成蹊大学 大学院理工学研究科の三浦正志教授(JST創発的研究支援事業・創発研究者、米国ロスアラモス国立研究所・長期客員研究員)の研究成果が英国科学誌Nature姉妹論文誌「Nature Materials」に掲載されました。
■ポイント
○新しい材料設計指針により鉄系超伝導材料SmFeAsO1-xHx薄膜を創製し、液体ヘリウム沸点温度(マイナス269度)下で鉄系超伝導材料における世界最高の臨界電流密度(電気抵抗ゼロで流せる電流密度)を達成した。
○本研究で創製したSmFeAsO1-xHx薄膜は、25テスラの高磁場下において鉄系超伝導材料の中で最も高い臨界電流密度を達成。この特性は、すべての超伝導材料の中で最も臨界電流密度が高い銅酸化物高温超伝導材料YBa2Cu3Oy薄膜に匹敵する特性である。
○本材料設計指針を用いることでSmFeAsO1-xHxとは異なる超伝導材料(YBa2Cu3Oy,BaFe2(As1−xPx)2 , FeSe1-xTex)においても飛躍的な臨界電流密度向上に成功。今後、本材料設計指針が幅広い超伝導材料の臨界電流密度向上に大いに貢献することが期待される。
■研究概要
三浦正志教授は、科学技術振興機構(JST)の2020年度創発的研究支援事業に採択され、「新材料設計指針により対破壊電流密度に挑む」の研究題目で研究を推進しています。特に、独自の新しい材料設計指針を確立し、臨界電流密度(電気抵抗ゼロで流せる電流密度の限界値)を理論限界である対破壊電流密度に近づけることを目的としています。
今回、三浦正志 教授は、東京工業大学 細野秀雄 栄誉教授、平松秀典 教授らの研究グループと共に、新しい材料設計指針であるキャリア密度制御と磁束ピン止め点制御の融合により鉄系超伝導材料SmFeAsO1-xHx薄膜を創製し、鉄系超伝導材料の中でも最も高い世界最高の超伝導臨界電流密度を達成しました。
今回の研究成果により、液体ヘリウム(‐269度)を冷媒とした大型ハドロン衝突型加速器, 核融合発電、核磁気共鳴装置、磁気共鳴断層撮影装置やリニアモーターカーなどへの応用が期待されます。また、液体水素(‐253度)を冷媒とする超伝導送電、超伝導電力貯蔵装置、航空機用超伝導モーター、発電機などへの応用が期待されます。
本研究成果は、英国科学誌Nature姉妹論文誌「Nature Materials」(オンライン:現地時間2024年7月18日)に掲載されました。
■英国科学誌Nature姉妹論文誌「Nature Materials」
"Quadrupling the depairing current density in the iron-based superconductor SmFeAsO1-xHx"
DOI:10.1038/s41563-024-01952-7
https://doi.org/10.1038/s41563-024-01952-7
●三浦正志教授の研究室ウェブサイト
https://www.masashi-miura-lab.jp/
●科学技術振興機構(JST)プレスリリースウェブサイト
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20240718/index.html
▼本件に関する問い合わせ先
成蹊学園企画室広報グループ
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【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/