学校法人昭和女子大学(理事長・総長:坂東眞理子、東京都世田谷区)で、創立100周年の歴史で初となる学部生によるベンチャー企業「株式会社Tapirus」(本社・東京)が誕生しました。昨年、大手企業の開放特許を活用した事業アイデアを競う「知財活用スチューデントアワード」で最優秀賞に輝いた企画をもとに事業化に乗り出します。
株式会社Tapirusは、グローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科前田純弘ゼミの4年生9人と担当教員が1万円ずつ出資して設立し、社長はゼミ長の鈴木亜未さんです。乳幼児の育児をしている人をサポートする機器「Tapirus」の開発、販売を目指しています。
「Tapirus」のアイデアの概要は、富士通の開放特許「非接触バイタルセンサー」(今後、特許ライセンスを取得予定)を活用したセンサーを壁や天井に設置し、乳幼児の睡眠時の体の向き、心拍数、呼吸状態などを計測し、親がスマートフォンで確認できるようにするというものです。異変をアプリで警告し、親が家事や仕事に集中し、安眠しやすくなることを目指します。
乳幼児突然死症候群(SIDS)関連で乳幼児の様子をチェックする製品がありますが、接触型で乳幼児が外したり嫌がったり、感知データが限られる等の課題がありました。親や保育園へのヒアリングで、乳幼児の睡眠を見守るのに大きな負担がかかっていることがわかり、乳幼児の見守りシステムを提案し、昨年、西武信用金庫(本店・東京都中野区、高橋一朗理事長)が主催する「知財活用スチューデントアワード」で最優秀に輝きました。このとき、審査員たちから事業化を勧められ、今回の会社設立にこぎつけました。
新会社は、現段階では調査会社的位置づけで、当面は技術力のある中小企業に試作品の製作を依頼するために、製品の仕様などの詳細を詰める作業を行います。試作品製作のための資金は、クラウドファンディングなどでの調達を検討しています。創業メンバーは来春に卒業・就職しますが、その後は副業として事業を継続する方法を模索します。
鈴木さんは「会社設立は講義で学んだこととリンクしていて、西武信金様や関係機関の皆様のサポートで実現しましたが、今でも夢みたいです」と語ります。前田教授は「学生のアイデアを本気で事業化しようと支えてくれるアワードに、これからも学生たちに挑戦してもらいたい」と、監査役として新会社を支えていきます。
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