 磯崎功典)のワイン技術研究所と共同で、ワインの重要な香り成分の一つであり、ブドウ果実中に含まれるリナロールは、その生合成には果実への受光が必須であることを明らかにしました。この研究成果は、8月5日(金)に公益社団法人日本農芸化学会の英文誌(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry)のオンライン版に掲載されました。
●研究の概要
・リナロールは、花のような香りを呈し、ワインの品質に貢献する香り成分です。リナロールはブドウ果実中で生合成されますが、そのためには果実への受光が必須であることを示しました。
●研究方法と結果
・光を遮断するフィルムでブドウ果実を覆い、果実中のリナロール含量およびリナロール生合成に関わる遺伝子の発現量を調べた結果、果実の遮光によりリナロール生合 成に関わる遺伝子発現およびリナロールの蓄積が著しく抑制されることが分かりました。
・光を反射するマルチシートをリースリングの畑に敷設することで、リナロール生合成に関わる遺伝子発現およびリナロールの蓄積が増加することを示しました。
●考察
・今回の実験結果から、受光によりブドウ果実中のリナロール生合成酵素遺伝子の発現が誘導され、ブドウ果実中のリナロールが蓄積することが分かりました。また、果実への受光量をコントロールすることで、花のような香りをより引き出したワインを醸造できる可能性を示しました。
●研究成果を生かした商品
「シャトー・メルシャン 大森リースリング 2015」※
・秋田県横手市大森地区で栽培されたリナロールを多く含むリースリングから造られた、華やかな香りと心地よい酸味が特徴のワインです。今回の研究から得た知見
を基に、香りをより引き出したワイン醸造が可能となりました。
※8月30日(火)発売