新日鉄住金 市村産業賞「貢献賞」を受賞
- 新日鐵住金株式会社
- 2014年04月18日
- 11:45
~鉄道車両の振動制御装置アクティブサスペンションの開発で~
新日鐵住金株式会社(代表取締役社長:進藤 孝生 以下、「当社」)は、公益社団法人新技術開発財団より、第46回(2014年)市村産業賞「貢献賞」を受賞しました。市村産業賞は、優れた国産技術を開発することで産業分野の発展に貢献・功績した技術開発者を表彰する伝統と権威ある賞です。
鉄道車両の揺れを大幅に抑えることが可能な振動制御装置であるフルアクティブサスペンションを世界で初めて、かつ唯一、実用化に成功しており、我が国の固有の技術として鉄道技術の向上に貢献したことなどが評価されました。
1.受賞内容
(1) 名 称 : 市村産業賞 貢献賞
(2) テーマ : 鉄道車両の振動制御装置アクティブサスペンションの開発
(3) 受賞者 : 技術開発本部 鉄鋼研究所 主幹研究員 石原 広一郎
交通産機品事業部 鉄道台車製造部 部長 小泉 智志
交通産機品事業部 鉄道台車製造部 主幹 後藤 修
2.開発の背景
近年、新幹線をはじめとする鉄道車両の高速化が図られているが、速度の向上に応じて揺れが増加するので、乗り心地向上への強いニーズがあった。そこで車体の揺れを小さくするため、外部エネルギーを注入し、アクチュエータで車体の揺れを打ち消す制御を積極的に行い、従来のシステムに比べ飛躍的に良好な乗り心地を実現するアクティブサスペンション装置を開発した。
3.開発技術の概要
本装置は車体の振動加速度をセンシングして、車体と台車間に設置したアクチュエータで車体の振動を抑えている。編成内の最後尾車の識別や、走行中のトンネル、曲線といった地点を検知して、鉄道に特有なさまざまな振動に対し、最適な制御設計データをリアルタイムに選択して効率的に車体の揺れを抑える特徴がある。車体の揺れを振動加速度で制御が無い場合の1/2~1/3に小さく抑えることが可能となっている。
4.開発技術の特長と効果
当社では本装置を世界で初めて実用化し、新幹線や在来線の多くの路線への供給実績があり、現在まで世界で唯一実用化された技術である。最近、300km/h超の新幹線や豪華サービス列車に採用され、我が国の固有の技術として鉄道技術の向上に貢献している。乗客の皆様に疲労感の少ない移動や豪華な観光旅行を提供できることで、今後、ますます広く普及することが期待されている。
(用語解説)
アクティブサスペンション:
鉄道車両では、車体の振動を抑え乗り心地を良くするために、車輪車軸と台車、また台車と車体間にバネやダンパー等の懸架系部品でサスペンションが構成されている。振動抑制効果を上げるために、これらのサスペンション部品と制御器(CPU)を結び、制御機能を付けて振動を効果的に抑えるものをアクティブサスペンションと呼ぶ。サスペンション部品の特性を最適化するセミアクティブサスペンションと、さらに外部エネルギ-を注入し振動を抑制する力を発生するフルアクティブサスペンションとに分けることができる。弊社はフルアクティブサスペンションを実用化した。
アクチュエータ:
車体振動を抑えるために、制御器(CPU)で計算された出力命令にしたがって、圧縮空気や電気エネルギーを利用して最適な力を発生する部品。
(お問い合わせ先)総務部広報センター TEL:03-6867-2146
以 上