シュローダー 気温上昇予測ダッシュボード (2020年第4四半期)

2021年は転機となるか?

アンドリュー・ハワード サステナブル投資グローバル・ヘッド
シュローダーが独自に開発した「気温上昇予測ダッシュボード」の最新予測値によると、現在の変化のペースが続いた場合、産業革命以前と比較した世界の平均気温上昇は3.7°Cに至ります。


シュローダーの気候変動にかかる指標の最新予測値は残念な結果に終わりました。ですが2021年は、気候変動対策に関するさまざまな発表がこれまで以上に期待できます。
気温上昇予測ダッシュボードの最新予測によると、2020年第4四半期時点において4つの主要カテゴリーの見通しを分析した結果、現在の変化のペースが続いた場合の産業革命前の水準と比較した気温上昇は約3.7℃です。
これは、2020年秋時点の3.8℃からわずかな低下にとどまりました。また、2015年のパリ協定で掲げられた「2℃未満」の目標とは大きな乖離があります。
一方で、圧力は高まりつつあり、2021年が大きな転機になる可能性があると考えています。
今年11月に開かれる第26回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)を視野に、各国の政策立案者や企業からのさまざまな発表が加速することが予想されます。
パリ協定の目標達成に向けて待ち望まれる詳細な計画やアクションが明らかになってくるはずです。


気候変動対策の意欲に大きな差。ただし進むべき方向は明らかにただ一つ
この数年、ネットゼロ目標を公表した国または地域の経済が世界全体のGDPに占める割合が急速に増加しています。パリ協定が求める⽔準と整合した、5年~15年先を⽬標年として企業が設定する温室効果ガス排出削減⽬標であるSBT(Science-Based Targets)を設定し、同様に脱炭素化に取り組む企業も増えています。

その一方で、政策立案者、企業、投資家で構成されるバリューチェーン全体を見てみると、その勢いには大きなずれがあります。
図表2が示す通り、脱炭素化を政策目標に掲げる国または地域は、世界のGDPと二酸化炭素排出量のうちおよそ3分の2に達しています。一方で、世界の大手上場企業のうち、SBTを通じてパリ協定で定められた目標に沿った脱炭素化を目指すことを表明している企業は全体の約5分の1です。資産運用業界についてはさらに差が大きく、ネットゼロ目標を掲げる資産運用会社の運用資産は全体の10分の1を優に下回ります。
とはいえ、進むべき方向は明らかであり、バリューチェーン内で圧力が徐々に波及することも明らかです。



シュローダーもネットゼロ目標を掲げる資産運用会社の一つです。昨年12月に、当社を含む大手30社が資産運用会社としてのイニシアティブ、Net Zero Asset Managers Initiative (https://www.netzeroassetmanagers.org/)を立ち上げました。お客様と協力し、お客様に代わってSBTに沿った資産運用を目指す私たちの姿勢が、一つ具体化されたことになります。
資産運用業界では、この方向への動きをさらに加速させていくことが必要であると考えます。


企業の気候変動対策はどのようにチェックされているのか
気候変動は、今後数年、数十年において大規模な価値の創造と破壊を引き起こすと考えています。シュローダーの投資先企業もこうした圧力をすでに認識しているようです。非政府組織(NGO)のCDPは、投資家や企業、国家、地域、都市が自らの環境へのインパクトを管理するための情報開示システムを提供しています。
CDPは毎年、企業の気候変動対策を評価していますが、この数年、高スコアを獲得する企業が増加し、最高ランク群の割合は、この2年で60%以上増加しています。

気温上昇予測ダッシュボードの結果が改善傾向にあることの背景
これまでに政策立案者から発表された計画は、短期的な政策措置よりも長期的な目標に重点が置かれる傾向がありましたが、足元多くの国において具体的な措置が取られるようになりつつある兆しが見受けられます。
大規模な変化とは言えないものの、変化の兆候が見えることが気温上昇予測ダッシュボードに反映されています。どの指標も前回の数値から改善または横ばいで、特に炭素価格の急上昇が大きく寄与しています。
欧州連合域内排出量取引制度(EU ETS)に基づく価格は、足元1トンあたり40ユーロ近くに達し、過去最高を記録しました。同様に、米国においても、地域温室効果ガスイニシアティブ(RGGI)のオークションでの価格は堅調です。
バイデン政権は、新たな方向性の気候変動政策を推進することが想定され、米国における圧力が強まると考えられます。


協調的取り組みの必要性
シュローダーは、世界の上場・非上場企業に投資するアクティブ運用の投資家として、企業に脱炭素化を見据えたビジネスモデルの見直しを働きかけるとともに、自らのビジネス慣行でもその模範を示し、リードする責任と使命があります。
私たちは今、転機を迎えています。ある程度の進捗が認められるとはいえ、政策立案者と企業、投資家が協働し、積極的に取り組む必要があります。


パリ協定とは
パリ協定は、21世紀の世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2 ℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることで、気候変動の脅威に対する世界的な取り組みを強化することを主な目的に結ばれました。


シュローダーの「気温上昇予測ダッシュボード」とは
シュローダーは、炭素価格から再生可能エネルギー量、二酸化炭素回収・貯留(CCS)容量まで幅広い要素から示唆される気候変動対応の進捗を追跡するために、2017年半ばに気温上昇予測ダッシュボードを開発しました。


変化のまとめ
以下は前回の情報更新(2020年第3四半期)と比較した各指標の変化をグラフで示しています。







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※本件に関連する参考情報
債券投資とサステナビリティ:そのすべてがうわべだけ?
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/thought-leadership/bond-investors-and-sustainability-is-it-all-greenwash/

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この企業の情報

組織名
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
ホームページ
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/
代表者
黒瀬 憲昭
資本金
49,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目8番3号丸の内トラストタワー本館21 階
連絡先
03-5293-1500

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