クリティカルレイヤー向けの最上位機種、半導体デバイスの三次元化にも貢献
株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)は、ArF液浸スキャナー「NSR-S636E」を発売します。ニコン史上最高の生産性を誇り、重ね合わせ精度とスループットを高レベルで両立したクリティカルレイヤー向けの露光装置で、最先端半導体デバイスにおける三次元化など、多様化するデバイス構造への課題に対するソリューションを提案します。
発売概要
・商品名 :ArF液浸スキャナー「NSR-S636E」
・発売時期:2024年1月
開発の背景
DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中、より大容量のデータをいっそう高速に処理・通信するための高性能な半導体が必要不可欠となっています。半導体の高性能化には回路パターンの微細化と半導体デバイス構造の三次元化という両輪による技術革新が進んでおり、そのいずれの製造プロセスにおいてもArF液浸スキャナーが必要となっています。特に三次元半導体は、従来の半導体よりも製造時のウェハの反りや歪みが生じやすく、これまで以上に高い補正精度が求められます。
今回開発したArF液浸スキャナー「NSR-S636E」は、露光前にウェハの多点計測を行うインラインアライメントステーション(iAS)
※1を改良。高いスループットを維持しつつ、ウェハの反りや歪みをより高精度に計測・補正することで、高い重ね合わせ精度を実現します。また、生産性も現行機種から10-15%
※2改善し、最先端の半導体デバイスを効率的に生産することができます。
ニコンは、今後も最先端の半導体デバイスの製造に欠かせないソリューションを提供し、デジタル社会の発展に貢献していきます。
※1 inline Alignment Stationの略。露光装置のスループットを落とすことなく、高速・高精度にウェハを計測し、
グリッドエラーの補正を可能にするシステム。
※2 使用条件等により変動。
主な特長
三次元半導体など、ウェハの変形が発生しやすい生産プロセスで高いパフォーマンスを発揮
露光前にウェハの多点計測を行う、インラインアライメントステーション(iAS)の計測精度を向上させることで、より高精度にウェハの反りや歪みなどの変形具合を計測することが可能となり、重ね合わせ精度の向上に貢献。これによりプロセスロバスト性が向上し、半導体の高性能化の手法として今後さらなる技術開発が進む三次元半導体など、高い重ね合わせ精度が要求される半導体の製造プロセスにおいて生産性を損なうことなく優れたパフォーマンスを発揮します。
ニコンの半導体露光装置史上最高の生産性を実現
スループットの向上、ダウンタイムの低減などにより、現行機種比で総合的な生産性を10-15%改善。ニコンの半導体露光装置の中で最高水準の生産性を実現しました。
主な性能
解像度 |
≦38 nm |
NA (開口数) |
1.35 |
光源 |
ArFエキシマレーザー(波長: 193 nm) |
縮小倍率 |
1:4 |
最大露光領域 |
26 mm x 33 mm |
重ね合わせ精度 |
MMO※3:≦2.1 nm |
スループット |
≧280 wafers/hour (96 shots) |
※3 MMO (Mix and Match Overlay): 同一機種間の重ね合わせ精度(例 S636E #1 to S636E #2)