日加の林産業界の理解を深める「Canada Japan Wood Forum」開催
カナダ林産業界のトップリーダーたちが一堂に会し、日本市場向けの安定供給について発信
カナダ林産品の普及活動を行う非営利業界団体カナダウッドの日本事務所、カナダウッドジャパン(所在地:東京都港区、代表:ショーン・ローラー)より、2022年11月10日(木)に木材会館にて開催した「Canada Japan Wood Forum」についてご報告します。カナダウッドジャパンが主催する「Canada Japan Wood Forum」は、カナダと日本の林産業界および木造建築業界の相互理解を深めるための場として2019年に初めて開催され、今年は3年ぶりの開催となりました。
冒頭にカナダブリティッシュ・コロンビア州(BC州)林業担当のリック・マンワーリング副大臣より今回の開催に寄せての開会の挨拶があり、「BC州は100年近くにわたって日本に製材を輸出しており、新型コロナウイルスによるパンデミックや気候の影響で世界経済と貿易が大きな影響を受け、ウッドショックによって市場は混乱したものの、カナダは日本に対して継続的にコミットメントしてきた。BC州は豊富な資源を保有しており、Jグレードをはじめとするプレミアムグレードの製材を輸出できる能力を持っている。建設的な協力関係が築ければ、今後も安定供給が保証できると考えている」と両国間の関係維持について言及しました。
カナダのパネリストによるパネル・ディスカッションでは、まずカナディアンフォレストプロダクツ社(Canfor)マーケティング&セールス バイスプレジデントのケビン・パンクラッツ氏より、EUを中心としたグローバルの市況について説明がありました。インフレによる影響や虫害の状況、またロシア・ウクライナ情勢などの世界的課題を挙げつつ今後のグローバル需要と生産予測について触れ、日本市場に関しては、「日本は希望が持てると感じており、環境に配慮したグリーンビルディングの潮流が来ている中、日本の需要動向を見ていきたいと考えている。BC州の森林はマウンテンパインビートルによる虫害が収束したことでより高品質の製材を供給できると期待され、日本には低いグレードの製材は入って来ないだろう」との見解を述べました。
続いて、トルコインダストリーズ社 輸出セールス&マーケティング ゼネラルマネージャーのジョン・ラングレー氏からは、木材市場に多大な影響を与える住宅需要の動向を中心に、北米の市況に関するプレゼンテーションがありました。「2023年のSPFハイラインとJグレードの生産量は併せて約10億BF(ボードフィート)と見込んでおり、日本市場を満たす十分な木材があると考えている。価格に関しては難しい部分もあるが調整期に入っており、競争力のある価格を提示できるのではないか。ロジスティクスの改善にも努めており、バンクーバーでは専用の施設から輸出を行っている。日本とは引き続き良い関係を構築していければと思う」と、日本市場に対する積極的かつ前向きな姿勢を示しました。
また、ウェスタンフォレストプロダクツ社 人事・コーポレートアフェアーズ シニアバイスプレジデントのジェニファー・フォスター氏からは、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の実行をはじめとした45の先住民族との協働による持続可能な林業について紹介があり、林産業は人間関係に基づいたビジネスであることを強調しました。
(左)B.C. Deputy Minister of Forests, Rick Manwaring
(右)Kevin Pankratz, Vice President, Marketing & Sales, Canadian Forest Products Ltd.
日本のパネリストからは、「木材業界は大きなチャンスを迎えていると考えており、現在(※当時)COP27が開催されているが、木材は炭素の吸収と固定に貢献する再利用可能な資源であるため、需要が拡大していくのは間違いない。日本もカナダも共に木材の消費が広がるよう努めていきたい」と、社会的な背景も交えた業界に対する期待感が語られました。
なお、今回来日したカナダ林産業界のトップリーダーたちは、NLT(Nail-Laminated Timber)が一部に採用された東京藝術大学の国際交流拠点(仮称)の視察やカナダ材を使用しているパネル工場の見学なども行い、さらなる意見交換と交流の場を設けました。
カナダウッドジャパンでは、今後も日本におけるカナダ材のさらなる活用促進を目指し、今回の「Canada Japan Wood Forum」をはじめとした業界の相互理解に基づく普及活動に取り組んでいきます。