日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を掲げ、3つの超革新的技術の開発に国の支援(※)を受けながら取り組んでいます。そのひとつ「高炉水素還元」は、高炉での鉄鉱石の還元を石炭の代わりに水素を用いることでCO2 排出を大幅に削減する技術ですが、今般、試験炉において世界初となるCO2 削減40%超(実績値43%)を実現し、試験炉での開発目標を前倒しで達成しました。
現在、東アジアを中心に、世界には約800 基の高炉(内、日本20 基)が存在しており、世界の粗鋼生産の約半分を占める中国を含め、世界中の高炉メーカーが高炉の脱炭素化技術開発に凌ぎを削っています。その中で今回の試験炉でのCO2 削減実績43%は、国内外で開示されている実績値を大きく上回る成果であり、日本製鉄が脱炭素技術開発において世界のトップランナーであることを表しています。
日本製鉄は、「高炉水素還元」の技術開発について、東日本製鉄所君津地区の水素還元試験炉(内容積12m3)で、加熱した水素を使用してCO2 を削減する技術(Super COURSE50 技術)の試験を2022 年5 月より実施してきました。これまでに世界最高水準となる2022 年に22%、2023 年に33%のCO2 削減を確認する等、着実に開発を進めてきました。今回、2024 年11 月から12 月に実施した試験において、世界最高水準を更新するCO2 削減43%を確認しました。
現在の高炉プロセスでは石炭(炭素)を用いて酸化鉄である鉄鉱石の還元・溶融を行っていますが、石炭(炭素)による還元は発熱反応であるのに対し、水素による還元は吸熱反応であるため、還元反応が進みにくい、鉄鉱石が溶融しにくいという技術課題があります。今回の試験では、炭素に代えて水素での還元を増やしていく際に、加熱した水素利用時の高炉内の熱バランスを改善することでCO2 削減43%を実現しました。
日本製鉄は、試験炉での水素還元技術を確立したことを踏まえ、今後、スケールアップ技術の開発など、製鉄プロセスからCO2 排出を50%以上削減する技術の開発を進め、大型高炉での実用化に向けた取り組みを加速していきます。
(※)2022年1月にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金に採択され、2023年11月に同基金が拡充されました。日本製鉄株式会社、JFEスチール株式会社、株式会社神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターの4社のコンソーシアムの下、本開発を進めています。
(参考)「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」のロードマップ
以 上
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