ローカル5Gを用いたスマート農業実証プロジェクトの開始について
ローカル5Gを用いたスマート農業実証プロジェクトの開始について
~ICTを用いたゆず生産の効率化と生産者の確保・育成をめざす~
プレスリリース
2023年1月10日
NTTコミュニケーションズ株式会社
日鉄ソリューションズ株式会社
株式会社エムスクエア・ラボ
国立大学法人北海道大学
高知県安芸農業振興センター
高知県農業協同組合
株式会社土佐北川農園
高知県安芸郡北川村
高知県安芸市
ローカル5Gを用いたスマート農業実証プロジェクトの開始について
~ICTを用いたゆず生産の効率化と生産者の確保・育成をめざす~
株式会社NTTデータ経営研究所を代表機関として、一般社団法人日本の農村を元気にする会、NTTコミュニケーションズ株式会社、日鉄ソリューションズ株式会社、株式会社エムスクエア・ラボ、国立大学法人北海道大学、高知県安芸農業振興センター、高知県農業協同組合、株式会社土佐北川農園、高知県安芸郡北川村、高知県安芸市、の11機関は、2022年8月に、ローカル5G※1を用いたスマート農業の実現に向けた実証事業(以下、本実証事業)の採択※2を受け、この度2023年1月より現地(高知県北川村)において課題解決に向けた実証を開始致します。
本実証事業では、高知県北川村および安芸市のゆず農園を実証フィールドとして、農園にローカル5G基地局を設置し※3、4K360°カメラやスマートグラス等のIoT機器を活用した、①モバイルムーバーを用いた自動防除ソリューション、②スマートグラス等を用いた新規就農者遠隔指導ソリューション、③自動防除・新規就農者遠隔指導のシェアリングサービス、の3つのテーマで課題実証を行い、ゆずの生産コストの低減、新規就農者の確保及び育成をめざします。
なお、本実証実験ではゆず生産にかかる課題解決をめざすとともに、ローカル5Gの「電波伝搬モデルの精緻化」、「エリア構築の柔軟性向上」についても技術実証として合わせて取り組みます。
今後、視察会等の開催も検討しておりますので、ご関心のある方は本件に関するお問い合わせ先まで是非ご連絡をお願いします。
1.現地実証期間
技術実証:2022年12月1日(木)~2022年12月21日(水)【済】
課題実証:2023年1月10日(火)~2024年3月31日(日) 【予定】
2023年1月から北川村のゆず農園にて①モバイルムーバーを用いた自動防除ソリューション、②スマートグラス等を用いた新規就農者遠隔指導ソリューション、の実証を行います。安芸市内のゆず農園については、2023年4月から実証を行う予定です。
また、③自動防除・新規就農者遠隔指導のシェアリングサービスについては、2023年4月から北川村及び安芸市のゆず農園にて実証を行う予定です。
2.実証事業実施場所
高知県北川村内のゆず農園 ※一部農園は2023年4月より実証開始予定
高知県安芸市内のゆず農園 ※2023年4月より実証開始予定
3. 各社の役割
■株式会社NTTデータ経営研究所
・各種連絡調整
・定例会等の会議主催
・普及啓発活動の検討および実施
・成果報告書取りまとめ
■一般社団法人 日本の農村を元気にする会
・課題実証の取りまとめ
・課題実証ソリューションの社会実装の実施主体
■NTTコミュニケーションズ株式会社
・技術実証の実施主体
・課題実証(モバイルムーバーを用いた自動防除ソリューション、スマートグラス等を用いた新規就農者遠隔指導ソリューション)の技術支援
■日鉄ソリューションズ株式会社
・ローカル5G環境構築の実施主体
■株式会社エムスクエア・ラボ
・課題実証(モバイルムーバーを用いた自動防除ソリューション)の実施支援
■国立大学法人 北海道大学
・課題実証(モバイルムーバーを用いた自動防除ソリューション)の実施支援
■高知県安芸農業振興センター
・実証技術の普及活動への協力
■高知県農業協同組合
・安芸地区の生産者との連携支援
・普及啓発活動の支援
■高知県安芸郡北川村
・北川村の生産者との連携支援
・普及啓発活動の支援
・課題実証ソリューションの社会実装の実施支援
■高知県安芸市
・安芸市の生産者との連携支援
・普及啓発活動の支援
■株式会社土佐北川農園
・実証フィールドの提供
・実証に関するデータ収集の支援
本実証事業に関する取り組み内容については、以下のとおりです。
<本実証事業における取り組みの概要>
本実証事業では、高知県安芸地区の基幹産業であるゆず生産における、生産コストの低減、新規就農者の確保及び育成を目指し、①モバイルムーバーを用いた自動防除ソリューション、②スマートグラスを用いた新規就農者遠隔指導ソリューション、③自動防除・新規就農者遠隔指導のシェアリングサービスの3つのテーマの実証に取組みます。
なお、本実証実験ではゆず生産にかかる課題解決をめざすとともに、ローカル5Gの「電波伝搬モデルの精緻化」、「エリア構築の柔軟性向上」についても合わせて取り組みます。
