世界にインスピレーションを与え、アジアの優れたデザインを創造する 2023年度のDFAアワード受賞者を発表
香港デザインセンター(HKDC)のエリック・イム(Eric YIM)会長は次のように述べています。「デザインには認識を変える力があり、結果として私たちが住む世界を変えることにもなります。デザインの影響力が高まるにつれて、デザインの意味を考えることが現代人にとって不可欠な能力になっていくかも知れません。私たちに新たなインスピレーションと勇気を与えてくれた受賞者の皆様にお祝いを申し上げたいと思います。人の心やサステナビリティにつながるデザイン思考は単にここ数年のトレンドというだけでなく、この先数十年、あらゆる分野が進むべき道だと確信しています。」
2023年度DFA ライフタイムアチーブメント賞 (DFA LAA)
原 研哉 デザイナー |
日本デザインセンター代表で原デザイン研究所を主宰する日本の著名なグラフィックデザイナー 原 研哉氏は、コミュニケーションデザインの分野で確固たる足跡を残してきました。 1983年 武蔵野美術大学大学院修了後から、日常生活の中でのデザインの役割を再定義してきました。2002年にアドバイザリーボードに加わって以降、無印良品の重要なメンバーとして、大きな貢献を果たしてきました。「エンプティネス(空っぽ)」の概念へのフォーカスが、禅に根差した無印良品のミニマリスト的デザイン哲学の土台となり、ブランドの美意識に大きな影響を与えています。 その輝かしいキャリアを通じて手掛けてきた幅広いデザインプロジェクトに、その多才さと創造性がいかんなく発揮されています。中でも、長野冬季オリンピックの開会式・閉会式プログラム、2005年の愛知万博のプロモーションを担当したことで、大いに注目されました。 多数の著書もあり、『デザインのデザイン』や『白』は多くの言語で翻訳されて世界的に高く評価され、その影響力やインパクトを一層高めました。 長年、他方面に多大なインパクトをもたらしてきたデザイン哲学と、日常を非日常にし、シンプルさの中に英知を見出してインスピレーションをもたらし、人間としての共有体験を育み、理解と感覚の平和を促進しようとするその優れた才能を称え、2023年度のDFAライフタイムアチーブメント賞が贈られました。 |
ビクター・ロー・チャン・ウィン (Victor LO Chung-wing) ゴールドピーク・テクノロジー・グループ 会長兼最高経営責任者 (CEO) |
ビクター・ロー・チャン・ウィン氏は香港を拠点とするデザイン界やビジネスの構築において、極めて重要な役割を果たしています。ゴールド・ピーク・テクノロジー・グループ(GPグループ)の経営者として、そのビジョンとコミットメントによってグループをバッテリーおよびエレクトロニクス業界のグローバルリーダーに押し上げ、イノベーションやテクノロジーの追求と同様の芸術文化の分野への同氏のコミットメントも大いに称賛されています。 香港サイエンス・テクノロジーパーク(HKSTP)の設立や、香港デザインセンターをはじめ、ホテル・アイコン、ジョッキー・クラブ・イノベーション・タワー、香港デザイン インスティテュート、PMQ、M+等、香港を代表する数々の文化施設やクリエイティブ施設の設立と改革に際しては中核的な役割を担いました。その影響力をもって香港の文化やクリエイティブ業界の強化に努めただけでなく、デザイナーたちの海外進出を支援し、国際的な認知度を高めてきました。 2023年度のDFAデザインリーダーシップ賞の受賞は、その功績を称えるものです。デザイン、文化、コマースの分野にもたらした多大なインパクトは、ロー氏が先見的なデザイン思考を持ったリーダーであり、イノベーションの支援者であり、業界のキャプテンであることを改めて明確に示すものです。 |
2023年度DFA世界優秀中華デザイナー賞(DFA WOCD)
ジャン・チョン・ アー (Qiong Er JIANG) デザイナー シャンシア共同創業者 |
上海出身のジャン・チョン・アー(Qiong Er JIANG)氏は、作品の中で東洋と西洋の文化の融合を体現しています。同済大学卒業後、デザイナーを目指してフランス・パリの国立高等装飾美術学校(École nationale supérieure des Arts Décoratifs)で家具・インテリアデザインを専攻。2009年に中国に帰国し、エルメスグループと共同でシャンシア(SHANG XIA)を設立しました。感情を中心に据えた上で、伝統と現代性、伝統工芸とテクノロジー、機能性と感情の調和を図ることをデザイン哲学とするその作品には、東洋的な要素と西洋的な要素が見事に融合されています。文化交流やイノベーションにも精力的に取り組み、フランスのシュヴァリエ・デ・ザール・エ・デ・レトル勲章を受けたほか、世界ラグジュアリー協会の選ぶ「世界で最も価値あるラグジュアリーブランド100」にランク入りし、世界三大デザイン賞の1つであるレッド・ドット・デザイン賞のプロダクトデザイン部門の審査員に招聘されるなど、数々の栄誉を受けています。 先見性を持ったリーダーとして伝統とイノベーションを橋渡しし、世界のデザイン界への多大な貢献が評価され、2023年度DFA世界優秀中華デザイナー賞が贈られました。 |
2023年度 DFA アジアデザイン賞(DFA DFAA)
