株式会社日建設計(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大松敦、以下「日建設計」)は、2026年4月24日(金)、社会課題解決と持続的な経営を両立する「ゼブラ企業」との共創型社会環境デザインプログラム「FUTURE LENS(フューチャーレンズ)」の第1期初年度報告会を、自社の共創プラットフォーム「PYNT(ピント)」竹橋拠点にて開催いたしました。
本プログラムは、Zebras and Company(以降、Z&C)と共同で運営しています。人口減少やインフラ老朽化といった将来の都市課題に先行して向き合う地域の社会起業家と日建設計の専門性を掛け合わせ、未来の都市のあり方を共同研究します。第1期は、2025年4月に採択した3社に日建設計の共創社員が伴走しています。
【FUTURE LENSの提供価値】
ワークショップや視察などを通して、課題の「可視化」や事業価値の「定量化/体系化」などを進め、「他の都市やまちへの展開」の方法を、共同で研究・開発します。
実証研究費:1事業者あたり年間最大500万円、原則2年間継続。
伴走支援:日建設計の共創社員、PYNTとZ&Cが運営チームとして伴走。
■「FUTURE LENS ANNUAL REPORT 2025-2026」をリリース
第1期初年度の採択企業3社の取り組みをはじめ、活動を通して見えたFUTURE LENSの意義や、システムチェンジを生み出す共創のポイント、構想設計や合意形成の手法を体系化しビジョンを実装へと導く4つのフレームワーク
「FUTURE LENS METHOD」などをまとめた
「FUTURE LENS ANNUAL REPORT 2025-2026」を日建設計ホームページにてリリースしました。日建設計のプログラムディレクターとZ&Cの鼎談やFUTURE LENS のスピンオフ企画も収録しました。
採択企業3社がFUTURE LENS に応募した理由や取り組みにより生まれた変化、日建設計の共創社員の気づきや成長などもあわせてご覧いただけます。
https://www.nikken.jp/ja/dbook/future_lens_annual_report
■ 採択企業3社が1年目の成果と2年目の計画・展望を発表
FUTURE LENS第1期初年度は、111社のエントリー、56社の本応募から、書類選考とピッチによる最終選考を経て3社を採択しました。続いて、日建設計の共創社員が現地を訪れ、採択企業や地域のキープレイヤーなどの皆さまと対話する機会を重ねることで、地域や事業の背景、関係者の思いを把握しました。そのうえで、チーム毎に「ありたい姿(スーパーゴール)」を設定し、2年間の具体的なアクションに落とし込みました。初年度は、小さな実践(アクション)を積み重ねることで、仮説の検証・アップデートを行ってきました。加えて、定期的に全体で進捗や気づきを共有し、お互いの実証研究へフィードバックを行いました。1年目は各地域の現状を踏まえた「ありたい姿」を、社会環境デザインの視点から整理しました。2年目は「ありたい姿」を実現するための具体的なアクションを、さらに積み重ねていきます。
1.小平株式会社(鹿児島県日置市)
地域経営モデル「湯之元モデル」の構築
エネルギーやIT事業を展開する創業114年の老舗企業。2024年に日置市の湯之元に本社を移転。人・自然・企業が互いを「養生」し合う循環型の地域経営に挑んでいる。
【課題】
鹿児島県日置市湯之元地区は、湯治文化や資源循環の知恵など、地域固有の独自の歴史や資源を有している。一方で、人口減少や空洞化が進む中、地域資源の価値を現代の暮らしや産業にどう結び直すかが課題となっている。課題を放置すれば、地域で働く機会が限られ、企業の成長余地も縮小。温泉街の衰退が進む。空洞化と高齢化がさらに加速。自然資源は十分に活かされず価値が低下する。人・自然・企業が支え合う基盤が弱まり、地域の持続的な発展が難しくなる。
【1年目の実証成果】
