阿部文快教授(理工学部 化学・生命科学科)研究室の論文がイギリスの科学誌「Journal of Cell Science」に2020年9月9日(水)付けで掲載され、「Research Highlight」に取り上げられた。
私たちの身体は重力や圧縮など力学的刺激に応答し、骨や筋肉を増強させる。こうした刺激は細胞レベルで認識され、内部にシグナルが伝達されるが、詳しい仕組みはわかっていない。単一細胞からなる微生物の場合、さらに栄養源や温度、浸透圧といった環境条件が複雑に絡み合い、1ミリの200分の1ほどの細胞内でどのような情報処理を行っているのか、そのメカニズムは謎に包まれている。
今回、阿部文快教授(理工学部化学・生命科学科)研究室では、250気圧(水深2,500mの深海に相当)もの高水圧が、酵母菌の細胞内にあるTOR(target of rapamycin)複合体1(TORC1)という栄養源センサータンパク質を活性化することを世界で初めて見出した。
ヒトの場合、TORC1は細胞増殖やがん化、老化にも関わる重要なタンパク質である。運動が健康維持に大切なことはよく知られてるが、この成果はヒト細胞の力学応答機構を解明するヒントとなることが期待される。
なお、本研究はAOYAMA VISION事業計画『生命システムの動態計測と複雑系解析における革新的基盤形成』(代表・阿部文快教授)のもとで行われたものである。
【詳細】
掲載誌: Journal of Cell Science
記事タイトル: Amino acid homeostatic control by TORC1 in Saccharomyces cerevisiae under high hydrostatic pressure
URL:
https://jcs.biologists.org/content/133/17/jcs245555
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【リリース発信元】 大学プレスセンター
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