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関西大学社会安全学部・大学院社会安全研究科の減災政策研究室(永松伸吾教授)は、岩手県大槌町の震災遺構としての社会的価値は、2014年~2016年の3ヵ年で約13億円に及んでいたことを算出しました。さらに、今後30年においてもその価値は7億8,000万円に及ぶと試算し、震災遺構の中核を占める旧大槌町役場庁舎の今後について、解体か保存かの二元論ではなく、ドーム化や移設も含めた「第3の選択肢」を検討する必要性を示しました。
【本件のポイント】
・岩手県大槌町の震災遺構としての社会的価値は、2014年~16年の3ヵ年で約13億円に及び、今後30年における現在価値は、約7億8,000万円と推計される
・旧大槌町役場庁舎の今後30年における維持管理費は総額約1億500万円
→全体的観点からみると、旧庁舎解体による経済損失は、最大約6億7000万円にも及ぶ可能性
・震災遺構の今後について、「解体」か「保存」かの二元論ではなく、「第3の選択肢」の必要性を指摘
永松伸吾教授は、減災政策研究室所属の辻 萌奈美(もなみ)と協働で、岩手県大槌町の震災遺構としての社会的価値を推計しました。計算方法は、環境価値の測定などで一般的に用いられている「ゾーン・トラベルコスト法」を使用。その結果、2014年~2016年の3ヵ年で、大槌町の震災遺構としての価値は約13億円に及んでいたことがわかりました。この数字は、大槌町で震災について学習することで訪問者が得られる価値を金銭換算し、すべての訪問者について合計したものと解釈されます(観光客収入や地元産業への波及効果といったいわゆる「経済効果」とは異なりますのでご注意ください)。
またこの結果を基に、旧大槌町役場庁舎が維持された前提において、将来の大槌町の震災遺構としての価値について推計を行いました。震災の記憶の風化と共に観光客の減少がこれまでと同様に見込まれると仮定しても、今後30年で、約7億8000万円の価値があることがわかりました。旧庁舎は震災の教訓を伝える中核的な施設であり、今回の研究は旧庁舎も含めた大槌町の震災遺構としての価値を定量的に評価した初めての試みとなります。
一方、今後30年における旧庁舎の維持管理費は、約1億553万円に及びます(大槌町による試算結果を基に計算)。従って、旧庁舎の解体は日本全体の観点からみると、最大で約6億7000万円の損失をもたらす可能性が明らかになりました。
以上を踏まえ、永松教授らは、解体方針が決まった旧庁舎の今後について、解体か保存かの二元論ではなく、外観が見えなくなるようドームで覆うといった方法や、解体後に他の場所に移設するといった方法も含めた「第三の選択肢」を検討する必要があると指摘し、その費用については国が負担する価値があることを主張しています。
<本件に関するお問い合わせ先>
関西大学 社会安全学部 教授
永松 伸吾
TEL:080-5332-1734
E-mail:nagamatu@kansai-u.ac.jp
<発信元>
関西大学 総合企画室 広報課(〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35)
担当:石田、寺崎
TEL:06-6368-0201
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【リリース発信元】 大学プレスセンター
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