新日鉄住金 原油タンカー用高耐食性鋼板「NSGPⓇ-1」および 「NSGPⓇ-2」がSOLAS 条約改正後、世界で初めて同時採用
- 新日鐵住金株式会社
- 2016年11月10日
- 14:24
~船級協会より承認を取得した耐食性鋼板として、原油タンカー貨物タンクの底板と上甲板に採用~
新日鐵住金株式会社(以下、「当社」)の開発した原油タンカー用高耐食性鋼板「NSGPⓇ-1(*1)」「NSGPⓇ-2(*2)」が、この度、JXオーシャン株式会社の原油タンカー貨物タンクの底板と上甲板にSOLAS 条約(*3)改正後に船級協会より承認を取得した耐食性鋼板として、世界で初めて同時採用されました。
2010年に原油タンカーにおける貨物タンクの防食措置に関するSOLAS条約が改正されたことにより、2013年以降に建造契約されるタンカーには腐食対策が義務付けられました。
この腐食対策として耐食性鋼板を使用する際には、IMO(国際海事機関)および船級協会の規定を満たしたものとして、船級協会等の公的機関から承認を得ることが必要となります。当社が開発した「NSGPⓇ-1」は2011年に、「NSGPⓇ-2」は2014年に船級協会から、世界で初めて承認を取得し、防食が義務付けられる原油タンカーの貨物タンクに適用する際に、塗装無しでの使用ができる様になりました。
「NSGPⓇ-1」及び「NSGPⓇ-2」は、油漏れなどの重大事故に繋がる恐れのある原油タンカーの貨物タンクの底部と天井部の腐食を抑制するために、少量の合金を最適に組み合わせることで、従来鋼とほぼ同様の溶接・加工性能を有した上で、耐食性能を発揮します。
この鋼材の適用により、貨物タンク底部及び天井部の塗装を無くすことが可能となり、建造時や竣工後の定期的な維持管理に際し、塗装・点検用足場設置などの作業が不要となることから、塗料費削減や工期短縮が図られ、環境負荷軽減にも寄与します。
また、当社では「NSGPⓇ-1」及び「NSGPⓇ-2」専用の溶接材料も同時に開発し、構造物としての信頼性向上に寄与しています(製造販売は、日鉄住金溶接工業株式会社)。
2004年から開始した原油タンカーへの「NSGPⓇ-1」及び「NSGPⓇ-2」の実船適用試験を経て、2007年から本格受注を開始し、その高い性能が評価され、これまで10隻以上の原油タンカーに採用され、受注量は総計2万トンを超えました。
尚、「NSGPⓇ-1」は当該分野にて世界で初めて耐食鋼を適用した効果や実績が認められ、2011年に「市村産業賞(貢献賞)」と「ものづくり日本大賞(特別賞)」を受賞しています。
当社は、今後も高機能鋼材の開発・提供を通じて、船舶のより一層の安全性向上と地球環境への貢献に取り組んで参ります。
*1:NSGP(Nippon Steel & Sumitomo Metal Green Protect)は、当社の登録商標です
NSGPⓇ-1は原油タンカー貨物タンク底板用の高耐食性鋼板です
*2:NSGPⓇ-2は原油タンカー貨物タンク上甲板用の高耐食性鋼板です
*3:2010年5月にIMO(国際海事機関)のMSC87(海洋安全委員会)で採択された国際
条約
5,000DWT以上の原油タンカー用貨物油タンクに対し、塗装性能基準に従った塗装、
または耐食鋼の使用等の代替措置による防食保護を要求するもの
【適用船概要】
載貨重量:119,932トン
主要寸法:全長246.8m ☓ 幅44.4m ☓ 深さ22.0m
(プレスリリースに関するお問い合わせ先)
総務部広報センター TEL:03-6867-3419