ポーラ美術館 館長交代のお知らせ
- 2023年06月30日
- 10:00
- ポーラ美術館
- エンタメ
ポーラ美術館(神奈川県・箱根町)は、2018年12月8日(土)~2019年3月17日(日)に、「モダン美人誕生 岡田三郎助と近代のよそおい」展を開催いたします。平成も終わりを迎える今、多様化する美をみつめ、現代に通じる「美人イメージ」の原点を探る展覧会です。
明治から昭和初期にかけて、日本ではファッションや美意識に大きな変革が起こりました。そうした時代に、人々が憧れる理想的な「美人イメージ」誕生に大きな役割を果たしたのが、生誕150年を迎える洋画家の岡田三郎助(1896-1939)です。明治末頃から大正にかけて、画家たちはデザイナーやクリエイティブディレクターの役割も担い、百貨店や雑誌とともに、最新の流行を創り出していました。中でも岡田は日本初の美人写真コンテストにも携わり、女性のよそおいを繊細な完成で捉え、新しい美人像を次々と生み出していったのです。
本展では、近代の女性のよそおいや美意識の変遷を、岡田ほか藤島武二、鏑木清方などの絵画や、ポスター、化粧道具など計約200点の作品で辿りながら、岡田が女性たちの生き方に寄り添い、新時代の「美」を紡ぎ出していった様子をご紹介します。
江戸時代に美人のブロマイドとして流通した浮世絵では、女性の顔は細い目とかぎ鼻、おちょぼ口という類型的なパーツで描かれていました。ヨーロッパで油彩画を学んだ画家たちは、西洋人のモデルを描くことを通して女性像の新たな表現方法を獲得していきます。明治の洋画家たちが新しい時代の女性像を生み出し、従来にはない「美人イメージ」を作り上げていったのです。
染織品コレクターでもあった岡田は、自ら選んだ着物をモデルに纏わせ作品に残しました。今回は岡田の傑作約15点が揃い、さらに絵画に描かれた染織史料6点の展示も実現。岡田の生み出した新たな「美」を絵画と着物で堪能できます。
絵画に描かれた華やかな女性像とともに、貴重な化粧道具類約100点のほか、和装とも相性のいい洋風ジュエリーや、華やかでモダンな銘仙着物も展示。西洋の影響を受けながら変化していく日本のおしゃれ文化を体感できます。
ひとつの価値観に囚われない多様な女性像の誕生も、この時代の特徴です。流行のファッションを身に纏い、美を謳歌する女性像が描かれた一方で、大正期の自由な気風を背景に、画家にとってのミューズを独特な感性で描き出した作品も多く生み出されました。モデルの個性や感情、そして彼女たちを取り巻く社会状況までをも反映した女性像は、美しさを超えて観る者に強く語りかけてきます。