~お客さま目線のサービスで信頼獲得、現地で製品無料点検、メカニック育成などの取り組み~
アフリカ各地域で展開する「Go Beyondキャラバン」。「お客さまが持ち込むモノを見ながら会話すれば、
リアルな使用実態が見えてくる」と近藤さん(写真中央)
“3S”を要にパートナーシップを構築
「初めて足を運んだアフリカの土地で、お客さまから“おー、ヤマハか。よく来たな。サイトウサンは元気か? よろしく伝えてくれよ”なとどフレンドリーに迎えていただける。そうした時に、白地図の状態から市場開拓に汗を流してきた先人たちの足跡を見つけたような気持ちになります」
そう話すのは、海外市場開拓事業部(以下・OMDO※1)の田中太基さんです。当社がアフリカでの事業展開を志し、その実現に向けてチャレンジを開始したのは1960年代のこと。以来、人びとの豊かな暮らしや産業振興につながる製品やサービスを紹介しながら、各地域に販売や点検・修理を担ってくださるパートナーの輪を拡げてきました。現在ではアフリカ52の国や地域で61の特約店や契約店と強固なパートナーシップを構築し、船外機や二輪車、ATV※2やROV※3など、さまざまなヤマハ発動機製品をアフリカの大地にお届けしています。
その背景としていつの時代も大切にされてきたのが、お客さまに安心して長く製品をお使いいただくための基盤=「販売(Sales)」「アフターサービス(Service)」「補修部品(Spare Parts)」を意味する“3S”です。これら3つのSを動かすのは「人」という考えから、当社ではメカニック育成や安全運転啓発等の教育を途切れることなく積み重ね、こうした活動を通じて市場との固い絆を築いてきました。
1970年頃のメカニック育成講習会。お客さまに高いレベルのアフターサービスを提供するとともに、
地域の雇用創出にもつながる伝統的な活動
地域の実情を基点とする伝統的なアプローチ
たとえば、各国の特約店と二人三脚で展開する「Go Beyondキャラバン」もその一つ。地方の漁村や集落などアフターサービスの空白エリアを訪問し、船外機や二輪車の無料点検をはじめ、製品を正しくお使いいただくための講習会等を行っています。
「製品を挟んでのお客さまとの交流は、私たちにとっても貴重な学びの機会。製品は、お客さまの使用実態などを忠実に物語ってくれますので、適切なアドバイスはもちろん、商品開発や製品の改善・改良等にもつながります」。今年6月までケニア・ナイロビに駐在し、同キャラバン等を通じてお客さまと直に向き合ってきた近藤貴博さんはそう話します。
OMDOの強みは、人と地域に深く関わり、共に課題解決を目指す伝統的なエリアベースマーケティング。優れたメカニックを育成する「ヤマハ・テクニカル・アカデミー(YTA)」、お客さまに正しく安全に製品をお使いいただくための「ヤマハ・ライディング・アカデミー(YRA)」、さらには前述の「Go Beyondキャラバン」などはその一例です。
「そこにはお客さまや特約店などファミリーの笑顔がある」と田中さん。「苦労も少なくありませんが、その笑顔が私たちのモチベーションです」と、真っ黒に日焼けした顔をほころばせるのでした。
現在のメカニック育成は、世界統一基準の「ヤマハ・テクニカル・アカデミー(YTA)」を運用
※1 Overseas Market Development Operations
※2 All Terrain Vehicle
※3 Recreational Off-highway Vehicle
■広報担当者より
今回の取材中に「白地図だったアフリカの地を先輩社員の方々が既に開拓していると思いますが、現代では何を開拓しているのでしょうか?」と少し突っ込んだ質問がありました。現役社員の田中さん、近藤さんからは「時代の変化に合わせたサービスを考え、提供することも『開拓』なんです」と返ってきました。ビジネスを維持するためには時代の流れとともにその形も変容していかないといけません。開拓というと未開の地を切り開くというイメージでしたが、物理的な「開拓」だけでなく、時代やニーズに応じた新しい価値創造、別の角度から価値を見出すことも「開拓」なのだと気付かされました。OMDOの終わりなき開拓の取り組みを、広報担当として多くの方々に届けられればと思います。