株式会社マクロミル(本社:東京都港区、代表執行役社長 CEO:佐々木徹 以下、当社)は、全国20万人を対象とした防災意識調査「マクロミル・チャリティーアンケート」を実施し、その結果を発表します。調査期間は2025年2月6日(木)~2月8日(土)の3日間です。
本チャリティーアンケートは、マーケティング・リサーチを生業とする当社ならではの活動として、今後起こり得る災害に備える一助となることを目的に、生活者の防災意識を調査によって可視化する取り組みです。全国20万人を対象として2024年より開始し、今年で2回目です。当社のアンケート回答パネルであるマクロミルモニタの皆様には、チャリティーアンケート回答へのご協力に御礼申し上げます。
■ 調査結果 トピックス
- 「避難場所/避難経路を確認できている」は約半数で、前年から6.2ポイント増。
一方で、「災害時に頼ることができるご近所づきあい」は24.4%で、前年から横ばい
- 人口規模が大きい都市ほど「ご近所づきあい」の課題は大きく、大都市の34.6%は「全くできていない」
- 安否確認に不安が67.5%、特に「夫婦と子どもから成る世帯」では72.8%にのぼる
- 大災害発生時、デマ情報の増加等の「情報の信頼性」に不安がある人は62.7%。
特に未成年を含む19歳以下は「とても不安」が約3割と他年代よりも高い
■ 調査結果
1. 「避難場所/避難経路を確認できている」は約半数で、前年から6.2ポイント増。一方で、「災害時に頼ることができるご近所づきあい」は24.4%で、前年から横ばい
災害対策への準備状況を尋ね、前年と比較しました。
実施率が最も高かったものは「避難場所/避難経路の確認」(49.0%)で、前年からの6.2ポイント増と最も伸長しました。一方、実施率が最も低かったものは「災害時に頼ることができるご近所づきあい」(24.4%)で、前年からの伸長もわずか0.5ポイントでした。避難を要するような大災害が発生した際には近隣同士の助け合いも必要となりますが、その準備はほぼ進んでいないことが分かります。【図表1】
【図表1】 災害対策の準備率(%)と、前年差(ポイント)
2. 人口規模が大きい都市ほど「ご近所づきあい」の課題は大きく、大都市の34.6%は「全くできていない」
「災害時に頼ることができるご近所づきあい」について、回答者の居住市区町村の人口規模別に比較をします。
人口規模が大きくなるほど準備ができておらず、人口50万人以上の大都市では「全く準備ができていない」という回答が34.6%にのぼりました。南海トラフ地震臨時情報の発表や首都直下型地震も予想される中、大都市における近隣とのコミュニケーション課題が浮き彫りとなりました。【図表2】
【図表2】 「災害時に頼ることができるご近所づきあい」の準備状況<居住市区町村の人口規模別>
3. 安否確認に不安が67.5%、特に「夫婦と子どもから成る世帯」では72.8%にのぼる
続いて、「家族や友人の安否確認」について見ていきます。
住んでいる地域で大規模災害が発生したら、安否確認についてどの程度不安であるか尋ねると、「とても不安」(29.8%)、「やや不安」(37.7%)で、合計67.5%の人が「不安」であると回答しました。【図表3】
世帯形態別に見ると、「夫婦と子どもから成る世帯」は、他世帯よりも安否確認への不安度合いが高いことが分かりました。「とても不安」(34.0%)、「やや不安」(38.8%)で不安を感じている人の合計は72.8%にのぼりました。【図表4】
【図表3】 居住地域で大規模災害が発生した場合の「家族や友人の安否確認」に対する不安
【図表4】 居住地域で大規模災害が発生した場合の「家族や友人の安否確認」に対する不安<世帯形態別>
4. 大災害発生時、デマ情報の増加等の「情報の信頼性」に不安がある人は62.7%。特に未成年を含む19歳以下は「とても不安」が約3割と他年代よりも高い
大規模災害の発生時におけるフェイクニュースやSNSでの真偽不明な投稿といった、いわゆる“デマ情報”の拡散が社会問題となっています。そこで、大災害発生時の「情報の信頼性(偽情報/デマの増加)への不安」について尋ねたところ、「とても不安」(23.2%)、「やや不安」(39.5%)で、合計62.7%の人が「不安」であると回答しました。【図表5】
年代別に比較すると、いずれの年代も「不安(とても不安+やや不安)」だと回答した人が6割を超えました。特に19歳以下の不安が高く、「とても不安」と感じる人は約3割と他年代よりも高いことが分かりました。社会経験が少なく、SNSやネットニュースなどのデマ情報に対する真偽の判断が難しい未成年を含む19歳以下の不安が浮かび上がりました。【図表6】