DFAアジアデザイン賞(DFA DFAA)は、アジアのデザイン界にインパクトを与える卓越した功績を称え、表彰しています。2023年度のDFA DFAAは、6つの異なるカテゴリーで優れたデザインを包括的にカバーしています。世界のデザイン界のあらゆる領域を網羅するこの6つのカテゴリーには、アジアの視点が織りなす豊かなデザインの世界が反映されています。今年度のDFA DFAA は、コミュニケーションデザイン、デジタル&モーションデザイン、ファッション&アクセサリーデザイン、プロダクト&工業デザイン、サービス&経験デザイン、空間デザインの6部門となっています。
2023年度のアワードでは、大賞10点、金賞19点、銀賞40点、銅賞55点、メリット賞92点を含む合計216点の優れたデザインプロジェクトが選ばれました。今年度の受賞数では、58のプロジェクトが受賞した香港が最多となり、中国と日本がそれぞれ52点と47点で続きました。受賞者はいずれの賞も、幅広い分野での功績を象徴し、デザインの素晴らしさとイノベーションの総合的な評価として与えられるものです。選考は40名を超えるさまざまな分野、地域のデザインの専門家で構成される国際審査委員会によって行われ、審査の過程では応募作品に対して、このアワードの多様性や包括性を反映する洞察に満ちた意見が寄せられました。
香港デザインセンターの副会長で、DFAアワードの運営委員長を務めたスティーブ・レオン(Steve Leung)氏は次のように述べています。「今年度のDFA DFAAには多数の優れたプロジェクトの応募があり、その中にはアジアや世界にポジティブなインパクトをもたらすために懸命に取り組んでいるさまざまな分野からの多様なソリューションが含まれていたことを、本当にうれしく思っています。ますます多くのデザイナーが文化的な伝統を継承し、その社会的意味を考えたり、サステナビリティを重視するようになっていることは非常に喜ばしいことです。今後、アジアの社会的価値を高め、持続可能なコミュニティを育んでいくための、示唆に富んだ、人間を中心に据えたデザインソリューションが一層増えていくことを願っています。」
DFA香港ヤングデザインタレント賞(DFA HKYDTA)
上記各賞のほかに、香港の新進気鋭のデザイナーたちにとって将来の希望につながるDFA香港ヤングデザインタレント賞(DFA HKYDTA)の結果も近日中に発表される予定です。最新のニュースや今後のイベントにご注目ください。
大賞プロジェクトのご紹介および高画質画像を含めたDFAアワード2023のプレスリリースは、こちらからダウンロードしていただけます:
[ https://hkdcentre-my.sharepoint.com/personal/dfaa_dfaawards_com/_layouts/15/onedrive.aspx?id=%2Fpersonal%2Fdfaa%5Fdfaawards%5Fcom%2FDocuments%2FDFA%20External%20Share%2FDFA%202023%20Result%20Announcement%20%2D%20Press%20Kit&ga=1 ]
DFAアワードについて( https://dfaawards.com/en/index/ )
2003年に香港デザインセンターによって創設されて以来、DFAアワードは社会におけるデザイナーの役割を支え、アジアに大きなインパクトをもたらしたリーダーシップや優れたデザインおよびプロジェクトを称賛すると同時に、将来性を持った香港の新進デザイナーの表彰を行っています。DFAアワードは、DFA ライフタイムアチーブメント賞、DFA デザインリーダーシップ賞、DFA世界優秀中華デザイナー賞、DFAアジアデザイン賞、DFA 香港ヤングデザインタレント賞の主要5部門からなるアジアのデザイン賞として世界的にも大きな影響力を持つようになっています。
香港デザインセンターについて( https://www.hkdesigncentre.org/ )
2001年に NGO として登録され 2002 年に設立された香港デザインセンター(HKDC)は、香港特別行政区(HKSAR)政府が香港をアジアの優れたデザイン拠点として確立させていく取り組みの戦略的パートナーです。HKDCは、デザインやデザイン思考をより幅広く戦略的に活用し、ビジネス価値を創出するとともに、社会的幸福を高めていくことを使命に掲げています。
創意香港(Create HK)について( https://www.createhk.gov.hk/en/index.html )
創意香港(CreateHK)は香港特別行政区政府が2009年6月に設立した専門機関です。2022年7月1日からは文化・スポーツ・観光局の下で香港のクリエイティブ産業の発展、振興をけん引し、香港がアジアにおけるクリエイティブの中心都市に位置付けられるよう、環境整備を進めています。CreateHKはHKDCが開催するビジネス・オブ・デザインウィーク(BODW)、BODW都市プログラム、DFAアワード、デザインナレッジウィーク、ファッションアジア香港、デザインインキュベーションプログラム、ファッションインキュベーションプログラムなど、香港のデザイン産業の振興のためのさまざまなプロジェクトを手掛けています。