障害物を検知して衝突・転倒を未然回避、高齢者の安全な移動をサポート
アルプスアルパイン株式会社(TOKYO 6770、代表取締役社長執行役員:栗山 年弘、本社:東京、以下「アルプスアルパイン」)が業界に先駆けて開発した歩道走行用の障害物検知アルゴリズム活用の障害物検知ユニットが、電動カートメーカー大手の福伸電機株式会社(代表取締役社長:宮内 康伴、本社:兵庫県神崎郡、以下「福伸電機」)より6月16日に販売開始された障害物検知機能付き電動カート“POLCAR[SPX-1]”に採用されました。
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かねてより、高齢化が世界的な社会問題として取り上げられ、各国が対策に奔走する一方で、その明快な解決策は提示されないまま深刻化の一途をたどっています。この傾向がより顕著に表れている日本では、政府が人生100年時代構想を掲げ、増加する高齢者の学び直しや新たなチャレンジを促す仕組み、健康寿命を延ばす施策などについて継続した議論がなされています。高齢者がより活躍できる社会を実現するためには、高齢者の移動を促進することで地域内流動を活性化させ、生活の質を持続的に高めていくことが重要と言われています。
一方で、高齢化に伴う身体機能の低下は避けられず、高齢者による交通事故が増加していることから運転免許の早期返納の世論が高まっています。高齢者の自由な移動はむしろ制限される傾向にあると言えます。バリアフリー化や公共機関・地域コミュニティ交通の拡充などさまざまな取り組みが行われて
いますが、まだ十分な整備がなされておらず、高齢者が自立して自由に移動するための更なるインフラ整備や新たなモビリティによるサポートが欠かせません。
この課題解決に向けて、アルプスアルパインでは従来より高齢者の自由で自立した移動を支援する低速車向けの障害物検知ユニットを開発してきました。そしてこの度、福伸電機が開発した障害物検知機能付き電動カート“POLCAR[SPX-1]”に採用が決定。同電動カートは福伸電機の代理店経由で6月16日より販売を開始しています。
採用された障害物検知ユニットは、センサとデータ処理のためのコントローラを一体化したモジュール製品です。センサ部には、アクティブIRステレオカメラを利用しました。赤外線を照射することで、特徴点が少ない物体や視認性の低い暗闇の中など、通常のカメラでは検知が難しい環境においても正確に物体を把握することができます。さらにLiDARと比べてコストやサイズ、重量を抑えることができるとともに、一般的なTOFカメラ※1の測距性能を上回る、電動カート向けに適した最大6mの範囲を検出可能なため、高いコストパフォーマンスを誇ります。
また、業界に先駆けて独自開発した歩道走行用の障害物検知アルゴリズムにより、壁やフェンス、路上のブロックや段差、路面の穴や溝、法面のほか、電動カートによる事故多発の原因となる踏切の遮断桿も検出対象として捉えることが可能です。天候の変化や日向・日陰の混在といったカメラ画像に影響を及ぼす光量の変化が大きい環境でも物体との距離やその形状を把握することができます。さらに白線や点字ブロックなど障害物として誤検出されやすい路面サインについては、AIを活用した画像認識により誤検出を軽減します。電動カートのみならず、時速6kmまでの移動体であれば、本ユニットを搭載することで障害物検知によるさまざまなソリューションを実現することができます。
今後は、走行や障害物回避といった一連の動作の完全自動化や、公共空間で生活する人々との共生・協調する機能に加え、本ユニットで検知した各種データをクラウドとつないでモニタリングして解析することで、データビジネスへの応用も視野に入れ開発を強化。高齢化社会への貢献を目指します。
※1 Time-of-Flight カメラの略。光の飛行時間を利用して三次元情報を計測可能な単眼カメラ。一方、
ステレオカメラは複眼により異なる方向から同時撮影し、その視差により物体との距離を測定する
アルプスアルパインについて
アルプスアルパインは1948年の創業以来、数多くのFirst 1・Number 1製品を生み出してきた電子部品および車載情報機器の大手メーカーです。現在では、世界26の国と地域に110拠点を展開し、スイッチやセンサ、データ通信モジュール、タッチ入力パネル、アクチュエータ、パワーインダクタなどのデバイス製品から、車載向け電子シフターやリモートキーレスエントリシステムなどのユニット製品、カーナビゲーションシステムやカーオーディオ&ビジュアル機器などのコンシューマ向け製品、スマートフォンアプリやブロックチェーン技術を活用したデジタルキー、遠隔モニタリングなどのシステム/サービスなど、約40,000種類の製品・ソリューションを世界各国約2,000社のお客様へ提供しています。
詳しくは
https://www.alpsalpine.com/をご覧ください。
福伸電機について
1957(昭和32)年の創業以来、「技術の高度化」をテーマに新技術の開発とそれらを駆使した高品質の製品を製造。お客様の要望に真摯に対応し、確かな製品を提供することこそが使命と考え、商品の研究・開発、品質保証体制の確立に至るまで、幅広い取り組みを行なってきました。今日では自動車、住宅・産業機器、航空機器関連など広範な分野に多彩な製品と技術を提供しています。詳しくは
http://www.felco.co.jp/をご覧ください。
以上