【図表5】 大規模災害発生時の「情報の信頼性」への不安
【図表6】 大規模災害発生時の「情報の信頼性」への不安<年代別>
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本調査結果を踏まえたリサーチャー見解
萩原 雅之(マーケティングリサーチャー/マクロミルシニアフェロー)
今回の調査では、『避難場所/避難経路の確認』や『非常用持ち出し袋の準備』など、具体的な防災準備を実施している人の割合が前年より増加し、防災意識の高まりが明確に示されました。同一手法による20万人規模の継続的な調査の強みは、意識や行動の変化を細かく捉えられる点にあり、数ポイントの上昇であっても、全国規模で見れば数百万人単位の行動変容が生じている可能性があります。
この意識の変化の背景には、2024年夏から秋にかけて相次いだ大規模な自然災害と、それに伴う報道の影響が大きいと考えられます。特に、台風10号による被害、日向灘沖地震を受けた南海トラフ地震臨時情報の発表、さらには能登半島豪雨などが広く報じられたことで、多くの人が「いつ自分の身に降りかかるかわからない」という危機感を抱き、防災行動を見直すきっかけになったと推測されます。
一方で、災害対策の準備率が上昇したにもかかわらず、『家族や友人の安否確認』や『災害時の情報の信頼性』に不安を感じる人は依然として多く、防災への備えが進んでも情報面での課題が残っています。特に、SNSを含む情報環境の信頼性は喫緊の課題であり、自治体やメディアによる正確な情報発信の強化に加え、SNSプラットフォームの適切な情報管理やデマを防ぐための仕組みの整備が求められます。
■本チャリティーアンケートにおける被災地への寄付について
20万人のマクロミルモニタの皆様に回答いただいたポイント(本来は回答者の皆様に進呈されるもの)を還元し、当社より日本赤十字社を通じて、令和6年9月能登半島大雨による被災地へ全額寄付いたします。改めまして、回答へのご協力に御礼申し上げます。
過去の取り組み:
https://www.macromill.com/sustainability/donation-record.html
以上
■調査概要
調査方法 :インターネットリサーチ
調査地域 :全国
調査対象 :全マクロミルモニタ会員
有効回答数 :200,000人
割付方法 :割付なし(全数回収)
調査期間 :2025年2月6日(木)~2025年2月8日(土)
※本文の数値は小数点第2位で四捨五入し、表記しています。百分率表示は四捨五入の丸め計算をおこなっており、合計が100%とならない場合があります。
※データのご利用に関して:当記事の著作権は、株式会社マクロミルが保有します。当記事に掲載のデータを引用・転載される際は、必ず「マクロミル調べ」と出典を明記ください。また、引用・転載される際は、掲載先・掲載内容について以下問合せ先までご一報ください。
■株式会社マクロミルについて
マクロミルは、国内オンラインリサーチ業界のリーディングカンパニーです。市場シェアNo.1※の豊富なリサーチ実績とノウハウ、90以上の国と地域で1.3億人へのリサーチが可能なグローバルネットワーク、独自に構築した消費者パネルから得られる多種多様なデータを活用し、お客様のマーケティング課題の解決に向けて最適なソリューションを提供します。創業時から育んできたデータネイティブな発想で、お客様のビジネスに成功をもたらすData Culture構築の原動力となることを目指します。
※オンラインリサーチ市場シェア=当社単体及び(株)電通マクロミルインサイト、QO株式会社のオンラインリサーチに係る売上高(2023年6月期)÷一般社団 法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)によって推計された日本のMR業界市場規模・アドホック調査のうちインターネット調査分(2022年分)(出典:一般社団法人日本マー ケティング・リサーチ協会(JMRA)2023年6月27日付第48回経営業務実態調査
【株式会社マクロミル 会社概要】
代表者 :代表執行役社長 CEO 佐々木徹
本社 :東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー 11F
設立 :2000年1月31日
事業内容 :マーケティングリサーチおよびデジタル・マーケティング・ソリューションの提供
売上高 :43,861百万円(2024年6月期)
URL :
https://www.macromill.com