北里大学病院(神奈川県相模原市南区 以下「本院」という)では、山岡邦宏(北里大学医学部 膠原病・感染内科学, 教授)を治験調整医師とし、イベルメクチン*1の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する適応追加を目指した医師主導治験(以下「本治験」という)を開始いたします。本治験は、学校法人北里研究所(東京都港区白金 以下「本学」という)が展開している新型コロナウイルス感染症に関するさまざまな研究プロジェクト「COVID-19対策北里プロジェクト」の一環として位置付けられており、法人の理念*2に則り実施するものです。
2019年12月、中国の武漢市に端を発する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大が続いている中、本学では今から130年前の1890年、血清療法を確立し、人類の伝染病との闘いに新たな成果を挙げた学祖北里柴三郎からノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智へと続く感染制御の伝統と、法人の理念*2に則って行動すべきと判断し、2020年3月19日、新型コロナウイルス感染症に対する既存承認薬探索研究をはじめとした新型コロナウイルス感染症研究に関する全学的プロジェクト「COVID-19対策北里プロジェクト」をスタートさせました。「COVID-19対策北里プロジェクト」はこれまで、除菌剤・消毒剤・医薬部外品等の効果確認や、漢方における治療と後遺症の軽減(漢方プロジェクト)、さらには2020年8月28日には東京都と「新型コロナウイルス感染症対策に関する連携協定」を締結し、東京都との共同活動をスタートさせるなど、研究成果の公開・発信や他機関との連携による研究体制を強化しています。
一方、本学の特別栄誉教授である大村智らが発見したイベルメクチンは、以前より各種のウイルスに対する抗ウイルス作用が示されており、また今回新たにSARS-CoV-2に対するin vitroにおける増殖抑制効果が示され、学校法人北里研究所北里大学大村智記念研究所においても同様の効果が確認されました。他に海外で行われた臨床研究の成績などを受け、イベルメクチンの医師主導治験の実施の準備をすすめてまいりました。7月には国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による『令和2年度新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発指針研究事業(2次公募)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発」』に研究課題名「COVID-19対策北里プロジェクト;イベルメクチンのCOVID-19に対する適応追加を目指した医師主導治験」が採択されたこともイベルメクチンの治験実施の後押しとなり、新型コロナウイルス感染症に対するイベルメクチンの医師主導型治験[COVID-19 患者に対するイベルメクチンの有効性および安全性を検討するプラセボ対照ランダム化二重盲検(評価者、患者)多施設共同並行群間比較試験/ A placebo-controlled, randomized, double-blind study in Covid-19 patients with iveRmectin; An inVEstigator iniTiaTEd trial (CORVETTE)]を開始することとなりました。
なお、治験計画の情報は厚生労働省 臨床研究実施計画・研究概要公開システム(jRCT:
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031200120 )に公開しております。
【問い合わせ先】
<報道に関すること>
学校法人北里研究所
総務部広報課
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
e-mail: kohoh@kitasato-u.ac.jp
◎北里研究所は法人の理念*2に則り「COVID-19対策北里プロジェクト」を通じて、新型コロナウイルス治療薬の早期探索等を推進しています。詳しくは、ホームページをご覧ください。
https://www.kitasato.ac.jp/jp/about/activities/covid-19/index.html
*1:2015年のノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智北里大学特別栄誉教授が発見したマクロライド系抗生物質。動物薬として寄生虫駆除に用いられているほか、オンコセルカ症(河川盲目症)やリンパ系フィラリア症など寄生虫感染症薬としてアフリカ・中南米を中心に2019年は約4億人が服用している。
*2:学校法人北里研究所の理念:いのちを尊(たっと)び、生命の真理を探究し、実学の精神をもって社会に貢献する。
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/