株式会社医学書院 (所在地:東京都文京区、代表取締役社長:金原 俊)は、新刊書籍『ことばにしてみた 訪問看護の看取り(著:鈴木 沙織)を2025年2月25日に刊行しました。
◆あの人は、どうしてできるのか。〈訪問看護師の頭の中〉をことばにしてみる。
訪問看護の看取りケアは、特別なものではありません。
日常の対話や看護ケアが重なり、その先にあるのが看取りケアです。
そこには、思いやりや気遣いだけではない、訪問看護の技術があります。
距離感をはかる、一歩踏み込む。応え続ける、安心を置いてくる。
──その一つひとつをことばにしてみました。
ひとつとして同じ場面はない訪問看護の看取りケアを、振り返り、考え、実践するために。
◆看取りケアの背後に、訪問看護の技がある
- 安心を置いてくる
看護師には見慣れていて“問題ない”と判断できる物事でも、介護や看護の経験がなければ、その判断はできません。
例えば、点滴の管の中の小さな気泡、ロックしたルートにうっすら逆流する血液。
それを初めて目にしたご本人やご家族がどれほど緊張し、不安になるだろうかと想像し、“なぜ大丈夫なのか”と、必要な対処方法をじっくりと、丁寧にご説明してみてください。
- ご本人の意思を想像しながらケアをする
昨日はできたことが今日できなくなっても、昨日からの連続でしっかり生きている。
昨日こうした時に痛がっていたな、と知っているのなら、今日もそれをする時に痛いかもしれない、と想像することがとても大切です。
- 見せないほうがよいケアの際は、 さりげなく席を外してもらう
ご家族が目にすると印象が強く残ってしまうようなシーンでは、席を外していただく配慮も必要です。
「先生の書類が仕上がったようなので、どうぞ一旦ご説明を受けてらしてください」
──自然な形でご本人のそばを離れることができる流れを作り、その間に最低限のケアを行います。
- 前向きな印象を残す言葉を心がける
背面のケアをする際、体位変換に伴い、肺に残った空気の抜ける音が“声”のように聞こえることがあります。
大切な人を失って間もないご家族の中には「まだ息をしている!?」と驚かれる方もいますし、動揺する方が多い場面です。
「今、お声が(最期の吐息が)聞こえましたね、〇〇〇って言ってるみたいですね」
──〇〇〇に入る言葉は、ご本人らしい言葉にしてみたり、
“ありがとう”としてみたり、臨機応変にお伝えしています。
◆目次
- Chapter1 初回訪問と契約の場面で大切にしていること
距離感をはかる
一歩踏み込む
思いに触れる
“意味を伝える言葉”で説明する
- Chapter2 その時が近づいてくるまでに──じっくりと対話を積む
応え続ける
その先を見据えて関わる
安心を置いてくる
サインを見過ごさない
- Chapter3 ご様子の変化が見られ始めたら──手際のよいケアと繊細な観察を継続する
安楽なケアを継続する
終末期の変化に対応する
これからの変化に備える
ご家族とともに安楽を支えるケアを行う
- Chapter4 看取る──ご家族のご意向に沿ってお見送りをする
連絡を受け、ご自宅に伺う
静かに待つ、ゆっくり進める
最期の診察を行う
死後の処置を行う
不安を残さない
◆著者プロフィール
HOALOHA nurse station 管理者
東京警察病院看護専門学校卒業後、西東京警察病院にて病棟勤務の経験を積み、出産後は外来勤務へ。
その後循環器専門のクリニック勤務を経て、2011年訪問看護師になる。
医療特化型デイサービス管理者、訪問看護ステーション主任などを経験し、2021年HOALOHA nurse station開業。
介護キャリア段位制度アセッサー資格、医療的ケア教員資格取得。さらに医療フットケアスペシャリスト認定を取得するなど、訪問看護の幅を広げるべく日々精進中。
◆書誌情報
- 書名:ことばにしてみた 訪問看護の看取り
- 著:鈴木沙織
- 刊行:2025年2月25日
- 判型・頁:A5・136ページ
- 定価:1,980円(本体1,800円+税)
- ISBN:978-4-260-05772-1
書籍詳細とサンプルページは下記弊社公式ウェブサイトをご参照ください。
https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/113675
【株式会社医学書院について】
1944年の創業以来、「専門書出版社としての役割と責任を自覚し、医学・医療の進歩に必要な専門情報を的確に伝え、医学・医療の発展と社会の福祉に貢献すること」を使命として、常に最新の医学・医療情報を提供しています。
治療年鑑『今日の治療指針』、看護学生向け教科書シリーズ『系統看護学講座』など幅広い領域の専門書籍・雑誌を出版しており、毎年百数十点におよぶ書籍を刊行しています。近年では、Web配信サービス、電子書籍、電子雑誌、セミナー、オウンドメディアなど様々な形でのコンテンツ作成に取り組み、多くの医療専門職、学生の方々からご支持をいただいております。