実践女子大学生活科学部食生活科学科管理栄養士専攻4年の井上春花さんが「第10回食物アレルギー対応食 料理コンテスト」(公益財団法人ニッポンハム食の未来財団主催、厚生労働省・消費者庁・農林水産省後援)の食事部門で、優秀賞に輝きました。受賞作は、自身が卵アレルギーを抱え、食べる機会がなかったクリームコロッケ。卵は使わず、小麦粉、牛乳、パン粉の代わりに米粉や豆乳、大豆フレークを使用しました。クリームを包む素材にライスペーパーを採用することで、食感を良くし調理の時間短縮にもつなげました。井上さんは「コンテストを通して、より食物アレルギー対応食について深く学ぶことができた」と話しています。
卵は不使用。小麦粉は米粉、牛乳は豆乳にそれぞれ代用。卵アレルギーを持つ自身の経験を生かしました。
消費者庁は、食物アレルギーを引き起こす恐れのある原材料として、表示を義務付ける特定原材料8品目(えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ))と、表示を推奨する特定原材料に準ずるもの(アーモンド、大豆など20品目)を定めています。コンテストでは、①特定原材料8品目のうち「卵・乳・小麦」について、「いずれも使用しない、または他の食材で代替」したもの②特定原材料等28品目のうち、使用しているものを明らかにしているレシピの両方を満たしていることを応募の条件としました。「食事」と「おやつ・デザート」の2部門があります。
「食物アレルギーの人は卵を使用する揚げ物を食べる機会が少ないはず」。昨年9月、コンテストの募集を知った井上さんは、卵アレルギーを持つ自身の体験から、食物アレルギーの人の苦手な食べ物として、揚げ物がすぐに浮かび、卵アレルギーの人でも食べられる鮭クリームコロッケのレシピを考案することを決めました。
タネのクリーム作りでは、みじん切りにした玉ねぎを米油で炒め、小麦粉の代わりの米粉、牛乳の代わりの豆乳を加えて加熱しクリーム状に。その半量には、カニの彩りとして塩鮭を加えてフードプロセッサーでかくはん。もう半量にはサイコロ状にして炒めた塩鮭を加え、塩、こしょうで味を調え、2つを混ぜ合わせました。クリームを成形するアイデアとして、ライスペーパーを思いつき、ライスペーパーで包んでタネの形に整え、冷蔵庫で寝かす時間を10分と大幅に短縮しました。タネは、小麦粉や卵を使わず、米粉と水だけを混ぜたバッター液につけ、シリアルとして牛乳に混ぜて食べられることが多い大豆フレークをパン粉代わりに使うようにしました。
また、トマトソースのレシピは、オリーブオイルで玉ねぎのみじん切りを炒めトマト缶を入れる方法などがありますが、井上さんはトマト缶を使わず、濃縮されたトマトペーストに塩こうじを加え、簡単に仕上げる工夫を凝らしました。
「アイデア素晴らしい」と高評価。井上さんは「食物アレルギーの人の食事の大変さを感じることができた」
井上さんは「畑のお肉たっぷり!とろとろ鮭クリームコロッケ」という名称で応募。審査は昨年10月の書類審査などを通過して、今年1月下旬から2月中旬にかけて審査委員によるレシピを元にして作った料理の試食が行われ、井上さんのレシピは「ライスペーパーを使ってクリームを包むアイデアが素晴らしい。成形が簡単になる上、カラリとした仕上がりにも貢献している。大豆フレークのサクサクとした食感も魅力的」と高評価を得て、優秀賞を受賞しました。
井上さんは「ライスペーパーを使ってクリームのタネを作ると成形が10分で済ませることができ時短になる。しかも、衣の大豆フレークもパン粉と変わらず上手に揚げることができ、外はカリカリ、中はモチモチとした食感を出すことができた」と納得の様子。また、トマトソースに塩こうじを使った点は「塩こうじの酵素によってトマトのうまみを引き出し、よりコクのある味わいにするため。さらに、塩こうじは深みのある味わいに仕上げ、塩分を過剰に使用することもなく味を整えることができる」と話しています。
もともと、釣り好きで魚をさばいて調理し家族にふるまったところ、喜んでくれたことが、料理好きになったという井上さん。「大学の実習では、塩分や脂質を控える病院向けの献立を作成したことはあるが、食物アレルギーの対応食を考えたのは初めて。コンテストをきっかけに食物アレルギーの人の食事の大変さを感じることができた」としています。
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