京都産業大学生命科学部の千葉志信教授らの研究グループは、タンパク質局在化装置関連遺伝子の上流にコードされた新規翻訳アレスト因子(図1)を新たに3つ同定し、これらの因子が自身の翻訳伸長を制御するメカニズムの一端を明らかにした。
千葉教授と京都産業大学大学院生命科学研究科博士前期課程2年の崎山歌恋さんらの研究チームは、情報生物学の手法を用い400以上の真正細菌のゲノム情報から、過去に見出された翻訳一時停止因子と共通の特徴を持つ遺伝子の網羅的な探索を試み、そこから得られた候補遺伝子について、遺伝学および生化学的な解析を行い、3つの新規翻訳一時停止因子(それぞれ、ApcA、ApdA、ApdPと命名)を同定することに成功した。ApcA、ApdAは放線菌から、ApdPは根粒菌からそれぞれ発見された。
また、新規に見出されたこれら3種の翻訳一時停止因子が、互いに類似のアミノ酸配列を有していること、さらにこの類似配列がいずれの因子の翻訳一時停止においても極めて重要な役割を果たしていることも明らかにした(図2)。
今回の発見は、類似の配列を持つ翻訳一時停止因子が、細菌の進化の過程で独立に生じたことを示唆する初めての報告例であり、この新たな知見は翻訳一時停止因子の分子進化の理解につながり、未だ明らかになっていない細胞の機能調節への関与についての解明が期待できる。
むすんで、うみだす。 上賀茂・神山 京都産業大学
<関連リンク>
・生命科学研究科の崎山 歌恋さん(修士2年) ら、千葉 志信 教授の研究グループが、翻訳一時停止因子を新たに3つ発見しました!
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/2021_ls/20210201_400a_tanpaku.html
・生命科学部 先端生命科学科 千葉 志信 教授
https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/ls/chiba-shinobu.html
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