NTT、KDDI、富士通、NEC、楽天モバイルによる共同提案が総務省/NICTの「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」社会実装・海外展開志向型戦略的プログラムに採択
本研究開発により、複数プロバイダのオールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下「APN」)が協調して耐障害性やサービス品質保証を確保すること、加えて、ユーザが複数クラウド・データセンターの同時利用や、接続先の柔軟な切り替えを実現する技術を開発します。また、地方データセンターや中小拠点へのAPN展開を可能にする小型APNノードの開発も行います。
Beyond 5G/6G時代では社会の情報化がますます加速し膨大な情報処理が必要となります。既存の情報通信システムに対するさらなる伝送能力の拡大や処理能力の高速化と、カーボンニュートラルに求められる低消費電力化への需要が高まることが想定されることから、APNの必要性が高まりつつあります。そうした状況から、APNを社会に広く提供するための議論が、情報通信審議会 情報通信技術分科会 技術戦略委員会及び同委員会の下に設置されたオール光ネットワーク共通基盤技術ワーキンググループで行われ、その結果、複数拠点を同時につなぐことや、プロバイダ同士連携する機能が必要という考えが、報告書「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」(令和6年6月)※1や、「オール光ネットワーク共通基盤技術の開発の方向性及び普及方策について」(令和6年5月)※2にて示されました。NICTはこの技術開発を行うために、Beyond 5G(6G)基金における公募を実施しており、これに対しNTT、KDDI、富士通、NEC、楽天モバイルの5社が共同提案していました。
このたび、2024年10月22日に総務省とNICTから「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」の社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム(共通基盤技術確立型)の選定結果が公表され、実施企業として上記5社が採択されました。
本研究開発により、複数プロバイダのAPNが協調して耐障害性やサービス品質保証を確保できるようになるほか、ユーザが複数クラウド・データセンターを同時に利用することや、接続先を柔軟に切り替えることが可能になります。また、小型APNノードの開発も予定しており、地方データセンターや中小拠点へのAPN展開が可能となります。
本研究開発では、以下の研究開発項目に取り組みます。
研究開発項目1 オール光ネットワークの全体的なアーキテクチャの策定
研究開発項目2 オール光ネットワーク共通基盤技術の研究開発
(a)光ネットワークフェデレーション技術
通信利用者側の要求を受け入れるためのAPI機能、及び通信利用者側の要求(送信先・通信品質など)に応じて、多様な異なる事業者のAPN間で確実かつ安定的に相互接続を行うための機能。
(b)サブチャネル回線交換技術
複数のクラウドやデータセンターの同時利用や柔軟な切り替えを可能とするために、多数の通信利用者を収容する場合において、各通信利用者の要求に応じて、E2Eで通信品質(必要帯域・遅延・ゆらぎ)を確保することができる機能。
(c)分散型ROADM※3技術
APNノードの小型化と地方データセンターや中小拠点へのAPN展開を可能とする、現行のROADMが搭載する主要な機能の一部(波長挿入・分岐機能、多重化機能)のみを備えた装置の簡易な運用を可能とするインターフェース機能と、同装置の設置を前提とした主要な機能を備えた装置との間の連携機能。
※1 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000402.html
※2 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000400.html
※3 ROADM(Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexing)
光信号の交換点(光ノード)で、任意の光波長の挿入(Add)・分岐(Drop)、及び多重化・組み換え(Multiplexing)を遠隔操作で自在に行える(Reconfigurable)ノード装置です。