京都産業大学神山天文台と国立天文台の研究チームは、国立天文台すばる望遠鏡の共同利用で、新星「いて座2015 No.3(いて座V5669)」において史上8例目となるリチウム生成の現場を捉えることに成功した。
リチウムは、最初ビッグバン時に大量に作られ、その後、宇宙の様々な天体で作られていると考えられている。そのため、宇宙における元素の起源や物質進化を探る上で重要な元素である。最近になって古典新星で多量のリチウムが生成され、宇宙に放出されていることが観測的に明らかになってきた。
京都産業大学神山天文台と国立天文台の研究チームは、国立天文台すばる望遠鏡の共同利用で「いて座新星2015 No.3(V5669 Sgr)」の観測を実施し、史上8例目となるリチウム生成の現場を捉えることに成功した。推定したリチウム生成量は、これまで調べられた新星での生成量の数パーセントと少ないことが分かり、新星によってリチウム生成量には大きな多様性があることが明らかになった。
これまでの観測からは、ビッグバン以降に作られた銀河系のリチウムの大部分を新星起源で説明できていたが、今回の観測により、リチウム生成が少ない新星も存在することが分かり、超新星など他の天体の寄与も重要であると考えられる。
一方で、現在の新星爆発のシミュレーションでは、観測されているリチウムの生成量を説明できていない。今後、これまでリチウム生成が報告されている新星爆発を起こした連星系の物理情報が明らかになることで、リチウム生成量の多様性が何によって生じるのか明らかになっていくと期待される。
むすんで、うみだす。 上賀茂・神山 京都産業大学
<関連リンク>
・神山天文台の研究員らが明らかにした新星爆発によるリチウム生成量の多様性
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20210707_859_nova.html
・神山天文台
https://www.kyoto-su.ac.jp/observatory/
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