世界初 全固体電池を搭載した多回転バッテリレスアブソリュートエンコーダ「MAR-M700MFA」を発売
FA機器の高機能化・メンテナンスフリー化に貢献
多回転バッテリレスアブソリュートエンコーダ「MAR-M700MFA」
株式会社ニコン(社長執行役員:馬立 稔和、東京都港区)は、世界で初めて※1全固体電池を搭載した多回転バッテリレスアブソリュートエンコーダ※2「MAR-M700MFA」を発売します。アブソリュートエンコーダは、自動車製造ラインの産業用ロボットや工作機械など、産業機械に幅広く利用され、ロボットアーム等の回転変位を絶対値で検出することができるセンサです。
今回発売する「MAR-M700MFA」は、全固体電池の搭載により、ニコンの従来のバッテリレスアブソリュートエンコーダよりも保証温度が向上し、メンテナンスフリー化を実現しました。新たに予知保全機能や角度精度の自己補正機能を搭載し、産業用ロボット等の利用環境拡大、稼働安定性向上、モーション制御の高精度化に貢献します。
ニコンは、中期経営計画で掲げた「2030年のありたい姿」である「人と機械が共創する社会の中心企業」を目指し、今後も環境に配慮した新しいテクノロジーを取り入れながら産業用ロボットのさらなる発展に貢献します。
なお、本製品は、「2023国際ロボット展」(期間:2023年11月29日~12月2日、場所:東京ビッグサイト)に出展いたします。
※1 2023年11月20日現在、発売済みの多回転バッテリレスアブソリュートエンコーダにおいて。ニコン調べ。
※2 「バッテリレスエンコーダ」は、電源がOFFの状態時に、停止された位置データを保持、多回転の検出、回転数を不揮発性メモリに
保存します。不揮発性メモリに保存するためには、外部電源(バッテリなど)からの電力供給が必要で、ニコンのバッテリレス
アブソリュートエンコーダは、エンコーダ内に組み込まれた電池から電力供給することでこれを実現しています。
発売概要
・商品名 :多回転バッテリレスアブソリュートエンコーダ「MAR-M700MFA」
・受注開始時期:2024年6月
開発の背景
労働人口の減少により、様々な分野において産業用ロボットの導入が急速に進んでいます。市場の拡大に伴い、産業用ロボットに対するお客様の要望も高度化しており、産業用ロボットのキーパーツであるアブソリュートエンコーダの高機能化、高精度化が急務となっています。こうした状況を踏まえ、ニコンは、従来よりも耐環境性に優れ、高精度なモーション制御が可能となるアブソリュートエンコーダを開発しました。
主な特長
全固体電池を搭載した世界初のアブソリュートエンコーダ。最高105℃までの温度保証とメンテナンスフリー化を実現
マクセル株式会社(取締役社長:中村 啓次、東京都港区)が開発した全固体電池をエンコーダ内に搭載し、バッテリレス化を実現。これにより、保証温度が最高105℃まで向上し、これまで以上にモータ設計や装置設計の自由度が高まります。また、メンテナンスフリー化も実現しました。
予知保全機能を搭載
対応する通信規格(A-format®)※3を用いた予知保全機能を新たに搭載。故障の兆候を事前に察知し、産業用ロボットの部品交換やメンテナンス時期を事前に知らせることができるため、故障による装置の突然停止リスクを抑えることができます。
※3 「A-format®」は、株式会社ニコンの登録商標です。
独自の角度精度自己補正機能を搭載
ニコン独自の角度精度自己補正機能を新たに搭載。基準エンコーダ※4を使用することなく、精度補正が可能となり、稼働安定性、モーション精度の高度化に貢献します。
※4 対象エンコーダの精度(位置情報)を担保するためのマスターエンコーダです。
現行品との取付互換を意識した製品設計
ニコンの既存のアブソリュートエンコーダとの互換性を意識した設計となっているため、取付部分の設計変更を伴わず、取り付けることが可能です。
主な性能
基本仕様※5
1回転分解能 | 最大27bit (134,217,728分割) |
多回転分解能 | 最大16bit (65,536回転) |
応答回転速度 | 8,000 min-1 |
電源電圧 | DC 5V (±10%) |
消費電流 | 120 mA (TYP) |
動作温度範囲 | -20℃~+105℃ |
外径 | φ35 mm |
高さ | 12.48 mm (TYP) |
通信仕様
通信プロトコル | A-format® |
伝送規格 | EIA規格 RS-485準拠 |
伝送方式 | NRZ 半2重シリアル通信 |
ボーレート | 2.5Mbps(オプション:4Mbps、6.6Mbps、8Mbps、16Mbps) |
信号線数 | 4本 |
バス接続 | 最高8軸までエンコーダを接続可能 |