PwCコンサルティング、「データマネタイゼーション実態調査2024」を公開
PwCコンサルティング合同会社
PwCコンサルティング、「データマネタイゼーション実態調査2024」を公開
データマネタイゼーションを実現できていると回答した方が約9%から約25%に増加
「新たな収益源の創出」を狙ったトップダウン型のデータマネタイゼーションの検討が盛んに
「費用対効果の創出」や「経営層からの理解」が主要課題に急浮上
PwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:大竹 伸明、以下「PwCコンサルティング」)は本日、「データマネタイゼーション実態調査2024」を公開しました。
2022年に「データマネタイゼーション実態調査2022」を発表して以来、データ利活用の普及や生成AIに代表される新たなテクノロジーの台頭により、企業におけるデータマネタイゼーションの検討は着実に進んでいます。PwCコンサルティングは、企業のデータマネタイゼーションやデータ流通の認知度、検討状況や直面する課題を明らかにすることを目的に、「データマネタイゼーション実態調査2024」を実施しました。調査対象は、過去の調査と同じく、日本国内の売上高500億円以上の企業・組織に所属する課長職以上で、データマネタイゼーションの検討から実行に対して何らかの権限がある(意思決定、企画検討など)方とし、1,076件の有効回答を得ました。
本調査結果のハイライトは以下です。また、本調査におけるデータマネタイゼーションの定義は「データ利活用による事業活動への付加価値の創出」の取り組みです。データの見える化による現状の把握やデータの高度分析によるインサイト発見といった「既存業務の効率化」、そして、データの外部提供(単体・組み合わせ)やデータ利活用による新規ビジネスの開発といった「新たな収益源の創出」に大別されます。
- データマネタイゼーションを「実現できている」と回答した人は24.5%(昨年から15.4pt増加)で、回答者の約4人に1人に到達。「データを使った社内業務の効率化」だけでなく、トップダウン型の「新たな収益源創出」を狙ったデータマネタイゼーションも行われている。
- データマネタイゼーション推進における企業の課題意識は昨年から大きく変化し、「費用対効果」が最大の課題に(昨年から37.3pt増加)。背景にあるのは「投資額に対するプレッシャー」「経営層と現場の間での認識のギャップ」。PoCからサービス化などの実現へと、取り組みのフェーズが変わってきている企業が増えていることが推察される。
- 「費用対効果」については、回答者の半数近くがデータマネタイゼーションに対して数千万~数億、数十億円単位の予算額を投下しており、各社の積極的な投資姿勢に対して、効果創出がシビアに求められていると推察される。
- 「経営層と現場の間での認識のギャップ」について、経営層は管理職層と比べて「データ販売(15.1ptのギャップ)」「他社協業によるプラットフォームビジネスの提供(同、10.2pt)」「プロダクトや業務ソリューションの販売(同、10.0pt)」などの「新たな収益源の創出」を狙ったデータマネタイゼーションのユースケースをより強く検討中。取り組みにおける両者の目線にギャップがあることを認識し、それを埋めていく活動が求められる。
- データマネタイゼーションが特に進んでいる業界は、通信・エンタメ・メディア業やテクノロジー業、サービス・接客・レジャー業。データやデジタル技術を扱うことが一般的で、データマネタイゼーションに取り組む土台が整っているため、他の業界と比べて検討が進みやすいと推察される。
- 自動車業や製造業なども、他と比べるとデータマネタイゼーションの検討が比較的進んでいる業界であることが判明。脱炭素化、サーキュラーエコノミーの実現から端を発した、カーボンニュートラル規制や欧州電池規則などへの規制対応をきっかけにして、企業間のデータ流通やデータマネタイゼーションの検討が加速していると考えられる。
- 検討が進んでいない業界においても、先行する異業界/異業種とのコラボレーションによる「先人の学び」や、規制や社会課題などの外部環境の要因をトリガーにすることができれば、業界内の競合他社に勝ち得ると思われる。
1. データマネタイゼーションはさらに加速。トップダウン型の「新たな収益創出」の検討を促す
図表2:データマネタイゼーションユースケースの内訳
