日本製鉄株式会社(注1:以下、日本製鉄)は、製鉄所での設備状態監視基盤の構築に向け、日本電気株式会社(注2:以下、NEC)のAI技術「インバリアント分析技術」(注3)を活用したAI分析ソフトウェア「NEC Advanced Analytics - インバリアント分析」(注4)を採用し、製鉄製造現場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速します。2021年1月に東日本製鉄所君津地区で設備状態のオンライン監視における長期間運用テストを開始します。
日本製鉄では、君津地区において原因究明に10日間を要した解決難易度の高いトラブルに対し、オフラインデータを用いて本ソフトウェアを活用することで、事前にトラブルの予兆を検知できることを実証し確認しています。
本ソフトウェアは100msごとにリアルタイムに得られる計測データから、“いつもと違う”異常の予兆を自動検知できるため、トラブルによる稼働停止や設備不良による製品の品質劣化を未然に防ぎます。さらに稼動中の“いつもの状態”を学習することで、過去のトラブルデータを必要とせず、発生したことがない未知のトラブルの発見も可能です。また、鉄鋼製造プロセスの異常判定に十分なレスポンスを有し、さらに判定に用いるデータの前処理を利用者自身でカスタマイズも可能なため、今後の設備展開を見据えた汎用性、分析・評価作業の容易さ、検知精度の高さを評価し、今回の採用となりました。
日本製鉄は、高度な画像解析、深層学習も可能な高い計算能力を備え、各種データ解析を実施し、AIを開発、適用可能なプラットフォーム「NS-DIGⓇ」(注5)を整備するとともに、AIやIoTを含む高度ITの積極的な導入による安全・操業への支援、予防保全による安定生産、品質向上などを推進しています。
今回その一環として、NECのAIを活用し、君津地区の熱延工場での工程内の製造設備の稼働・品質状況を、リアルタイムで異常の予兆を検知します。製造工程各所に設置した500点の物理センサーから収集したデータを含む2,000以上の計測項目データ(電流・温度・圧力・制御信号など)を基に設備や装置の振る舞いをAIにより学習し、モデル化することで、トラブルを未然に防ぎ、設備点検・稼働監視の効率化を図ります。
<システム概要>
<東日本製鉄所君津地区の全景>
日本製鉄では、今後とも、高度IT、AIの適用を一層促進し、製鉄業のインテリジェント化、業務改革・標準化、働き方改革を推進していきます。
NECは、「インバリアント分析技術」をはじめとする最新のAIエンジンや、IoTなどのデジタル技術を積極的に活用し、引き続き鉄鋼業界におけるデジタル化の加速を支援していきます。
用語解説等
(注1) 本社:東京都千代田区、代表取締役社長:橋本 英二
(注2) 本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長兼CEO:新野 隆
(注3) インバリアント分析技術
NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つ。大量に収集したセンサデータの中に埋もれている、システムの特徴を表す普遍的な関係性(インバリアント)を、対象プラント・システムのドメイン知識に頼らずに自動的、かつ網羅的に抽出して、モデル化し、モデルと一致しない「いつもと違う」挙動をサイレント障害として検知するAI技術。
https://jpn.nec.com/ai/analyze/invariant.html
なお、「NEC the WISE」(エヌイーシー ザ ワイズ)はNECの最先端AI技術群の名称です。"The WISE"には「賢者たち」という意味があり、複雑化・高度化する社会課題に対し、人とAIが協調しながら高度な叡智で解決していくという想いを込めています。
プレスリリース NEC、AI(人工知能)技術ブランド「NEC the WISE」を策定
https://jpn.nec.com/press/201607/20160719_01.html
(注4) NEC Advanced Analytics インバリアント分析
https://jpn.nec.com/invariantanalyzer/index.html
(注5) NS-DIGⓇ
高度ITの開発、適用を推進するスタッフ誰もが、いつでも迅速に解析できるよう、日本製鉄が整備している、高度な画像解析、深層学習も可能な高い計算能力を備え、各種データ解析を実施し、AIを開発、適用可能なプラットフォーム。
https://www.nipponsteel.com/news/20190425_200.html
<本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先>
日本製鉄 総務部広報センター
電話:03-6867-2146、2977、2135、3419
NEC コーポレートコミュニケーション本部広報室 永井
電話:080-8818-7386
E-Mail:press@news.jp.nec.com
<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NEC コーポレート事業開発本部
E-Mail:contact_ia@necaa.jp.nec.com
以 上