DICとユニチカ、ミリ波対応のプリント配線板やミリ波レーダーなどの関連部材に対応した低誘電特性を持つ「特殊PPSフィルム」を共同開発
スマートフォンや小型電子機器などに使用される高周波対応のフレキシブルプリント配線板には、液晶ポリマー(以下、LCP)と銅箔を接着したものが使用されています。LCPは銅箔との接着界面が平滑でないため、伝送損失が高くなります。次世代通信機器では、高周波領域のミリ波(30~300GHz)を使用するため、伝送損失を低く抑える(低誘電)素材を必要とします。
このたび、DIC独自のPPS重合・コンパウンド技術と、ユニチカが保有するフィルム化技術を融合することで生み出された全く新しい「特殊PPSフィルム」を共同開発しました。
本開発品は、PPS樹脂に由来する低吸水性・難燃性・耐薬品性を維持しながらも、高周波基板に要求される低誘電特性・寸法安定性・耐リフロー性や厚みの均一性などの優れた性質を併せ持っています。特に、LCPなどの既存フィルムでは改善が難しかった高温環境下や、幅広い周波数領域(10~100GHz)でも安定した誘電特性を示すため、自動車用途やスマートフォンなどの様々な用途展開が期待されます。
また、異素材との高い接着性特性を持つため、フレキシブル銅張積層板(FCCL)化においてもスパッタ・めっき法*や接着剤法などの幅広い加工方法に対応できます。中でも、スパッタ・めっき法で作製したFCCLは、接着界面が平滑なため、既存のLCPやフッ素樹脂フィルムなどより伝送損失を低く抑えることができます。
*スパッタ・めっき法とは、真空スパッタリング法でニッケルや銅などの金属をフィルム表面に薄く堆積させ、導電性のシード層を形成後、電気めっきで必要な厚さの導体層となる銅層を形成する方法。
DICグループは、今後需要拡大が見込まれる「5G」「6G」などの次世代通信や生成AI向けのインフラ整備分野において、ニーズを先取りした機能性材料を展開しデジタル社会に貢献していきます。
なお、本開発品は、2024年10月29日(火)から10月31日(木)に開催される「第15回 高機能フィルム展 FILMTECH JAPAN」(会場:幕張メッセ)のユニチカの出展ブースで紹介します。
<展示会概要>
名称:第15回 高機能フィルム展 FILMTECH JAPAN
(第15回 高機能素材 Week -Highly-Functional Material Week-内)
会期:2024年10月29日(火)~10月31日(木)10:00~18:00(最終日のみ17:00)
会場:幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
出展ブース:5ホール 小間番号24-54 (ユニチカ出展ブース内)
主催:RX Japan株式会社
公式サイトURL:https://www.material-expo.jp/tokyo/ja-jp/visit/film.html
<開発品紹介ページ>
■URL:https://www.go.dic-global.com/m/functional_products/PPSfilm/chemitronics
※当社ウェブサイトで現在開催中の「ケミトロニクスonline展示会」で紹介しています。
ケミトロニクスonline展示会(来場登録制):https://www.go.dic-global.com/m/chemitronics/
-DIC株式会社について
DICは日本で有数のファインケミカルメーカーのひとつであり、DICグループの中核企業です。DICグループは、世界全体でSun Chemical Corporationを含む約180の子会社によって構成され、60を超える国と地域で事業を展開しています。グループ全体として、人々の生活に欠かせない包装材料、テレビやPC等のディスプレイに代表される表示材料、スマートフォンなどのデジタル機器や自動車に使用される高機能材料を提供するグローバルリーディングカンパニーと認知されています。これらの製品を通じて、社会に安全・安心、彩り、快適を提供しています。DICグループは持続可能な社会を実現するため、社会変革に対応した製品や社会課題の解決に貢献する製品の開発にグループ一丸で取り組んでいます。連結売上高1兆円を超え、世界全体で22,000名以上の従業員を有するなか、グローバルで様々なお客様に寄り添っていきます。
詳しくは、https://www.dic-global.com/ をご覧下さい。