~2025(令和7)年度「コレクション・ダイアローグ/プラス」を開催する4館が決定~
国立アートリサーチセンター(略称:NCAR、センター長:片岡真実)は、地域におけるアートの鑑賞機会の充実と美術館の展示・調査研究活動の活性化に貢献することを目的として、全国の美術館等と協働し、国立美術館のコレクションを活用する2つの連携事業、「国立美術館 コレクション・ダイアローグ」(2027(令和9)年度開催分)と「国立美術館 コレクション・プラス」(2026(令和8)年度開催分)の公募を2025年4月1日より開始します。また、2025(令和7)年度の事業内容が決定し、合計4つの美術館で展示を行います。
一昨年に初めて公募を行った2025(令和7)年度「国立美術館 コレクション・ダイアローグ」は、岐阜県美術館(担当国立館:国立工芸館)に決定し、現代デザインの礎をつくったといえる、大正から昭和にかけての工芸・デザインに焦点をあて、アール・ヌーヴォー、アール・デコのエッセンスを日本固有の感性に融合させた家具や金工、ガラス工芸、グラフィックデザインなどを、国立工芸館と岐阜県美術館のコレクションにより紹介します。
また、昨年公募を行った2025(令和7)年度「国立美術館 コレクション・プラス」は、富山県美術館(担当国立館:国立国際美術館)、長野県立美術館(担当国立館:京都国立近代美術館)、北海道立釧路芸術館(担当国立館:東京国立近代美術館)に決定し、各館のコレクションを活かした展示を予定しています。
この事業では、「コレクション・ダイアローグ」「コレクション・プラス」による展示に関する輸送費等の経費の一部をNCARが負担します。NCARは本事業を通して国立美術館と開催館、それぞれのコレクションに新たな光をあてるとともに、さらなる魅力の発見につながるような展覧会の開催を推進していきます。
◆国立アートリサーチセンター(NCAR)の事業について (
https://ncar.artmuseums.go.jp/)
NCARは「アートをつなげる、深める、拡げる」をミッションに、情報収集と国内外への発信、コレクションの活用促進、人的ネットワークの構築、ラーニングの拡充、アーティストの支援など、わが国の美術館活動全体の充実に寄与する活動に引き続き取り組んでいきます。
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「国立美術館 コレクション・ダイアローグ」「国立美術館 コレクション・プラス」募集概要
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国立美術館 コレクション・ダイアローグ
国立美術館のコレクションに開催館のコレクションを加えて構成した、高いテーマ性をもつ展覧会の企画を全国の美術館等から募ります。主催は開催館、担当国立美術館、国立アートリサーチセンターの3者となります。
【2027(令和9)年度 概要】
■募集期間:2025年4月1日(火)~6月30日(月)
■2027年度担当国立美術館:東京国立近代美術館
■採択件数:1件
■2027年度分募集要項URL:
https://ncar.artmuseums.go.jp/reports/collections/post2025-180.html
国立美術館 コレクション・プラス
開催館のコレクションに国立美術館の所蔵作品1点から数点を加えて構成したテーマ展示の企画を、全国の美術館等から募り、採択された応募館を開催館として実施します。主催は開催館とし、担当国立美術館と国立アートリサーチセンターが特別協力を行います。
【2026(令和8)年度 概要】
■募集期間:2025年4月1日(火)~6月30日(月)
■2026年度担当国立美術館:国立工芸館、京都国立近代美術館、国立国際美術館
■採択件数:3件
■2026年度分募集要項URL:
https://ncar.artmuseums.go.jp/reports/collections/post2025-181.html
2025(令和7)年度「国立美術館 コレクション・ダイアローグ」実施館・展覧会
2023年に公募を行った第1回目の「国立美術館 コレクション・ダイアローグ」は、岐阜県美術館に決定しました。現代デザインの礎をつくったといえる、大正から昭和にかけての工芸・デザインに焦点をあて、アール・ヌーヴォー、アール・デコのエッセンスを日本固有の感性に融合させた家具や金工、ガラス工芸、グラフィックデザインなどを、国立工芸館と岐阜県美術館のコレクションにより紹介します。
■展覧会名:「大正・昭和 ‘モード’ の源泉」
■会 期:2025年11月15日(土)~2026年2月15日(日)
杉浦非水 《トモエ石鹸》1926年 国立工芸館藏 / 岐阜県美術館 外観
岐阜県美術館 担当者 齋藤智愛氏コメント
◎「コレクション・ダイアローグ」への応募の動機
当館では開館以来、工芸・デザインに関する研究を続けていますが、自館コレクションだけでは展示テーマが限定的になりかねません。そのため、費用支援に加えて国立美術館の豊かなコレクションを多数借用し、自館コレクションと組み合わせることで、新たな視点からの研究と展覧会に挑戦できる貴重な機会ととらえ、応募しました。
◎「コレクション・ダイアローグ」に期待すること
国立美術館の豊かなコレクションと共に当館のコレクションを展示することで、双方のコレクションが持つ歴史的な重要性や作品の魅力を多くの人に発信できると考えています。また、本事業をきっかけに、国立美術館と地方美術館の交流が継続し、美術研究や教育普及事業など、多岐にわたる美術館活動がより深化していくことを望んでいます。
2025(令和7)年度「国立美術館 コレクション・プラス」実施館・展覧会
2024年に公募を行った第2回目の「国立美術館 コレクション・プラス」は、富山県美術館、長野県立美術館、北海道立釧路芸術館の3館に決定し、以下内容での展示を予定しています。
富山県美術館(担当国立館:国立国際美術館)
■展覧会名:
「ビフォーアフターポップ TADのアメリカ美術+」
「ピカソ―肖像画とモデル」
■会 期:
2025年7月17日(木)~10月28日(火)
■概 要:
9月6日より開催される企画展「ポップ・アート展」にあわせ、戦後アメリカ美術の多様な展開を示すコレクション小特集に、国立国際美術館所蔵のバーネット・ニューマンとサイ・トゥオンブリーの作品が加わります。このほか、ピカソの2番目の妻ジャクリーヌをモデルにした、富山県美術館と国立国際美術館の作品が競演します。
長野県立美術館(担当国立館:京都国立近代美術館)
■展覧会名:
「マルセル・デュシャン+松澤宥—オブジェの誕生と消滅―」
■会 期:
2025年8月2日(土)~10月7日(火)
■概 要:
大量生産された既製品を本来の用途から切り離し、「オブジェ」の名のもとに芸術作品として提示したマルセル・デュシャンと、その考え方に触発されながらも、むしろ、「オブジェ」を消して概念自体を作品にしようとした長野県諏訪郡下諏訪町出身の松澤宥。現代美術の展開に重要な影響を及ぼした二人を、京都国立近代美術館と長野県立美術館のコレクションによって再考します。
北海道立釧路芸術館(担当国立館:東京国立近代美術館)
■展覧会名:
「現代写真のはじまりとそれから」
■会 期:
2025年11月1日(土)~12月14日(日)
■概 要:
北海道立釧路芸術館の所蔵する、奈良原一高や森山大道など戦後日本写真の豊富なコレクションに、東京国立近代美術館の所蔵する、戦後アメリカ写真のパイオニアで日本にも大きな影響を与えたロバート・フランクとウィリアム・クラインの写真を加え、現代写真の表現の展開をたどります。