ヤマハ発動機株式会社は、北海道道北エリアを仕向地として、主にタコ漁を中心とする漁船の新モデル「DY-48I-0A」を2025年7月に発売します。
「DY-48I-0A」は、ロングセラーモデル「DY-48G-0A」の後継モデルとして、34年ぶりにフルモデルチェンジ。“SMART FISHERMAN”をコンセプトに、近年注目される漁業経営の効率化・低コスト化・省労力化を目指す“スマート水産”を促進します。
新設計の船型により、航走姿勢を最適化し、造波抵抗を抑えることで燃費性能を向上。また、航走時・静止時の安定性、凌波性、保針性、旋回性のすべてを高レベルで実現しました。さらにデッキ幅拡大による作業スペースの拡大と、デッキ上の凹凸を排除したフラッシュデッキハッチを一部採用し、作業性を向上。イケス用冷却設備の設置スペースを確保することで漁獲物の高付加価値化を図ります。デザインにおいては、ブリッジ(操船室)や船体の新設計に伴い、ヤマハ漁船のアイコンである「波切りマーク」を新作。伝統を継承しつつ、よりモダンでスポーティーな印象に進化しています。
これらにより、燃料経済性や漁労時の快適性・効率性などが向上し、スマート水産のための船体プラットフォームとして持続可能な漁業経営を支援します。
「DY-48I-0A」
【開発背景】
ヤマハ発動機では、1970年に国内初となる量産型FRP漁船「DW-40」を発売して以来、日本の津々浦々で営まれる漁業、その漁法や環境に合わせた漁船を開発し、沿岸漁業従事者のニーズに対応してきました。このほど発売する「DY-48I-0A」も、こうした地域に密着した市場の声に耳を傾けながら開発しました。
これまで、主に宗谷岬を中心とする、北海道道北エリアでのミズダコ漁向けの漁船としては、「DY-48G-0A」がその高い凌波性や保針性、旋回性で評価を受け、絶大な人気を博していました。新開発した「DY-48I-0A」は、「DY-48G-0A」で評価が高かった要素を維持しつつ、さらに燃費経済性、横安定性やデッキの作業性、漁獲物の鮮度維持力を高めました。
近年、水産業界が推進する“スマート水産”を、「漁船開発」という側面からサポートし、漁業従事者の疲労軽減、燃料費の削減や作業効率向上による低コスト化など、次世代漁業従事者と日本の沿岸漁業の持続的な発展に寄与するものと期待しています。
【「DY-48I-0A」の主な特徴】
・ 新開発の船型の採用により、波の荒い海象でも、安定して高速走行が可能な卓越した走行性と凌波性を発揮。また波の衝撃を緩和し、快適な乗り心地を実現。
・ 航走姿勢を最適化し造波抵抗を抑えた新船型により、従来モデル比で燃費性能を約16%向上*。
・ 舵角の拡大(従来の45度から55度に変更)により、特に低速時の回転半径が小さくなり、舵効き性が向上。漁労時の利便性を高めます。
・ デッキ上の凹凸を排除したフラッシュハッチを一部採用し、デッキスペースの移動のしやすさ、作業性を向上しました。
・ イケス用冷却機器のスペースを確保することで、漁獲物の鮮度維持を可能としました。
・ 若年漁業従事者に向け、デザイン性を高めたブリッジを採用。ブリッジ内部の操船席には沿岸業行において増加傾向にある航海機器類の設置スペースを確保しています。
※ 巡航速度域以上において。当社比較。