日本製鉄 廃プラスチックの効率的なリサイクルに向けて ~「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に向けた提言~
日本国内では年間約900万トンの廃プラスチックが排出されていますが、そのうち発電等に熱回収(サーマルリサイクルされているものが57%、単純焼却やリサイクルが難しく廃棄物として処理されているものが16%あり、再生利用にあたるリサイクルは、材料リサイクル23%と、ケミカルリサイクル4%のみです(図1)。
(図1)廃プラスチックの行方
各リサイクル法におけるCO2削減効果を(図2)に示します(材料・ケミカルリサイクルは各種の方法があるが、処理量が最も多い、再生樹脂への材料リサイクル、コークス炉でのケミカルリサイクルの例で示す)。これでわかるように、コークス炉によるケミカルリサイクル法は、リサイクルによるCO2削減効果が大変高いことが解ります。つまり、廃プラスチックをコークス炉法などのケミカルリサイクルに回すことにより、同じ量の廃プラスチックでよりCO2削減できることになります。
手法に関する環境負荷等の検討II(平成24年10月4日)」より作成
(図2)熱回収・リサイクル手法毎の環境負荷
容器包装プラスチックのリサイクルに関する入札制度では、現状、材料リサイクルを優先する制度が導入されていますが、循環型社会形成推進基本法では、材料リサイクルとケミカルリサイクルも同等で再生利用にあたるものとしています。材料リサイクルの場合、約50%の残渣が主に他工場で熱回収に回されていることを考慮すると、残渣の発生が少なくほぼ全量が再生利用されているケミカルリサイクル法は、環境負荷低減や経済性の観点から、大変環境性に優れたリサイクル法と我々は考えています。足元の廃プラスチックの国内滞留問題を顧みると残渣が少ないケミカルリサイクルをさらに活用することが環境を考える上で有効です。
容器包装リサイクル法の完全施行から19年経過して、同法は循環型社会構築に向けて一定の成果を挙げてきましたが、先に述べた入札制度の問題(一手法を優先している歪さ)や対象量が年間67万トンに留まっていることを考慮すると、再構築が必要であると考えます。政府が取りまとめたプラスチックの循環資源戦略の数値目標を達成するためには、再生利用率の高い手法が活躍できる環境を整えるとともに、市町村の容器包装リサイクル法への参画率(現状約70%)を伸ばして収集量を増大させること、また、対象を容器包装プラスチックに限らず一般廃棄物系プラスチック全体を含めた法体制を整備していくことが必要と考えます。
また、こうした取り組みが、諸外国による廃プラスチックの禁輸措置に対応した国内資源循環体制の構築に資するものと認識しています。
日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した優れた製品・サービスの提供を通じて社会の発展に貢献して参ります。
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以 上