株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区、以下「ニコン」)は、航空機の燃費改善やCO2排出量削減に寄与する、リブレット加工※1を施したフィルムを全日本空輸株式会社(社長:井上 慎一、東京都港区、以下「ANA」)に提供します。ANAは、リブレットフィルムを試験装着した航空機を運航し、ANAとニコンは技術検証や、装着箇所の耐久性確認、関連データの取得などを行います。
リブレットフィルムを機体表面に試験装着した航空機を運航するのは、日本の航空会社としてANAが初めて※2です。
ANAグループは、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指し、2021年6月に「ANA Future Promise」を立ち上げ、機内食容器をプラスチック製から地球環境に優しい素材へ変更するなど、環境に配慮した取り組みを行っています。さらに、サステナブルな企業活動を象徴する航空機として、2022年10月から、航空機「ボーイング787型機」を用いた「ANA Green Jet特別塗装機」の運航開始を予定しています。
このたび、ANAは「ANA Green Jet特別塗装機」の2機に、流体の抵抗を低減し、2%程度の燃費改善が期待される、ニコン独自のリブレット加工を施したフィルムを試験装着し、10月5日から運航を開始します。本フィルムは、バイオミメティクス(生物模倣)※3の考え方を取り入れたもので、レーザーと微細加工技術を組み合わせ、流体と接触する面にサメの肌を模した形状を形成するリブレット加工が施されています。
リブレットフィルム
旅客や貨物の輸送を行う航空分野では、持続可能な社会の実現に向け、運航で発生するCO2排出量の削減や、資源類の廃棄率の低減など、さまざまな取り組みが推進されています。中でも、航空機が飛行中に受ける抵抗の内、およそ半分を占める機体表面の摩擦を低減させる技術の導入に注目が集まっています。
リブレットフィルムを試験装着した航空機の運航、技術検証を通じ、装着箇所の耐久性確認や関連データを取得し、実用化に向けた技術開発をさらに進めていく予定です。
ニコンは、独自のレーザー加工技術を活用した、リブレット加工の技術開発を推進し、事業開拓を進めています。リブレット加工を施すことで、タービンブレードや航空機におけるエネルギーロスを減らし、燃費の向上やCO2の排出量削減などの効果を提供し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
※1リブレット加工:レーザーと微細加工技術を組み合わせ、流体と接触する面にサメの肌を模した形状を形成する加工。これにより、液体や気体の不規則な流れによる摩擦抵抗を低減し、エネルギー効率を向上させることが可能。
※22022年10月3日時点で発表済みの航空機において。ANA調べ。
※3バイオミメティクス:生物が持つユニークな構造や機能を参考にして、工業製品に優れた機能を付与するための科学技術の総称。