2024年10月15日
PwC Japanグループ
PwC、年次調査「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック
2024-2028」を発表
世界の広告収益は2026年に1兆米ドルを超える見込み
調査結果はこちら(
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/outlook.html)
- 世界のエンタテイメント&メディア(以下「E&M」)業界の収益は、2023年に5%増加して2.8兆米ドルとなり、2028年には3.4兆米ドルに達する見込み
- 広告収益は2026年に1兆米ドルを超え、2028年の収益は2020年の2倍になると予想
- ストリーミングサービスの利用と加入者数は引き続き増加傾向にあるが、業界の競争が激化する中、マーケットプレーヤーは統合(企業統合/サービスのバンドル)やスポーツの生中継、パスワード共有の取り締まり、広告付きコンテンツによる収益が成長を促進することを期待
- ゲームは世界で最も急速に成長しているE&Mセクターの1つ。主にアジア太平洋地域が牽引し、2028年には収益が3,000億米ドルを超えると予想される。音楽ライブや映画館などの対面によるイベントは、パンデミック前のレベルに戻ると予想
- 世界のE&M業界は、新しい収益源の獲得とビジネスモデル変革のために、生成AIに注目している
PwCの年次調査「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2024-28」(以下「アウトルック」)によると、経済の逆風、テクノロジーの混乱、地理的および業界間の競争激化にもかかわらず、世界のE&M業界は成長を続け、総収益は2023年に5%増加して2.8兆米ドルに達しました。この成長率は、IMF(国際通貨基金)が発表した世界経済の成長率を上回るものです(※1)。
アウトルックは、53の国と地域にわたる13の収益セグメントを調査対象としています。世界のE&M収益は2028年に3.4兆米ドルに達し、年平均成長率(CAGR)は3.9%と予測されます。
最も注目すべきは、広告収益が2026年に1兆米ドルに達すると見込まれており、今後5年間のE&M業界全体の収益成長の半分以上(55%)を占めると予測されることです(※2)。
今回のアウトルックでは、従来はサブスクリプションモデルに依存していたストリーミングサービスが、市場の競争激化と、利用と加入者数に関する課題に直面しており、これに対して、統合(企業統合/サービスのバンドル)やスポーツの生中継(夏季五輪などのメガイベントを含む)、パスワード共有の取り締まり、広告収益モデルなどで成長を促進しようとしていることも明らかにしています。
世界全体を見ると、米国は依然として世界最大の消費者支出および広告市場であり(2028年までのCAGRは4.3%)、2023年には世界の支出の3分の1以上を占めています(※3)。しかし、中国(7.1%)やインド(8.3%)などの他の大規模な市場や、インドネシア(8.5%)やナイジェリア(10.1%)などの新興市場では、より急速な成長が予測されます。
PwCドイツのグローバルエンタテイメント&メディアのリーダーであるヴェルナー・バルハウス(Werner Ballhaus)は次のように述べています。
「世界のE&M業界が成長を続ける中、マーケットプレーヤーはリスクとチャンスの両方に直面しています。消費者の嗜好の変化、デジタルトランスフォーメーションおよび生成AIなどの新しいテクノロジーがもたらす影響の不確実性により、Business Model Reinventionの波が引き起こされています。マーケットプレーヤーが、私たちが特定した収益源においてシェアを獲得するためには、広告業界の成長や生成AIがもたらす強力な機会を活用し、自社の価値を創造、提供、獲得する方法を再考する必要があります。オンラインでのコンテンツ消費が増えるにつれ、企業も製品やサービスの提供を多様化し、消費者がより多くの時間を費やすプラットフォームの上で消費者とつながり続ける必要があります」
世界の広告収益は2026年に1兆米ドルに達する見込み
世界の広告収益は、2028年まで6.7%のCAGRで成長すると予想されており、分析対象となった他の2つの大きなセグメント、すなわちインターネットコネクティビティ(2.9%)と個人消費(2.2%)を上回っています。同時に、総広告収益は2026年に1兆米ドルに達する見込みです(2028年の収益は2020年の2倍になります)。分析対象である3つの大きなセグメントにおいて、今後5年間のE&M業界全体の収益成長の55%を広告が占めると予測されています。
