農大北海道オホーツクキャンパスの教授、学生たちと共に様々な調査を体験し、「能取湖の生態系」について学びました。
東京農業大学第三高等学校(埼玉県東松山市)は、2023年7月31日(月)から8月4日(金)まで4泊5日の日程にて、「オホーツク海洋研修」を実施しました。理数探究課程や生物部に所属する生徒など希望者19名(2年生5名、1年生14名)は、北海道網走市に位置する東京農業大学の「オホーツク臨海研究センター」と、その目の前に広がる「能取湖」において、調査からデータの解析、考察、発表までの一連の研究活動を経験し、研究の楽しさや奥深さに触れました。
東京農業大学北海道オホーツクキャンパスには、豊かな生態系に恵まれたオホーツク海を研究する「生物産業学部海洋水産学科」という学科があります。その学科の教授陣が、今回の研修のために、海水の湖である能取湖の生態系調査という魅力あふれるテーマを用意してくれました。生徒たちは、ティーチングアシスタントの大学生と共に、能取湖の様々な場所で、昼と夜のそれぞれの時間に海水を採取し、水温や塩分、プランクトンの量や種類の違いを調べたり、アマモ場や干潟で生き物の調査をしたりしました。
集めたサンプルは、オホーツク臨海研究センターに持ち帰り、実験室でデータを測定します。海水をろ過したフィルターから、植物プランクトンが持っているクロロフィルaという光合成に関与する色素を測定したり、プランクトンや生き物を顕微鏡で観察したり、動物プランクトンを抽出し単位体積当たりの個体数を計算するなど分析を行いました。続いて、自分たちで収集したデータのうち、班ごとに興味を持ったデータについてどんな関係性が見いだせるのかを考察し、発表資料にまとめました。
1年生をはじめ、これまでに経験したことのない大学生レベルの高度な内容に戸惑う様子も見受けられましたが、限られた時間の中で工夫を凝らし準備しました。発表を聴いた先生や学生からは、鋭い質問もありましたが、生徒たちは新たな視点を得るとともに、研究の奥深さを実感している様子でした。
一連の研究活動を終えた生徒からは「初めて本格的な研究ができて楽しかった。」、「海水のサンプリングやプランクトンの採集など、普段絶対にできない経験ができて嬉しかった。」、「大学の先生や学生の方々が様々な知識を教えてくれた。」といった喜びや感謝の声がありました。引率した信木公介教諭は、「オホーツク地域ならではの調査や大学の専門的な実験器具・道具の操作などから刺激を受けたことでしょう。研究や発表を通して、1つのデータでも様々な見方があるということ、研究というものはどんなに事前に準備しても充分ということはない、ということを生徒たちが実感していると嬉しい。発表で踏み込んだコメントをいただいた経験が、今後の研究活動に良い影響があることを期待したい。」と話してくれました。
取材:学校法人東京農業大学 初等中等教育部(TEL:03-5477-2391)