このような「新たな収益源の創出」を狙うデータマネタイゼーションと、業務効率化などの一般的なデータ利活用では、取り組みが始まった経緯も異なることが明らかになりました。 「既存業務の効率化」「新たな収益源の創出」のそれぞれを検討する人に対して、データマネタイゼーションの取り組みが始まった背景を質問したところ、前者は「データ利活用等の取り組み(PoC等)からの派生」の回答が最多となりました(32.8%)が、一方で後者はPoCからの派生との回答は25.4%のみで、代わりに「全社戦略に基づくトップダウンでの社内プロジェクトチームや新組織発足」が32.4%と最も多く回答を集めました(図表3) 。「新たな収益源の創出」を狙ったデータマネタイゼーションの検討は、必要なケイパビリティを持ったメンバーの募集やプロジェクトチームの立ち上げなどの全社的な取り組みになることが多く、経営層からのトップダウンの号令がきっかけとなって具体的な検討に移る企業が多いと推察されます。
2. 「費用対効果の創出」がデータマネタイゼーション推進における最大の課題に
「費用対効果」が課題の上位に上がった要因の一つは、データマネタイゼーションに対する積極的な投資姿勢の裏返しと考えられます。データマネタイゼーション推進の予算額に関する質問では、新たな収益源の創出を狙ったデータマネタイゼーションを検討する回答者において、数千万~数億円規模の予算額を備えていることが分かりました(図表5)。 背景には、PoCからサービス化などの実現へと、取り組みのフェーズが変わってきている企業が増えてきていることが推察されます。「新たな収益源の創出」を含め、各社がデータマネタイゼーションに積極的に投資していることから、投資額に見合うだけの効果創出をよりシビアに求められるようになったと推察されます。
また、もう一つの要因としては、データマネタイゼーションに対する経営層と管理職層の検討内容や期待値のギャップが生じていることだと推察されます。データマネタイゼーションのユースケースについて、経営層・管理職層それぞれの検討内容を比較したところ、「データの直接販売(10.5pt)」「データ流通プラットフォーム経由のデータ販売(15.2pt)」「データ・ナレッジを用いたプロダクトや業務ソリューションなどの販売(10.0pt)」「他社協業によるプラットフォームビジネスの提供(10.2pt)」などのユースケースにおいて、管理職層に比べて経営層の方が回答を多く集めており、両者のギャップが示されました(図表6)。いずれも「新たな収益源の創出」に該当するユースケースであることから、経営層はデータマネタイゼーションにおいて「新たな収益源の創出」を強く意識していると考えられます。管理職側で推進している取り組みに対して、経営層の目線も踏まえた検討、提案を行い、積極的に経営層からの理解を得ることが求められます。
3. データ/デジタルとの親和性が高い、もしくは規制対応が盛んな業界ほど、データマネタイゼーションの検討が進む
- データマネタイゼーションを未検討:不動産業、商社業、サービス・接客・レジャー業
- データマネタイゼーションを過去に検討したが断念した:小売業
- データマネタイゼーション実現に向けて検討・推進中:自動車業、製造業、金融業(銀行・証券・保険)
- 自社データを活用したデータマネタイズを実現できている:建設・エンジニアリング業
- 外部データの活用やグローバル化も検討している:通信・エンタメ・メディア業、サービス・接客・レジャー業、テクノロジー業
調査概要
調査目的:企業におけるデータマネタイゼーションやデータ流通の認知・検討・実行状況と課題を把握すること
調査方法:調査会社パネルを活用したインターネットモニター調査
調査期間:2023年12月15日(金)~12月18日(月)
調査対象:売上高500億円以上の企業に勤務し、データマネタイゼーションやデータ流通に対する意思決定、方針検討、企画・検討・立ち上げ、情報収集・アドバイスを行う立場の方 (原則として国内在住者を想定)
有効回答:1,076件
ダウンロード先URL:https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/data-monetization-survey2024.html
PwCコンサルティング合同会社について:https://www.pwc.com/jp/consulting
PwC Japanグループについて:https://www.pwc.com/jp
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