インターネット広告は、広告業界で最大かつ最も急速に成長している手法の1つです。2023年には10.1%の成長を遂げ、525億米ドルの新しい収益を生み出しました。2028年まで9.5%のCAGRで成長し、総広告支出の77.1%を占める見込みです。
ストリーミングサービスは成長を促進するために新しいモデルを模索している
ストリーミングサービスの利用と加入者数は増えているとはいえ、サービスプロバイダーの競争激化や、デジタル商品やサービスに対してより多くの料金を加入者に支払ってもらうことが難しくなってきていることから、成長率は近年より低くなっています。オーバーザトップ(OTT)ビデオサービスの世界のサブスクリプション数は、2023年の16億から2028年には21億に増加し、5.0%のCAGRを示しています。しかし、OTTビデオのサブスクリプションあたりの世界の平均収益はほとんど変化せず、2023年の65.21米ドルから2028年には67.66米ドルと、微増にとどまると予想されます。この停滞により、主要なストリーミングサービス提供者はビジネスモデルを再構築し、サブスクリプション以外の収益源を模索しています。具体的には、広告付きのバリエーション(広告が含まれたコンテンツでサブスクリプション料金を引き下げる)の導入、パスワード共有の厳格な取り締まり、スポーツの生中継の導入、統合(企業統合/サービスのバンドル)などです。先進市場では、この統合がサブスクリプションサービスプロバイダーのバンドルという形で進行しています。2028年までには、広告がOTTの世界のストリーミング収益の28%を占めると予測されています(2023年の20%から増加)。
ライブイベントや映画館の回復とゲーム業界の躍進
eスポーツ(トーナメントと観客を伴う、スポーツ競技としてのゲーム)を含む世界のゲーム市場は、E&M業界で最も急成長している大きなセクターの1つとして勢いを保ち続け、2023年の総収益は前年比4.6%増の2,276億米ドルに達しました。収益は2028年に3,000億米ドルを超え、2019年の2倍以上になると見込まれています。アジア太平洋地域は依然としてゲーム業界最大のマーケットであり、世界の総収益の48.1%を占め、2028年には54.4%(1,818億米ドル)に増加します。
E&M業界における他のセグメントでは、音楽ライブや映画館などの、対面で、リアルな、テクノロジーを活用した体験が引き続き主要な成長分野であり、音楽チケットの売上と映画の興行収入は、2023年の世界消費者支出のうち純増分の38.6%を占めています。ミュージシャンのワールドツアーなどの大規模イベントに牽引され、音楽ライブの収益は26%増加し、音楽市場全体の半分以上を占めました。
2023年に公開された数々の大ヒット作品に支えられ、映画館の興行収入は前年比30.4%増加しました。世界の映画収益は、2026年にパンデミック前の2019年の水準を上回る見込みです。
PwC中国のグローバルテクノロジー・メディア・テレコムインダストリーのリーダーであるウィルソン・チョウ(Wilson Chow)は次のように締めくくっています。
「世界のE&M業界は、常にテクノロジーによる破壊的変化によって成長してきました。多くの成長機会を生かすには、生成AIなどの新しいテクノロジーの活用が欠かせません。ビジネスモデルやクリエイティブ開発手法を再構築し、広告テクノロジーを活用する必要があります。これまで、E&M業界における生成AIの応用事例の多くは、スピードと効率に重点を置いてきました。今後は、生成AIを用いた新しいソリューションやプロセスの試行、反復、拡張を通じて、いかにより大きな価値創造をもたらすかに焦点を当てる必要があります」
アウトルックについて
今年で25年目となるPwCのグローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2024-28は、世界のE&Mの消費者支出と広告支出の詳細な分析を提供します。アウトルックには、53の国と地域における13の業界セグメントに関する5年間の履歴データと5年間の予測データおよび解説が含まれています。これらのセグメントには、B to B、映画、インターネットコネクティビティ、インターネット広告、音楽・ラジオ・ポッドキャスト、新聞・一般雑誌・書籍、屋外(OOH)広告、オーバーザトップ(OTT)ビデオ、従来型テレビ、ビデオゲームおよびeスポーツ、バーチャルリアリティ(VR)およびオーグメンテッドリアリティ(AR)、データ消費、NFTが含まれています。さらに、アウトルックではAI、メタバースなどのテクノロジーがもたらす重要な展開を追っています。
以上
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