・「養生」をキーワードとする「新しい地域経営」のコンセプトやアクションを立案。人・自然・企業が相互に支え合う循環により地域を経営する「湯之元モデル」の仮説を整理した。
・日建設計は、複合施設「猫狐馬ノ杜(ねこまのもり)」の新築に向けた計画検討を支援した。
【2年目の計画・展望】
・「猫狐馬ノ杜」を建設・運営し、「養生」に関連するアクションのハブとして機能させる。
・地域資源を活用した建材開発を行う「ラボ」や、人の介在により自然環境を改善する「自然学校」等を実証する。人・自然・企業がお互いに養生しあう循環を生み出すための指針を「ヴィレッジ・コード」にまとめ、湯之元の将来像「アクティブパース」で表現する。
2.医療法人社団オレンジ(長野県軽井沢町)
医療をまちづくりに組み込み、いのちの終わりを支える社会の実現を目指す
「診療所と大きな台所があるところ ほっちのロッヂ」を拠点に、医療の「箱」から飛び出し、まち全体でいのちの終わりを支え合う環境づくりを進めている。
【課題】
地域・地方では高齢化の進行により医療ニーズが拡大する一方で、医療を支える人材の不足等が、課題となっている。加えて、高齢者の虚弱や社会的孤立が慢性化することで、暮らし慣れた土地・コミュニティの中で主体性を持って暮らしつづけることを諦めてしまう現状がある。
【1年目の実証成果】
・ロジックモデルを作成することで、オレンジの目指すまちづくりのプロセスを整理。また、「医師のためのまちをリベラルアーツる。」プレカリキュラムを通じ、新たに2名の医師の採用に成功した。
・日建設計の共創社員が訪問診療等へ同行し、ほっちのロッヂの空間や、そこに関わる人々を観察することで、「ほっちのロッヂらしさ」を言語化した。
【2年目の計画・展望】
・いのちの終わりを支える社会をつくるプロセスをあらゆる角度から学び実装するため、国外(オランダ・インド)の実践者を招聘し、医療者・行政・住民の対話機会を増やす。
・病院設計のプロセスや、医療空間そのものの既成概念を見直すことで、医療をまちづくりに組み込む空間のあり方を体系化する。
3.株式会社水中(東京都国立市)
スナックを起点とした「共助」の言語・体系化と展開
スナックを精神的なインフラと再定義し、生活圏内で人々が楽しみながら頼り合える社会の実現を目指す。
【課題】
かつての地域コミュニティは、生活圏と人間関係が重なり、「共助」が日常的に行われた。しかし日常の中にあった「共助」はサービスと化し、人間関係の拡がりは効率や成果を重視。このままでは地縁的な関わりも手放し、手を差し伸べない価値観や集まって生活しながらも深刻な「孤独」が大衆化することになる。
【1年目の実証成果】
・スナックにおける自己開示や共助の仕組みを「つながりのレシピ」として体系化。日建設計の空間設計の専門知を用いて、関係性を育む場に共通する要素を言語化した。
・つながりの場であるスナックを起点とし、他業種の事例視察等も踏まえ、日建設計の空間設計の専門知を用いて関係性を育む場に共通する要素を整理した。
【2年目の計画・展望】
・多様な過ごし方を選択できる「スナック2.0」を体現した新店舗(国立2号店)を開店。スナックを、もっと頼り合い楽しみ合える場にするため、「つながりのレシピ」を活用と実践を行う。
・生活圏内の助け合い、楽しみ合える場を広めるため、店舗間の移動支援や学識や取組に共感した事業者とのイベントを実施する。
■FUTURE LENS第2期募集について
本年7月より、「FUTURE LENS 第2期」の募集を開始いたします。
ゼブラ企業の皆さまが実践する、地域課題解決事業にまつわる「事業の価値を定量化できていない」「事業を一歩前に進めるために課題を構造化したい」「どのようにまちに展開していけばいいかわからない」といった課題に対して、日建設計の持つ社会環境デザインの視点、例えば、多様な専門性をつなぎ関係者の合意形成を図る力、まちに確かな一歩を実装する力、可視化や定量する力、制度を読み解き仕組み化する力などで応えます。募集要項などの詳細は、2026年7月、日建設計ホームページ内特設サイトにて公開予定です。