弘前大学(青森県弘前市)被ばく医療総合研究所 リスク解析・生物線量評価部門は、ウクライナのInstitute for Nuclear Research of the National Academy of Sciences of Ukraine(KINR)に所属するオレナ・ブルドー(Olena BURDO)博士を国際放射線防護研修プログラム研修生として受け入れ、野生動物の染色体異常解析に関する研修を行っている。ブルドー博士は福島大学の招聘により日本で研修を実施。弘前大学はその研修に協力している。ブルドー博士は11月9日に弘前大学の福田眞作学長ならびに同大の杉原かおり国際連携本部長を表敬訪問し、滞在中の研究活動や成果について報告した。
福島大学環境放射能研究所(IER)は、ウクライナ側研究機関と共同で地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)課題「チョルノービリ災害後の環境管理支援技術の確立」を実施してきたが、ロシアによるウクライナ侵略が開始され、ウクライナ国内での研究環境が著しく悪化した。
そこで、福島大学では研究を促進する技術や知識を教授することを目的とし、ブルドー博士を日本にJICA研修生として招聘し研修機会を提供。弘前大学被ばく医療総合研究所 リスク解析・生物線量評価部門と、北海道科学大学薬学部中田章史准教授がIERの研修に協力機関として参加している。
リスク解析・生物線量評価部門では、ヒトや野生動物の染色体異常解析の経験が豊富なことから、研修を通して染色体異常解析技術や知識を教授し、ブルドー博士の研究課題「チョルノービリ原子力発電所跡周辺に生息する野生ネズミの染色体異常解析」を支援している。
ブルドー博士は11月9日、弘前大学の福田眞作学長、杉原かおり国際連携本部長を表敬訪問。同大滞在中の研究活動や成果について報告した。
報告では、チョルノービリの立ち入り禁止区域における野生ネズミ類の放射線影響研究に関するウクライナでの研究活動や、福島大学とのSATREPSプロジェクトの研究についての紹介もあり、福田学長はその都度質問していた。
また、ブルドー博士からは「被ばく医療総合研究所の研究環境は素晴らしく、ウクライナ帰国後も共同研究を継続したい」との要望もあがった。
最後に福田学長は「ブルドーさんとそのご家族、そしてウクライナに平和が訪れることを切に願っております。また、次回、弘前を訪れる際にはご家族で一緒に来てください」とあいさつした。
ブルドー博士は11月中旬には福島大学に戻り、その後帰国する予定。
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