【東京農業大学第三高等学校】7/27(木)「食品加工実習」を東京農大世田谷キャンパスで実施

ジャム作りの体験を通じ、食品の「製品」として求められる様々な要素を学びました。


東京農業大学第三高等学校は、2023年7月27日(木)、化学のフィールドラーニング(校外学習)の一環として「食品加工実習」を実施し、参加した25名の生徒が、イチゴとブルーベリーのジャム作りを体験しました。

会場となったのは、東京農業大学の世田谷キャンパス内にある「食品加工技術センター」。食品メーカーの製造現場と比べても遜色ない機器を備えており、普段は応用生物科学部を中心に、様々な学科の研究や実習で利用されています。この施設における「食品加工」は一般的な「調理」とは異なり、一定の保存期間を持ち、消費者に提供できる「製品」を作ることを前提としています。「おいしいジャムを作りたい」「楽しそう」と、今日の実習を待ちわびていた生徒たちも、入口で白衣姿となり、1人1人エアシャワーを浴びて入室すると、少しずつ真剣な表情に変わっていきました。

この日講師を務めてくれたのは、食品加工技術センターの小野航助教。最初はスライドを見ながら、ジャム作りの行程や注意点などを学びました。「ジャム」を名乗るには「ゲル化」が欠かせませんが、そのために必要な「ペクチン」について、スクリーンには化学構造式や「ガラクチュロン酸」「メチルエステル化」といった物質名や反応名が表示され、生徒たちはこの実習が「化学」の領域だということを、改めて強く認識しました。



また、消費者に販売する「製品」を作るためには、ただ味が良いだけではなく、安全、安心であることが不可欠です。「90℃の熱でも死滅しない芽胞菌対策として、クエン酸を加えてpHをコントロールする」「今着用している手袋やエプロンのビニールが青色なのは、混入時にも気付きやすいため」など、行程の一つ一つに込められた理由に、生徒たちは驚いたり、頷いたりしながら、熱心に耳を傾けました。

講義の後は、イチゴ班とブルーベリー班に分かれて作業が始まりました。砂糖とペクチンを混ぜ、水に溶かし、加熱して果実を加えると、早くも濃厚な香りが立ち込めます。それぞれ20kgの果実が煮えたぎる窯は100℃を超える高温となっており、甘い匂いと緊張感が混じりあいながら、作業が進行しました。



途中で砂糖を追加しますが、「浸透圧」による急な脱水作用で果実が固くならないようにするため、3回に分けて糖度を調整します。30分ほど煮詰め、果実が柔らかくなったことが確認できたら、ジャムを屈折糖度計で測定し、60°になったところで出来上がり。熱いうちに、ジャムを瓶に充填していきます。この時点でジャムの温度はまだ100℃近く、瓶越しにも熱さが伝わりますが、この熱は容器内を殺菌するために必要なものなので、注意深く瓶に詰め、蓋をします。最後に容器の外側を丁寧に洗って仕上げました。



農大三高の食品加工実習は、1985年の開校以来、化学部の夏休みの恒例行事でしたが、2018年からフィールドラーニング(校外学習)として一般生徒が参加できるようになり、今回が4回目となりました。施設の規模から人数が限られていることもあり、案内から1時間もたたずに定員が埋まってしまうとのこと。参加した生徒からは「楽しかった」「食べるのが楽しみ」といった率直な感想とともに、「普段家でしている料理と違って、『製品』として消費者に届けるものを作るためには、様々なことを守らないといけないことがよく分かった」「とても良い経験になった」という声があがりました。今回の実習を引率した理科(化学)の信木公介教諭は、「生徒たちには、食品を『製造者の視点』で考える貴重な体験となりました。今後の大学進学における学部選択や、その先の職業観を広げるという意味において、役にたったらうれしいですね」と語ってくれました。

この日生徒たちが製造したジャムは、この後化学部の生徒たちの手でラベルや賞味期限表示シールが貼付され、9月9日(土)、10日(日)の文化祭「浪漫祭」で販売される予定です。



取材・撮影 学校法人東京農業大学 初等中等教育部
本件に関するお問合わせ先
学校法人東京農業大学 初等中等教育部
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