【電気通信大学】電気通信大学と国立天文台が包括協定を再締結し、異分野連携を強力に推進することを目的とした新たなマッチングファンド型共同研究事業を創設します。 電気通信大学 2024年03月15日 20:05 国立大学法人電気通信大学(学長 田野俊一、以下「電気通信大学」)と、大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台(台長 常田佐久、以下「国立天文台」)は、双方における研究力の強化及び情報・通信を核とした先端科学・技術の発展に寄与することを目的として2020年11月に締結した連携推進に関する協定を2028年3月まで延長することに合意し、協定を再締結しました。また、双方の研究シーズを元に、異分野連携による新たな共同研究の発掘・推進と具体的な研究成果の創出を目的として、両機関所属研究者による共同研究提案に対して資金援助を行うマッチングファンド型共同研究事業を創設しました。 【背景】 電気通信大学は、「文部科学省研究大学強化促進事業」に採択された22機関のひとつであり、AI、ICT、IoT、ロボティクス、サイバーセキュリティ、光・量子技術等、多様かつ特色ある分野において高い実績をあげており、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が取りまとめたSociety 5.0を実現するための基盤技術を全て網羅しています。また、2021年に新たなビジョン「UECビジョン~beyond2020~」を策定し、「共創進化スマート社会」すなわちSociety 5.0の実現と自らも「共創進化スマート大学」となることを目標として教育研究と社会実装に取り組んでいます。 一方、国立天文台は、天文学の分野における国内の中核研究機関として、ハワイのマウナケア山頂で光学赤外線望遠鏡「すばる」を、また南米チリのアタカマ砂漠で米国・欧州諸国等と共同して電波望遠鏡「アルマ」を運用し、さらに東京大学宇宙線研究所、高エネルギー加速器研究機構と共同で、重力波望遠鏡「KAGRA」での観測を開始するなど天文学の研究に取り組んでいます。2019年4月には、世界各地の電波望遠鏡を結合した国際協力プロジェクトにて、ブラックホールの直接撮影に成功しています。 電気通信大学と国立天文台の両機関は、包括協定の下で、お互いの研究成果を応用した共同研究の推進や、学生派遣プログラム、アストロセミナー開催などの連携を行ってきました。これまでに実施した共同研究では、電気通信大学の技術シーズを国立天文台の観測技術の向上に役立てる視点での研究成果の創出に力点を置き、電波望遠鏡「アルマ」や光学赤外線望遠鏡「すばる」の高性能化に資する研究成果を得てきました。 一方で、異分野連携による共同研究を推進する過程で、国立天文台が有する技術シーズが天文学だけでなく他の分野、例えば次世代高速・大容量通信網(Beyond 5G/6G)や医学・薬学分野におけるイメージング技術の開発にも適用できることがわかってきました。これを受けて、電気通信大学と国立天文台の連携の有用性、更なる連携強化の必要性を改めて認識・共有し、2020年11月に締結した連携推進に関する協定を2028年3月まで延長するとともに、両機関の連携による新たな価値創造、異分野連携による共同研究の発掘・推進と具体的な研究成果の創出を目的として、共同研究シーズを発掘し資金援助を行うマッチングファンド型共同研究事業をはじめとする更なる連携強化を図ることとしました。 【今後の連携強化の取り組み】 マッチングファンド型共同研究事業 電気通信大学と国立天文台は、お互いが持つ研究開発・技術開発の強みを活かし、両機関の連携による新たな価値創造、異分野連携による新たな共同研究の発掘・推進と具体的な研究成果の創出を目的として、マッチングファンド型共同研究事業を開始します。 本事業は、電気通信大学と国立天文台のどちらか一方の「研究代表者」と、他方の「連携研究者」が立ち上げた研究チームによって提案された研究課題に対して、研究費の支援を行います。両機関合同の審査により採択された研究課題に対して、各機関が自機関に所属する研究者の研究費を負担し、競争的資金を獲得する前の段階で研究スタート資金として援助を行う仕組みです。1件当たり両機関総額で250万円程度を基準額とし最大500万円程度の援助を行い、年に数件程度の支援を予定しています。 共同研究の予定と期待する成果 本事業では以下の共同研究の実施を予定しています。 1. 細胞の分化や発生/がん化の仕組みを解明する応力3Dイメージング技術の開発に向けて: 電気通信大学の創薬技術と国立天文台の精密光計測技術を組み合わせ、これまで連携の少なかった両分野の知見を融合することにより、イメージング分野における研究に取り組みます。重力波望遠鏡の鏡性能を評価するために国立天文台が開発した測定技術を電気通信大学の医工学研究に応用して、生体にかかる力の可視化を行います。近年、細胞の分化や発生/がん化といった生命現象中に、生化学反応だけでは説明できない「力学的せめぎあい」があることが示されており、その仕組みを解明するため、細胞にかかる力を可視化する応力3Dイメージング技術を開発します。 2. 光学赤外線望遠鏡「すばる」の高性能化に向けて: 電気通信大学の深層学習に基づくイメージング技術を国立天文台のすばる望遠鏡に導入し、大気揺らぎを補正することで、高解像度な天体観測を実現するシングルピクセルイメージングシステムを開発します。また、国立天文台で得られた天体画像と大気揺らぎデータを横断的に収集した学習用データベースを電気通信大学と国立天文台が共同構築します。この新たなイメージングシステムにより、可視光の波長帯における大気揺らぎの抑制が可能となります。 3. 電波望遠鏡「アルマ」の高性能化に向けて: 電気通信大学の高周波回路設計・解析技術と国立天文台のデバイス作製・評価技術の融合により、超広帯域に動作するマイクロ波回路素子を開発することによって、同時に観測可能な周波数帯域を従来の4倍以上に拡張し、アルマ望遠鏡への実装を目指します。 詳細はPDFをご確認ください。 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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