1月12日:トカマクエナジー社は、先進核融合原型炉・ST80-HTSで用いる高温超電導(HTS)線材の供給に関し、日本及び米国のリーディングカンパニーとサインを取り交わしました。
古河電気工業株式会社(日本・東京)と同社グループのスーパーパワー社(米国・ニューヨーク州、以下SPI)は、核融合炉の建設に必要な数百キロメートルに及ぶ量の高温超電導線材を、これから数年にわたり、英国・オクスフォードのトカマクエナジー社へ供給します。
ST80-HTSは、世界最初の実機規模を有する高磁場球状トカマク型核融合炉です。この装置に、古河電気工業の高温超電導線材が用いられます。これは2030年の前半を目途にクリーンな200メガワットの正味電力を供給するというトカマクエナジー社の核融合パイロットプラントに向けた行程において、重要な段階です。
高温超電導(HTS)磁石は、球状トカマク炉の低価格商用化及び世界展開を実現する上で必須のデバイスです。1億℃以上の超高温に達する核融合燃料を閉じ込めて燃焼させるには、HTS磁石が不可欠です。トカマクエナジー社はHTS磁石の設計で、古河電工グループはHTS線材の開発製造に関し、それぞれリーディングポジションにあります。
SPIはニューヨーク州の事業所工場においてST80-HTS向けの高温超電導線材の製造をすでに開始し、最初の製造バッチがトカマクエナジー社に納入されました。SPIはまた、トカマクエナジー社のST-E1パイロットプラントおよび将来の商用核融合炉に必要な線材の量産拡張のため、設備拡張計画の検討を始めました。
トカマクエナジー社CEO Chris Kelsall氏のコメント
次世代の先進プロトタイプであるST80-HTSの建設は、商用核融合によりクリーン、持続的、安価、そして世界中どこでも使えるエネルギーを届けるという当社のミッションにとって大事なマイルストンです。グローバルなリーディング企業である古河電工グループとパートナーシップを結ぶことで、気候変動とエネルギー保障という二重の課題に挑む当社のポテンシャルを高めることができます。
古河電気工業株式会社社長 小林敬一のコメント
古河電気工業は、社会課題解決型事業を推進し持続的なエネルギーの承継に貢献するべく古河電工グループ ビジョン2030、さらには地球環境の未来に貢献するために環境ビジョン2050を策定しています。新しい核融合エネルギーの実現に向け、トカマクエナジー社と当社のコラボレーションを通じ、古河電気工業の超電導線材が重要な役割を果たすと期待しています。
トカマクエナジー社について
トカマクエナジー社は、英国のオックスフォード近郊に本拠を置く、世界をリードする商業核融合エネルギー開発企業であり、球状トカマクおよび高温超電導(HTS)磁石の複合開発を通じて、商業核融合の世界展開を追求しています。
2009年にCulham Center for Fusion Energyからのスピンオフとして設立され、現在、英国の才能ある人材と世界中の専門家からなる220人以上のチームを有し、世界をリードする科学、工学、産業、商業の能力を兼ね備えています。
同社には70ファミリーの特許出願があり、個人投資家から2億ドル、英国および米国政府から5,000万ドルの合計2億5,000万ドルを調達しました。実現すれば、核融合エネルギーはクリーンかつ低コストで、世界規模で展開可能になります。これは、世界のエネルギー要件と気候政策の目標を達成するための重要な要素です。
詳しい情報はこちら(英語のみ):
https://www.tokamakenergy.co.uk/
古河電工グループについて
1884年の創業以来、古河電工グループは古河電気工業株式会社をはじめ世界中に123のグループ会社と約50,000名の従業員を有し「メタル」、「ポリマー」、「フォトニクス」、「高周波」の4つの技術力を核として、情報通信やエネルギーなどのインフラ分野や自動車部品分野、エレクトロニクス分野へ多岐にわたる技術・製品・サービスを世界中に展開しています。
古河電気工業の創業者である古河市兵衛が語った「従業員を大切にせよ、お客様を大切にせよ、新技術を大切にせよ、そして社会に役立つことをせよ。」という言葉があります。この考えは、国連で採択されたSDGsやESG経営に繋がると考えています。この創業者の思いとSDGsを念頭に置き、古河電工グループ ビジョン2030を策定しました。当社グループは、情報/エネルギー/モビリティの融合により、人と社会基盤の健康を守り、成長を支え、持続可能な社会の実現を目指しています。
詳しい情報はこちら:
https://www.furukawa.co.jp
高温超電導(HTS)磁石組み立ての様子