複数種のロボットの連携運用を目指すモニタリングシステムの基礎実験に成功 ~多種多様なロボットが活躍するためのネットワークアーキテクチャ ~ 芝浦工業大学・産業技術大学院大学



産業技術大学院大学(東京都品川区/学長:川田誠一)産業技術研究科の成田雅彦教授と、芝浦工業大学(東京都港区/学長:村上雅人)機械機能工学科の松日楽(まつひら)信人教授は、共同して、ロボット間情報共有の実現可能性の調査を目的に、異なるプロトコルを持つ異種ロボット向けの共通監視サービスを開発し、基礎実験を行い、そのモニタリングに成功した。2018年2月11日のAIITプロジェクト成果発表会では、基礎実験の成果等について発表する。 




■基礎実験概要
【実施期間】
 2017年11月29日(水)から12月2日(土)まで
【実施場所】
 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)
 東京ビッグサイトで開催された「2017国際ロボット展」内で基礎実験を行った。実験には出展した機関の協力があった。
【基礎実験の目的】
 大量のロボットを配置したシステムやアプリケーションの効率的な管理・運用を行うこと。
【実験方法】
 2017国際ロボット展開催期間中に6つのブースにロボットやセンサを設置し、ロボットサービス、センサのリアルタイム監視・集計データの収集、結果のフィードバックを行い、新しいモニタリングを試みた。
 なお、本実験は、同教授らが共同で策定したコンセプト「多種多様なロボットが活躍するためのネットワークアーキテクチャ」にもとづき、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI※1)の新規プロジェクト等企画立案検討会(異種ロボットネットワーク/主査 松日楽信人)による活動の一環として行った。今回の実験にあたっては、両校が共同研究を進めている技術(非専門家向けロボットサービスフレームワーク)、ロボットサービスイニシアティブ(RSi※2)が開発した技術、センサシステムなど各種技術を統合し、試作したものを使用した。



■実施内容
 コミュニケーションロボット※3、子育て支援ロボット※4、調理用音声アシスタントロボット※5など、複数種類のロボットや人数推移システム(センサ)※6を配置し、ロボットサービス、センサのリアルタイム監視・集計データの収集、結果のフィードバックを行うという、新しいモニタリングを試みた。


■収集したデータ
 例えば、コミュニケーションロボットでは「今、挨拶したこと」、調理用音声アシスタントロボットでは「今、読み上げたレシピ名」といった、それぞれのサービス稼働状態など。また、人数推移システムでは、センサの前に何人程度、人がいるというセンサデータなど。

■フィードバック方法
 収集したデータは分析・整理し、各ブースにあるディスプレイへ表示される。データは、収集されるたびにポップアップで表示され、さらに時間ごとやそれぞれのロボットにふさわしい方法で詳細を見ることができる。同時に、後の分析のために使用者の感想などをアンケートすることもできる。アンケート内容は蓄積データを利用して動的に生成することで、手短に使用者に応じた適切な項目を質問することができる。さらに1つのブースでは、浄瑠璃人形を参考に3次元モデリングした「かしらロボ」※8とタッチパネルディスプレイを組み合わせ、ロボットと会話しながらのモニタリングを実現した。



■技術について
 データ収集のためのインターネット接続には、RSNPというRSiが開発したサービスロボット用の標準プロトコルを使用している。また、このプロトコルをサポートしていない人数推移システムについても、その機器固有の通信方式で連携を可能とするなど、複数の方法を提供している。

■今後の展望
 これまでも、「2015国際ロボット展」、「Japan Robot Week 2016」、江東区の商店街で実験を重ね、実用に向けた研究開発を進めてきたが、今回は初めて、ロボットの状態監視の実験を行った。今後、これらの体系化やより多くのロボットを対象にした検証を予定している。

■協力機関

 今回の基礎実験は、RRI新規プロジェクト検討会(異種ロボットネットワーク)の活動の一環であり、RSi、ベイエリアおもてなしロボット研究会、i-RooBO、神奈川県、東京都立産業技術研究センターの協力により実施できたものである。


■補足事項
※1 RRI(ロボット革命イニシアティブ協議会)https://www.jmfrri.gr.jp/outline/
 「ロボット新戦略」(2015年2月10日 日本経済再生本部決定)に基づき、同戦略に掲げられた「ロボット革命」を推進するために設立された組織的プラットフォーム。「ロボット新戦略」で謳われた、世界のロボットイノベーション拠点としての日本、世界一のロボット利活用社会、IoT時代の到来を見据えたロボット新時代への世界の中でのイニシアティブの発揮を目指し活動している。

※2 RSi(ロボット・サービス・イニシアチブ)http://robotservices.org
 RSiはパーソナルロボットによる通信ネットワークを活用した魅力あるサービス(ロボットサービス)を簡単かつ便利に利用できる社会を目指し、相互運用性のあるロボットサービスについて関連団体と協力・連携しながら仕様の作成・公開、実証実験、普及促進を行うことを目的とした任意団体で、日本ロボット工業会内に事務局がある。

※3 コミュニケーションロボット
 芝浦工業大学 松日楽研究室が研究しているロボットシステムで、企業の開発したプロトタイプロボットを用いて、人の動線計測に基づき、挨拶や情報提供などを、人の動きに合わせて応答させる研究を実施している。データはRSNPを介してサーバに送る。


※4 子育て支援ロボット
 産業技術大学院大学 内山研究室が開発。乳児感情と連携する子育て支援をコンセプトとするロボット。筐体の中に人数推移システムを組み込んである。


※5 調理用音声アシスタントロボット
 産業技術大学院大学 成田研究室が開発。音声認識と合成音声を利用したレシピ読み上げロボット。Webサイトとオープンデータをベースにしたレシピデータを提供するサービスで、約300レシピを用意してある。

※6 人数推移システム
 芝浦工業大学 松日楽研究室が開発。測域センサを使用しセンサ周辺の人の人数や動きを計測し、RSNPを介して集計するシステム。


※7  RSNP(ロボット・サービス・ネットワーク・プロトコル)
 通信規格。サービスロボット開発用に公開されており、このパッケージを使って簡単にロボットのネットワーク化を実施することができる。



※8 かしらロボ
 産業技術大学院大学 成田研究室が開発。浄瑠璃人形を参考にした人の頭を模した3次元の身体性を持つロボットで、うなずき、まばたき、発声にともなう口の動き実現している。タッチパネルディスプレイと組み合わせて来場者向け呼び込み・アンケートの表示と回答を行うことができる。既に開発した2次元のサイネージロボットに比べて、アンケートの回答者に対して親みやすく集客の効果が良い。

▼本件に関する問い合わせ先
芝浦工業大学 経営企画部企画広報課
担当: 豊田
TEL:03-6722-2900
メール:koho@ow.shibaura-it.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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組織名
芝浦工業大学
ホームページ
https://www.shibaura-it.ac.jp/
代表者
山田 純
資本金
0 万円
上場
非上場
所在地
〒135-8548 東京都江東区豊洲3丁目7-5
連絡先
03-5859-7000

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