ニュージーランドの放牧酪農ノウハウで持続可能な地域社会の実現を
ニュージーランド乳業最大手フォンテラの日本法人であるフォンテラジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:斎藤 康博)は、ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト主催のオンラインセミナー「放牧酪農WEBセミナーVol.3」を2021年6月23日(水)11:00に開催致しましたことをご案内いたします。
3回目となる今回のセミナーのテーマは「放牧草の管理技術」。過去最多の80名を超える方々に日本各地からご参加いただき、その関心の高さがうかがえました。
*WEBセミナー開催に関するリリースはこちら https://digitalpr.jp/r/48208
■“「知識がある」から「できる」へ”を目標に
ニュージーランドからの参加となったガビン・シース博士から牧草管理の基本を説明、また、実際に放牧酪農を実践している酪農家、足寄町の吉川さんと天塩町の高原さんを交えたディスカッションも行われました。
■個性豊かな酪農家が集合!
サステナブルなNZスタイル「ニュージーランド コピー アンド ペースト酪農」とは?
自身の酪農法を「ニュージーランド コピー アンド ペースト酪農」と言う吉川さん。ニュージーランドの牧場で4年間学んだ後、足寄町で放牧酪農を実践。ニュージーランドのように季節分娩を取り入れている吉川さんの「ありがとう牧場」には、「放牧で育てられた牛が伝えてくれる野生の生命力と自然の調和をお届けしたい」というメッセージが込められています。
草地の適正管理はアニマルウェルフェアにも
高原さんは、2018年に日本各地の酪農家が経営の成果を発表する第70回日本酪農研究会の発表会で最優秀賞の「黒澤賞」を受賞した、ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトのプロジェクト農家です。
プロジェクトへの参加をきっかけに放牧酪農に転向し、所得の向上、労働時間の減少を実現させました。「放牧酪農は近年求められているアニマルウェルフェアでも評価できる、また土壌診断に基づく施肥管理も評価され、経営継承を見据えた放牧酪農のモデルケースとして期待できる」ということが受賞の理由になったと当時の審査委員長が言及しています。
*黒澤賞に幌延地方連盟・高原弘雄さんhttp://rakuseiken.com/archives/2846
日本での認知度はまだ低いと言われる「アニマルウェルフェア」ですが、最近では話題に上ることも多くなってきました。草地を適正に管理し放牧することは、酪農家の労働時間や飼料コストの減少のみでなく、牛が牧草地を動き草を食べることができ、牛の病気の減少にもつながると言われます。健康な牛が増えることは、健全な経営にもつながります。
フォンテラの酪農家も世界的な基準を指針とし、アニマルウェルフェアに関する高い基準を掲げています。今後も専任チームが専門家と協力し、先進的な基準を維持するために国際動向に後れを取らないよう努めていきます。
*フォンテラのアニマルウェルフェアに関する取り組みはこちら。
https://view.publitas.com/fonterra-japan-limited/2020-sasutenabiriteirepoto-huonteraluo-nong-xie-tong-zu-he/page/53
■放牧酪農が農家のライフスタイルや労働環境を変える
メインコンサルタントのキース・ベタリッジは、「過去のセミナーでも持続可能な酪農について言及してきました。アニマルウェルフェアや酪農家の労働環境等にさらなる注目が集まる中、放牧により労働時間の減少や所得の上昇などより良いライフスタイルが可能となれば、離農率を減らし、新規就農者が増えることも期待できるのではないか。」とまとめました。
■ニュージーランドの酪農ノウハウで持続可能な地域社会の実現を
今回のセミナーは2月、4月に続く3回シリーズの最終回ですが、ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトでは、今後もオンラインでの実施を含めた実践的な学びの場の提供、最新のニュージーランドの酪農ノウハウの紹介、持続可能な地域社会の実現への貢献に取り組んでいきます。
【ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトとは】
日本の酪農の収益性と持続可能性に貢献することを目標に、ニュージーランドの放牧酪農のノウハウを活かし北海道内での放牧酪農の可能性を調査するプロジェクト。
2014年にスタートしたこのプロジェクトは、ニュージーランド政府、ファームエイジ株式会社、フォンテラジャパン株式会社3者の官民共同プロジェクトで、北海道庁およびホクレン農業協同組合連合会の協力のもとで行われています。
【放牧酪農とは】
ニュージーランドではサステナブルな「放牧酪農」が主流です
― 土、草、牛の循環サイクル ー
酪農といえば、牛たちが緑の牧草地でのんびりと草を食む姿をイメージする方が多いかと思います。牛たちは牧草地を移動し草を食べ、糞尿は土の中の微生物や虫が分解し土に還っていきます。
そんな循環型の「放牧酪農」がニュージーランドのほとんどの農場で行われています。
冬の寒さや夏の暑さが厳しいところでは一年を通して放牧することは難しい場合もありますが、ニュージーランドは放牧酪農を行うことができる温暖な気候に恵まれた数少ない国の一つです。また、ニュージーランドの肥沃な大地や十分な日照 時間、降水量のおかげで、他の国に比べて少ない肥料で良質な牧草を育てることができます。穀物飼料を輸入し酪農業を行う国に比べると少ないカーボンフットプリントでの酪農が可能です。
主要生乳生産国18か国を対象にした調査によると、ニュージーランドの酪農場での温室効果ガス(GHG)排出量が一番少ないという調査結果が出ています
*1
ニュージーランドには気候や放牧主体の酪農システムといった自然の優位性がありますが、生産性と効率性を可能な限り高めることは、酪農家の懸命な努力によるところが大きいです。ニュージーランドの酪農家は、少ない資源からより多くのものを生産するために精度を高めた放牧酪農を行っており、その結果、過去25年ほどの間に農場における生物由来のGHG排出量を約20%削減しました
*2。
※「グラスフェッド」の定義には国際的な統一規格はありません。このため、フォンテラは独自の基準「The Fonterra Grass and Pasture Fed Standard」を設け、グラスフェッドの水準を管理しています。この基準は第三者機関AsureQualityに承認を受けています。
AsureQualityはニュージーランド政府が保有する、独立の適合性評価機関です。
放牧酪農で育てられた牛からとれる生乳(グラスフェッドミルク)は、一般的に穀物飼料で生育した乳牛からとれる生乳に比べより多くの共役リノール酸(CLA)やβ-カロテン、ビタミンDが含まれていると言われています。フォンテラの契約酪農家が育てる乳牛は約97%
*3の時間を牧草地で過ごし、ストレスフリーな環境で良質な牧草を食べて育ちます(季節的要因により補助的飼料を与える場合があります)。成長ホルモンの使用も一切ありません。
*1 Dairy NZhttps://www.dairynz.co.nz/news/research-shows-nz-dairy-the-world-s-most-emissions-efficient/
*2 2020フォンテラサステナビリティレポート P.45 https://view.publitas.com/fonterra-japan-limited/2020-sasutenabiriteirepoto-huonteraluo-nong-xie-tong-zu-he/page/46
*3 搾乳時間及び搾乳場への移動時間を除いた時間を母数とし、そのうち牧草地で過ごす割合を指します。過去3シーズン(2016-19)の平均値です。
【フォンテラとは】
フォンテラはニュージーランドを本拠地とする約10,000戸の酪農家による協同組合で、世界各国に約20,000名の従業員がいます。ニュージーランドの生乳の約85%を収集し、29の国内製造拠点を通して130カ国以上の国々に乳製品を輸出する世界最大規模の乳製品輸出企業です。
フォンテラジャパン株式会社はフォンテラの日本法人で、年間約13万トンの乳製品を取り扱っています。