学校法人北里研究所(所在地:東京都港区、理事長:小林 弘祐、以下「本法人」という)は、国立大学法人長崎大学(所在地:長崎県長崎市、学長:河野 茂、以下「長崎大学」という)と塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」という)との間で、抗マラリア薬の創製を目指した共同研究契約(以下「本契約」という)を2020年11月25日に締結しましたのでお知らせいたします。
【背景】
長崎大学及び塩野義製薬は、2019年2月28日付で人類の脅威となる感染症に対する研究・開発の包括的な連携に関する協定書と、同協定書の枠組みによるマラリア治療薬等の研究・開発を共同で推進するための連携契約書を締結しました。今般、同連携契約書に基づき実施しているマラリア治療薬等の研究・開発に本法人が参画することにより、本法人がこれまで取り組んできた感染症研究の実績と知見や、附置研究所である大村智記念研究所が保有する抗マラリア作用を有する微生物由来の化合物群を活用することで、革新的なマラリア治療薬の創製を目指します。
マラリアはエイズ、結核と並ぶ世界三大感染症の一つであり、主に熱帯、亜熱帯地域で流行している寄生虫感染症です。世界で毎年2億人を超える新規患者が発生し、死亡者は幼い子供を中心に約40万人に上ると報告されています。予防ワクチンの有効性が十分でなく、主要な薬剤に対する耐性が広がりつつある中、人類の脅威として深刻視され、その克服が国際社会の目指す指針として国連開発計画の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の3(Good Health and Well-being)のターゲット3.3」にも掲げられています。こうした人類の脅威に対し、日本における感染制御の研究実績を有する機関が連携し、マラリアの撲滅につながる研究・開発を一層推進してまいります。
【本契約における本法人の役割】
本契約における本法人の役割は、(1)抗マラリア作用を有する微生物由来の化合物群の探索、(2)発見したマラリア治療薬シーズの最適化および初期薬効・安全性評価です。日本発のマラリア治療薬の創製研究・開発に本法人が参画することで、イベルメクチン*1に続く国際貢献を目指します。
*1:2015年のノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智北里大学特別栄誉教授が発見したマクロライド系抗生物質。動物薬として寄生虫駆除に用いられているほか、オンコセルカ症(河川盲目症)やリンパ系フィラリア症など寄生虫感染症薬としてアフリカ・中南米を中心に2019年は約4億人が服用している。
【参考】
1.(長崎大学)塩野義製薬株式会社との包括的連携に関する協定の締結式を執り行いました
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/news/news2832.html
(塩野義製薬)プレスリリース 2019年2月28日:「長崎大学とのマラリアを中心とした感染症分野における包括的連携に関する協定締結について」
https://www.shionogi.com/content/dam/shionogi/jp/news/pdf/2019/190228_012.pdf
2. WHO:world malaria report 2019
https://www.who.int/publications/i/item/world-malaria-report-2019
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