完成検査を終え、出荷場に向かう「セロー」シリーズ最後の1台
社員有志が見守る中「最後の1台」を出荷
完成車検査員に押されてその一台が出荷場に姿を現すと、見送りのために集まった社員有志から拍手が沸き起こりました。「ありがとう!」と声をかける営業系の社員、目を潤ませる女性社員、何かを思い出すように、じっと車体を見つめ続ける技術系のベテラン社員もいます。
マウンテントレール「セロー250 FINAL EDITION」。7月31日、その最後の1台が大勢の社員に見送られて生産ラインを後にすると、35年間にわたる「セロー」生産の歴史が静かに幕を下ろしました。
「セロー」は、1985年に誕生したオフロードバイク。オフロード二輪市場にマウンテントレールという新たなカテゴリーを創出してファンをひろげるとともに、その扱いやすさや汎用性の高さで女性や初心者からも大きな支持を集めました。一方で、国内向けだけでも累計生産台数が14万台を超える記録的なロングセラーモデルだけに、今年1月、その新型を「FINAL EDITION」として発表した頃から、お客様や販売店様、さらにはグループ社員の間に惜しむ声がひろがっていました。
社員の投稿で埋め尽くされたイントラネットの企画
イントラネットに溢れる社員の「セロー愛」
さて、4月上旬の大雨の日。バイク通勤の多い当社の社員駐輪場も、雨の日のバイクの数はそれほど多くはありません。「普段からセローで通勤する従業員をたくさん見ていたので、いくつかある駐輪場の一つで数えてみたら、雨の日なのにぴったり50台ありました」と振り返るのは、当社イントラネットの運営に関わる男性社員。
「お客様だけでなく、いかに社員にも愛されている製品か、その駐輪場であらためて実感しました。ほとんどの社員にとって、セローは入社時から存在した会社の先輩ですし、業務を通じて、セローと仕事をした人はどれだけいるんだろう? というようなことも考えました」
それから約2か月後、イントラネットに登場したコンテンツ『あなたのセローストーリー』。写真による愛車紹介や、プライベートや仕事を通した「セロー」とのエピソード、さらには「セロー」に贈る言葉など、社員の投稿による溢れんばかりの「セロー愛」で埋め尽くされています。中には「セロー」を通じて出会い、ゴールインした社員カップルのエピソードも。開設から3か月が経過した現在も投稿が続いています。
「投稿を見ていて感じるのは、これほど多くの社員たちに、しかも公私にわたって愛された製品はないかもしれない、ということです」と、前出の社員。残念なのは、計画していた「セロー」をテーマにした社内交流イベントや、ファンによるユーザーミーティングが感染防止対策の一環で中止になってしまったこと。社員同士、またお客様同士、心置きなく「セロー」の魅力を語り合える日が早く来ますように……。
社員投稿による愛車紹介の写真(抜粋)
老若男女問わず多くのファンに愛された「セロー」(30周年記念イベントより)
■SEROW250 FINAL EDITION https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/serow/
■広報担当者より
参加した社員の中には「半休を取って駆けつけた」人がいる一方で、コロナ感染防止対策のために移動が制限され「残念ながら立ち会えなかった」と悔しがる人も。企画、開発、製造、販売、安全普及など幅広い部門の関係者が集まり、また3分の1を女性社員が占めるなど、その顔ぶれにあらためてこのロングセラーモデルの存在の大きさを感じるセレモニーとなりました。