■モバイルムーバーを用いた自動防除ソリューション
防除作業、草刈り作業は重労働かつ年間を通じて作業が必要となるため、生産者の大きな負担となっています。
本ソリューションでは、小回りの利く農機であるモバイルムーバー(運転台車)に農薬散布用ホースおよび草刈り用アタッチメントを装着し自動運転させることで、自動での防除・草刈りの実現を図ります。車両に取り付けた4Kカメラの高精細映像を、ローカル5Gネットワークを介して遠隔監視制御拠点へ伝送し、遠隔監視制御拠点にいるオペレーターが遠隔でモバイルムーバーを監視します。有事の際には緊急停止・緊急発進などの遠隔操縦をすることも可能となる見込みです。
各種作業のための生産者の常時随行が不要となるため、生産者の作業負担の軽減を行うことができると想定しており、防除にかかる作業時間については従来比で50%削減、草刈りにかかる作業時間については従来比で35%削減することを目標としております。実際の圃場で本ソリューションを試験導入することで、機能検証や経営改善効果の検証を行います。
<ソリューションイメージ図>
■スマートグラスを用いた新規就農者遠隔指導ソリューション
安芸地区では、従事者の高齢化などにより、ゆず生産の新たな担い手の確保・育成が求められています。
本ソリューションでは、Avatourを利用した「バーチャル圃場訪問システム」による新規就農希望者の確保、「遠隔指導システム」による新規就農者受け入れ体制の強化をめざしています。
「バーチャル圃場訪問システム」については、圃場に設置した4K360°カメラの高精細映像を、ローカル5Gネットワークを介してリアルタイムに伝送することで、新規就農希望者向けイベント会場等の遠隔地にいる人々の仮想的なゆず栽培圃場への訪問の実現を図ります。本実証においては、バーチャル圃場訪問システムを従来の圃場見学の代替手段として活用可能なレベルに到達させることを目標としております。
「遠隔指導システム」については、スマートグラス(Vuzix M400)を装着した複数の新規就農者が、ローカル5Gネットワークを介して遠隔指導拠点にいるベテラン従事者から一度に指導を受けられるようにすることで、より効率的な指導の実現を図ります。本システムを活用することで、新規就農者の指導にかかる工数を従来比で33%削減させることを目標としております。生産者の指導する内容としては、ゆずの生産・品質向上に直接的に結びつく作業内容である剪定・病害虫判断・収穫/選別(未経験者対象)を対象とし、遠隔指導による剪定・病害虫判断によって収穫量が従来比で10%増加することを目標として、導入効果の検証を行います。
<バーチャル圃場訪問システムのイメージ図>
<遠隔指導システムのイメージ図>
■自動防除・新規就農者遠隔指導のシェアリングサービス
生産者が①、②でご紹介したソリューション等を導入する際の負担を軽減するため、モバイルムーバーやスマートグラスなどの機器を複数の生産者で共同利用し、サービス事業者が自動防除時の遠隔監視や遠隔指導パッケージの提供などを担う「シェアリングサービス」の実証を実施します。
複数の生産者でシェアリングを行うことで、ソリューション導入にかかる生産者のイニシャルコスト、ランニングコストを低減することができるため、より多くの生産者へこれらのソリューションを展開することが可能になると想定しております。本サービスでは、モバイルムーバーやスマートグラス等のスマート農機の導入・利用にあたり生産者が負担するコストを32%低減させることを目標としております。
<自動防除ソリューションのシェアリングのイメージ図>
<新規就農者遠隔指導ソリューションのシェアリングのイメージ図>
※1 通信事業者以外の様々な主体(地域の企業や自治体等)が、自ら5Gシステムを構築するもの
※2 本実証事業は、総務省の令和4年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」および農林水産省の令和4年度「スマート農業産地モデル実証(ローカル5G)」の採択を受けて取り組むものです。
※3 北川村内のゆず農園ではローカル5G基地局またはLTEを活用して、安芸市内のゆず農園ではキャリア5Gを活用してソリューション検証を実施する
【報道関係お問い合わせ先】
日鉄ソリューションズ株式会社
管理本部 サステナビリティ推進部 広報・IR室
E-mail:press@jp.nssol.nipponsteel.com
・NS Solutions、NSSOL、NS(ロゴ)は、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です。
・本文中の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です